レビュー:2018:J2:第4節:A:vs松本山雅FC「激闘しぶとく離さなかった勝ち点」

松本vs岡山:1-1
得点者:8塚川 孝輝(9李 勇載)、47岩上 祐三(※訂正:20石原 崇兆→10工藤 浩平※)
観客数:9,540人

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:大坪 博和:2.5
副審:西村 幹也、大矢 充:2.5
第4の審判員:上原 直人

A:岡山

監督

長澤 徹:2.5

スタメン

9李 勇載(イ・ヨンジェ):2.0
7伊藤 大介:2.5、24赤嶺 真吾:2.5
2澤口 雅彦:2.5、14上田 康太:2.5、8塚川 孝輝:2.0、21椋原 健太:2.5
6喜山 康平:2.5、3後藤 圭太:2.5、33阿部 海大:2.5
22一森 純:2.5

リザーブ

GK:13金山 隼樹
DF:4濱田 水輝
MF:15末吉 隼也、17関戸 健二、19仲間 隼斗、11三村 真
FW:18齊藤 和樹

途中交代

9李 勇載(イ・ヨンジェ)→18齊藤 和樹:3.0
7伊藤 大介→19仲間 隼斗:3.0
14上田 康太→15末吉 隼也:評価不可

 

H:松本

監督

反町 康治:2.5

スタメン

9高崎 寛之:2.5
38永井 龍:3.0、10工藤 浩平:2.5
29下川 陽太:2.5、14パウロ・ロベルト・ゴンサガ(パウリーニョ):2.5、5岩間 雄大:2.5、47岩上 祐三:2.0
2浦田 延尚:2.5、4飯田 真輝:2.5、31橋内 優也:2.5
1守田 達弥:2.5

リザーブ

GK:30高 東民(ゴ・ドンミン)
DF:3田中 隼磨
MF:8セルジオ・リカルド・ドス・サントス・ジュニオール(セルジーニョ)、20石原 崇兆、23岡本 知剛、25前田 直輝
FW:7前田 大然

途中交代

5岩間 雄大→7前田 大然:2.5
29下川 陽太→20石原 崇兆:3.0
38永井 龍→8セルジオ・リカルド・ドス・サントス・ジュニオール(セルジーニョ):3.0

2、得点経過

A:岡山:0-1:8塚川 孝輝(9李 勇載)

経過

 47岩上 祐三のサイドチェンジを21椋原 健太がインターセプト。21椋原 健太は、ダイレクトで、7伊藤 大介に預ける。7伊藤 大介は、胸トラップ後に前線の状況を確認して、前線のスペースの裏へのロングパスを素早く出します。9李 勇載(イ・ヨンジェ)が、これを収めます。この間に9李 勇載(イ・ヨンジェ)に対して、距離を寄せていくプレーや体を当てに行くプレーもしない松本DFの隙を突いて、9李 勇載(イ・ヨンジェ)は、後方の押上げを把握して、落ち着いて8塚川 孝輝へマイナスのパスを出します。これを8塚川 孝輝が、しっかりと右足を振りぬき、左隅に向かって強い地を這うシュートを放ちます。1守田 達弥が守備体制をとり飛びつくことを試みようとするが、ブラインドになっていた事で遅れ、立ち位置的にもシュートコースへ距離があったために、呼び動作の途中で終わる形となり、8塚川 孝輝のシュートが決まって、岡山の先制ゴールとなりました。

コメント

 こういった劣勢でもロングパス一本で、決定機をまで繋げる事が出来るという岡山の強みが出た得点であったと思います。そして、松本DFの守備の寄せの甘さという隙があったのは、岡山にとってかなり大きかったです。松本側とすれば、味方の帰陣を待つという判断であったと思います。この判断に至った理由としては、距離を詰めて寄せに行く事や体を当ててプレーを制限するという判断をした場合に、この試合で再三見せていた9李 勇載(イ・ヨンジェ)のフィジカルの強さで、裏へ抜け出されるという怖さが、あったのではないかと思います。それだけ9李 勇載(イ・ヨンジェ)のプレーは、各チームの脅威になっている事が分かりましたし、J1経験もあり、昇格候補でもある松本のDFの選手を持ってしても怖い選手であるという認識を確認できたと思います。そういった意味では、今後も怪我とかが無ければ、この方針の攻め方は非常に有効であると思いますし、この試合では引き分けに終わりましたが、十分好調を維持出来ると思います。一方で、このパターンへの依存性が高くなればなるほど、アクシデントがあった時のリスクが高まります。しかし、丁度連戦というタイミングですし、ここまで出場機会の少なかった選手を積極的に起用し、チームとの総合力を高めて、こういったリスクを軽減していく必要はあると思います。

