レビュー:2018:J2:第2節:A:vs愛媛FC「若い新人監督の采配際立ち岡山の監督の力量を疑問視された試合」

愛媛vs岡山:2-0
得点者:6野澤 英之(7近藤 貴司)、7近藤 貴司
観客数:3,135人
会場:愛媛県総合運動公園陸上競技場"ニンジニアスタジアム"

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:今村 義朗:2.5
副審:桜井 大介、金次 雄之介:2.5
第4の審判員:高橋 航地

A:岡山

監督

長澤 徹:4.0

スタメン

18齊藤 和樹:2.5
19仲間 隼斗:2.5、7伊藤 大介:3.0
11三村 真:3.0、14上田 康太:3.0、8塚川 孝輝:3.0、21椋原 健太:3.0
2澤口 雅彦:3.0、4濱田 水輝:3.0、3後藤 圭太:3.0
13金山 隼樹:2.5

リザーブ

GK:22一森 純
DF:6喜山 康平、39高橋 壮也
MF:15末吉 隼也、37鄭 充根(ジョン・チュングン)、10大竹 洋平
FW:24赤嶺 真吾

途中交代

14上田 康太→24赤嶺 真吾:3.0
19仲間 隼斗→10大竹 洋平:3.0
11三村 真→39高橋 壮也:2.5

 

H:愛媛

監督

川井 健太:2.0

スタメン

15丹羽 詩音:2.5、7近藤 貴司:2.0
10神谷 優太:2.0
30禹 相皓(ウ・サンホ):2.5、6野澤 英之:2.0、16田中 裕人:2.5、14小池 純也:2.5
5前野 貴徳:2.5、4西岡 大輝:2.5、23林堂 眞:2.5
1岡本 昌弘:2.5

リザーブ

GK:22原 裕太郎
DF:3玉林 睦実、8安藤 淳
MF:17小暮 大器
FW:18西田 剛、26上原 慎也、28吉田 眞紀人

途中交代

30禹 相皓(ウ・サンホ)→17小暮 大器:2.5
14小池 純也→3玉林 睦実:2.5
15丹羽 詩音→8安藤 淳:評価不可

2、得点経過

H:愛媛:1-0:6野澤 英之(7近藤 貴司)

 岡山の右CK、14上田 康太が蹴ったボールは、愛媛の選手がクリアし、セカンドボールを7近藤 貴司が、回収し、そのまま勢いを持って上がっていく左サイドから中に切り込んでいくと、セットプレーでバランスを崩れていて、ボールホルダーである7近藤 貴司の前に寄せに行けなかった。この時、DFの間から裏を狙った6野澤 英之の足下の狭い所へ通し、6野澤 英之が、パーフェクトなトラップからほぼGK13金山 隼樹との1対1となる。13金山 隼樹も前に少し出てプレッシャーをかけるのも前に少し出てきた13金山 隼樹の頭の上を越えるループシュートを6野澤 英之は放ち、そのシュートはクロスバーに当たって下にはねてゴールイン。

H:愛媛:2-0:7近藤 貴司

 バイタルエリアからパスを繋いで崩しにかかる愛媛の選手。際どい所を狙って一度は、パスが毀れるが、再び10神谷 優太が回収し、右足を振りぬきます。GKの13金山 隼樹は、一度はセーブするも弾いた先に愛媛の7近藤 貴司が、フリーで待っており、ダイレクトシュート。GKの13金山 隼樹もその前のセーブで、体勢を崩しておりほぼ動けず、シュートを突きさされて失点。

3、数値評

評価基準

良:A~E:悪

A:岡山

攻撃評価:C
守備評価:D
采配評価:E
総合評価:D

H:愛媛

攻撃評価:A
守備評価:C
采配評価:A
総合評価:B

4、文章評

キーマン:8塚川 孝輝
活躍度:50%



 愛媛の0トップシステムによりWBが自陣深くに押し込まれる、もしくは、CBがサイドや前に引っ張られた事に対して、中盤と最終ラインのバランスを8塚川 孝輝と14上田 康太で、どう調整するかというサッカーであった。
 こういったサッカーに対して、どこにポジションをとって、どうバランスとるか。ベテラン選手でも難しい事ではあるが、監督が細かく指示するというよりは、選手の判断で、対応する必要があったが、最後まで修正出来なかった。