H:松本:1-1:47岩上 祐三(※訂正:20石原 崇兆→10工藤 浩平)

経過

 松本の選手の2枚替え直後の松本の左CK。キッカーは、47岩上 祐三。47岩上 祐三は、ショートコーナーで、※:訂正:交代して入ったばかりの20石原 崇兆→10工藤 浩平※に預けます。※訂正:20石原 崇兆→10工藤 浩平※には、岡山の選手がマッチアップしていましたが、47岩上 祐三が中に回り、それを見て、※訂正:20石原 崇兆→10工藤 浩平※は、47岩上 祐三に戻します。これで、岡山の選手のマークが剥がれて、47岩上 祐三が、シュートを打つために良い位置までドリブルで侵入し、9李 勇載(イ・ヨンジェ)が、慌てて寄せに行こうとするもこれが間に合わなかったために、シュートブロック出来ませんでした。そして、47岩上 祐三のミドルシュートは、狙いすまされたもので、良いコースに撃たれます。このシュートに対して、立ち位置的にも敵味方の位置的に何も22一森 純は、アクションできずに、ボールを見送り、47岩上 祐三のミドルシュートが決まってしまいます。そして、これが岡山の今季初失点。

コメント

 2澤口 雅彦が、治療を受けたためにピットの外に出て1人少ない状況。その中で、始められたCK。松本は、数的有利を活かすためにショートコーナーを選択しました。結果的にはこれが的中し、GKを含めると数的同数のためにゴール前の松本の選手へマークの意識が行き、ボールホルダーである47岩上 祐三への寄せが遅れてしまいました。岡山は、いつものようにシュートコースを消す事が出来ませんでした。もし、2澤口 雅彦がいて、守備人数がGK込みで、自由に守り易い人数が1人でも多ければ、思い切って寄せに行くことが出来たかもしれません。ここまで、開幕3試合で、無失点であったのは、やはりボールホルダーに対して、しっかりシュートコースを切れていたから。勿論、フリーとはいえ、狙ってあのコースに蹴れた47岩上 祐三のミドルシュートは凄かったですが、岡山も勇気をもってすぐに寄せに行くことが出来ていれば、防げる可能性が少しあった事を考えると、勿体ない部分もあります。ただ、被シュートが21本で1失点という事を考えると、押し込まれながら粘り強く守っていた事の証であり、失点した事に対して、強く責める事は出来ません。ただ、チームとして被シュート数を消す課題と、この失点シーンの様に弱気になる場面や疲労により一歩が遅れるという場面を減らせるかどうかは、昇格を目指すのであれば、大事な事であると思いますので、しっかり修正して、次戦の京都戦に臨んでほしいと思います。

3、注目ポイント

Q.1「4試合無失点はあるかどうか。また、その結果になった理由は何か。」

A.「残念ながら1失点喫してしまった。前半からゴール前に迫られるシーンも多く、ここまで3試合とは違い。松本の攻撃には、怖さがありました。特にロングスローの絡んだ波状攻撃に対して、今までは跳ね返して流れを切る事が出来ていました。しかし、この試合では、それが出来ず2次攻撃3次攻撃を受ける事も少なくなく、難しい対応を何度も迫られていました。また、松本の選手は個の力がある選手も多く、プレー1つ1つが思い切りよく、ミドルシュートの多さを考えても守り辛かったと思います。
 また、もう1つ違う事があって、ゴール前でボールを持たれる事が多かった事が示す通り、今まではハイプレスなどで奪い切れていましたが、この試合では、そこで奪い切れないシーンが何度ありました。正確には、奪えたシーンもあったが、何度か今までと違い深くまで運ばれる事が多かった。また、それは屈強なFWやMFの多い松本の選手に対して、パスやドリブル、クロスといった様々形から崩されかけて、1対1の対応を迫れることも何度かあった事から言えます。失点してしまったシーンの前でもシュートを打たれる寸前に、6喜山 康平が、頭でクリアしようとした所に、38永井 龍の足が伸びてくることがあった事に加えて、2澤口 雅彦が頭クリアしようとしたところで、9李 勇載(イ・ヨンジェ)が、足でクリアしようとして、頭と足が当たりました。2澤口 雅彦が、その結果、出血し、1人少なくなった。よって、失点シーンで、1人少なかった影響があった事は間違いないが、そういう状況を松本の岡山ゴールへの迫力によって生じた事であり、松本の攻撃が良かったと言えると思います。
 岡山としては、こういった相手に対して、どう巧く守るか。また、数が少ないハイプレスなどで奪ったカウンターで、得点に繋げる事が出来るかが、昇格候補との対戦では、重要になってくると思います。」

Q.2「チーム初の4連勝はあるかどうか。また、その結果になった理由は何か。」

A.「残念ながら3連勝で止まりました。ただ、両チームも持ち味を発揮し、順当な引き分けであったと思います。岡山は、9李 勇載(イ・ヨンジェ)が、頑張っている前半で得点を奪い、9李 勇載(イ・ヨンジェ)と24赤嶺 真吾が疲れて、同点に追いつこうと攻撃の圧力を強めて来た松本の圧力の前に守り切れなかった。最後は、松本の猛攻をなんとか凌ぎ、引き分けで終えたという試合であったと思います。チームとしては、試合終盤の戦い方への課題を開幕からほぼ手つかず状態で、劣勢に立たされる時間が多くなっているので、チームとしてしっかり守るのは勿論、追加点を如何に奪うかというのは、勝ち点を稼いでいくには、重要なポイントと言えると思います。」

Q.3「LWBのスタメンはどうなるのか?また、その結果が、どういった影響をチームにもたらしかたか。」

A.「21椋原 健太がRWBに戻り、2澤口 雅彦がLWBに移ったスタメンでした。この結果により、左右の守備力を高めつつ、21椋原 健太の攻撃力を活かす事が出来た。先制点も21椋原 健太のインターセプトからでしたし、攻守で持ち味を最大限発揮していたと思います。前節、2澤口 雅彦の守備は良かったですが、攻撃が物足りなかった分、こちらの方が、左側からの攻撃力は落ちますが、右側からの攻撃力の絶対値が上がるので、得点する確率は高くなると思いますし、チームとして巧く戦う事がし易く感じた試合であったと思います。」

Q.4「スタメンとリザーブに変化があったか。また、変わった場合その理由は何が考えられるか。」

A.「2澤口 雅彦と21椋原 健太が左右が逆になり、11三村 真が、31下口 稚葉に代わりリザーブ入りした。この辺り、前節2澤口 雅彦の判断が良く、リスクのある軽率なボールロストが少なく、2澤口 雅彦が再評価されたからではないかと。また、左右が逆になったのは、21椋原 健太の持ち味を発揮させるためと言える。そして、11三村 真のスピードを活かした仕掛けへの監督の評価している事も分かりました。」

Q.5「セットプレーのチャンスをどれだけ作れるか。また、そのセットプレー有効度はどうだったか。」

A.「この試合では、CKもFKの回数が少なかった。無駄なファールも少なく、松本に巧く守られた印象。その少ないセットプレーも1守田 達弥という高身長のGKが居る事で、守備範囲が広く、巧く守られた。ここまでの3試合と違い、跳ね返される事も多く、制空権は、互角であったこともあり、得点という結果は、勿論内容も効果的と言えなかった。」

Q.6「流れからの攻撃がどれだけ向上したか。また、どういった攻撃が有効で、どういった攻撃が不味かったか。その背景は。」

A.「やはり、9李 勇載(イ・ヨンジェ)と24赤嶺 真吾が元気なうちは、シンプルなロングパスは、有効でした。21椋原 健太が右サイドに戻った事で、右サイドの攻撃も形になっていました。それだけも良い形をある程度作れていしたし、この試合でも得点に繋がりました。しかし、の9李 勇載(イ・ヨンジェ)が下がった時間帯の攻撃と、左サイドから仕掛ける攻撃回数には、課題が、依然として残っている。」

Q.7「近い選手起用を見せていたが、この試合はどうだったか。また、それはどういった変化で、どういった理由からか。」

A.「この試合でも決まったパターンに近い選手交代であった。18斎藤 和樹には、前線からの守備や攻撃時のターゲットとして、期待されているが、現状では機能していない。19仲間 隼斗も同様に攻守で期待されての投入で、この試合では、ある程度プレー時間がありましたが、持ち味を発揮できたとは言い難い。2人とも実績のある選手ではあるが、チームとして、彼らの持ち味を引き出すかというのは、今後の課題と言える。」

Q.8「38永井 龍を中心としたJ1クラスのFW陣を擁する松本の個の力に対して、岡山の守備がどれだけ通用するか。」

A.「3試合前までは、アッタキングサードでの侵入をある程度抑えていましたが、この試合では、そこまで運ばれる回数が今まで多かった。38永井 龍のシュート感覚にやはり優れていて、頭や体に足が当たるシーンもあったが、得点を決めるために高い集中力があったからだと言え、ギリギリで38永井 龍を巧く抑えられた。しかし、チームとしては、被シュート数の多さを考えても押し込まれていたと思います。

Q.9「14パウロ・ロベルト・ゴンサガ(パウリーニョ)が陣取るバイタルエリアでどれだけチームとして仕事が出来るか。」

A.「やはり中盤のプレーは大きく制限された。しかし、8塚川 孝輝の前への意識は高く、寄せて来たところで、1タッチで、前方へ浮き球で入れるなど、空中という空間を巧く使えていた。しかし、14上田 康太や8塚川 孝輝も早い寄せに対して苦しんでいた。特に14上田 康太にいつもの様な輝きが見れなかったので、そういった中で、より目立つかというのは、今後の目標指針になりそう。」

Q.10「攻守で松本の要である4飯田 真輝に仕事をさせず、攻守で試合を有利に進める事ができるかどうか。」

A.「セットプレーの守備などでは、球際の所で、体を入れて自由をさせないど、得点やアシストに繋がる制空権を与えなかった。守備では、なかなかその高さに対して、有効なクロスやセットプレーで、得点を奪えなかった。攻撃時の流れからは、速攻仕掛けた際に、隙を見せてくれたので、1得点できたが、基本的には、その高さに対して、1試合を通して、思うようなプレーが出来なかった。」

4、文章評

やはり、因縁の相手という事もあり、今季初の失点を許した。松本は、ここまで勝利こそなかったのは、対戦カードによるものが大きかったのが最大の理由と言えそうで、少なくとも攻撃に関しては、岡山以上の破壊力を持っており、個の力に優れる選手が揃っていた。ロングスローやセットプレーは厄介で、難しい対応を迫られるシーンが多かった。今季の昇格候補であること間違いない強さがあり、ホームで対戦する際には、難しい試合になりそう。
 松本とセットプレーと流れからの攻撃に速さと厚みがあり、なかなかボールを奪って押し上げる事が出来ずに、押し込まれる時間が多かった。ゴール前まで運ばれる回数の多さで、見ていて非常に怖かったが、失点は覚悟していたので、1失点に良く抑えたと思います。

 気になった点としては、地上戦や1対1に無類の強さを見せている33阿部 海大が、ここまで4試合で、思ったほど空中戦に勝てていなかった点が確信に変わりつつある事と、相手のミスパスで、奪った際にそこから好機に繋げる事が出来ていなかった点。この辺りをどう考えて、チームが戦って行くかであり、他チームもそこをどう考えて対策を練って来るかは、気になりました。
 ただ、昇格候補の松本に対して、1失点に抑えて、先制に成功出来た点はしっかり評価しつつも、無失点に抑える事が出来なかった点と、追加点を奪えなかった点という結果を真摯に受けとても連戦となる京都戦に臨んでほしい。

5、数値評

評価基準

良:A~E:悪

A:岡山

攻撃評価:C
守備評価:B
采配評価:C
総合評価:C

H:松本

攻撃評価:B
守備評価:B
采配評価:C
総合評価:B

6、試合評

Man Of the Match(MOM):47岩上 祐三(松本)
Most Impressive Player(MIP):9李 勇載(岡山)
満足度:6点(10点満点)

7、今季の成績

勝敗(4/42)
3勝1分0敗(2位:勝ち点10)

得失点
6得点1失点(+5)

ゴール
6喜山 康平×1(頭1)、8塚川 孝輝×2(頭1、右足ミドル1)、14上田 康太×1(FK左足1)、24赤嶺 真吾×1(左足ボレー)、33阿部 海人×1(左足1)

アシスト
8塚川 孝輝×1(頭1)、14上田 康太×2(FK左足1、クロス左足1)、24赤嶺 真吾×1(パス右足1)、9李 勇載×1(右足1)

得点の形
クロス→左足ボレー×1、FK→頭×1、左足直接FK×1、FK→混戦→左足×1、CK→混戦→頭×1、速攻→ポストプレー→右足ミドル×1

失点
CK→ショートコーナー→右足(ミドル)×1

岡山から世界へ 
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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