 随所随所に8塚川 孝輝の持ち味を発揮出来ていたが、チームとしては機能仕切れなかった。

攻撃のキーポイント:サイド攻撃
達成度:15%



 上記の愛媛のサッカーによって、高い位置をとるという事が、愛媛がピッチコンディションとハードワークによる消耗プレーエリアが下がった時間帯までは、なかなか攻撃に絡めなかった。
 基本的には、前線の3人が縦横無尽にサイドのスペースやGKとDFの間のスペースを突くロングパスで、攻撃に終始していた。ただ、それが悪いという訳では無く、惜しい形も作った。
 ただ、終盤に向けて両サイドの選手を交代し、サイドの主導権を掴むという事に強い拘りを愛媛に感じた。岡山のサイド攻撃を抑えるだけではなく、岡山のサイドから隙あれば攻めようと徹底した戦いぶりであった。

 それでも終盤に、39高橋 壮也を投入し、両サイドで、完全に主導権を握って、残り時間が短かったが、形が出来ていたのに両WBを入れ替えた事で、勢いが衰えた。試合後のコメントでもこの辺り39高橋 壮也自身も感じており、「チーム戦術的」が、何だった理解しがたく、明らかな失策であった。

 カウンターの達成度は1%ぐらいでサイド攻撃も15%ぐらい。セットプレーとロングパスが機能しなければ、これだけ得点力が低くなると痛感している。
 そもそも前線の選手が、裏へ抜け出すスピードがある訳でもなく、5分5分で競って半分以上勝てる選手が居ない状況で、ロングパスに固執している様に見え、攻撃が淡白であるのは、残念である。

 11三村 真が下がって、2澤口 雅彦のプレー範囲が広がり、チームとして前への勢いが生まれた事も大きく、連戦後は、21椋原 健太と39高橋 壮也で、主導権を握り、サイドからしっかり攻めて、ゴール前に飛び込む勇気を持てるだけのサイド攻撃を目指して欲しい。

 ロングパスなどで裏へ抜け出して中に誰も居ないという事が90分間続いており、そこへ通ってチャンスになるという岡山のサッカーへの信頼度が選手にもない。そういったサッカーで、得点をどうするのか。セットプレーに得点が集中するのも分かる現象であると言える。

守備のキーポイント:リスク管理
達成度:0%



 開始早々に失点。私の意図したキーポイントに挙げたリスク管理での失点の形ではないが、セットプレーでカウンターに備えるプレーやキッカーや受け手としてどうポジションを取り、どこへ蹴るか。これが、セットプレー時に助言を出していた6喜山 康平がスタメンではなかった影響が出ていた。チームとして、やはりしっかり攻守の判断の部分で、その後のプレーの選択での対応の部分でのリスクに対する各自判断が、巧く嵌らず、不運な部分もあったが、失敗となってしまったという部分で、この試合の重要ポイントであるリスク管理は、大失敗であったと言える。
 そして、この失点により、カウンターに対する恐怖というのが生まれ、リスクの判断の質が試合に影響が出た事は否定できない。

 また、この失点には、不運だけではない要素もある。それは、上記で述べてきた0トップシステムにある。このシステムの狙いは、中央のゴール前と中盤に人数を集めて、堅い守備を形成している岡山の強みを揺さぶる狙いによって生まれている。
 それは、サイドを第一選択にすることで、サイドに引っ張られることで、中央に隙が出来、2トップ(2ウイング)と1トップ下(シャドーストライカー)のどこを選択するか中盤の選手が選択する時間を作る事が、この試合では成功している。
実際に岡山の中盤が手薄になっていて、いつもならコンパクトな岡山の守備組織のバランスがとれているが維持できでいなかった。
その結果、技術と視野に優れた愛媛の選手のボールキープやドリブルの成功率が上がっていた。そして、チームとしてそういったプレーをしようという意識も強かった。
 開始早々の失点シーンは、愛媛がボールを持って組み立てて攻めるというシーンではなかったもののチームとして、この試合でのコンセプトがCKの守備からの攻撃でのプレー選択する意識に現れ、本来であれば、パスをもっと早く選択しても不思議ではなかったが、岡山の選手がある程度いる状況でもキープしていた。こういった狙いが結果的に、CKからの逆襲での得点に繋がったと結論付けても、この試合の愛媛の戦い方を見ていると、納得できる。

このリスク管理の考察したプレーによる失点シーンだけではなく、中盤で愛媛の選手が、ボールキープやドリブルで、岡山を攻めていたシーンは多く、まさに100%。愛媛のプラン通りのサッカーを許してしまい。まさにチームは勿論、監督として完敗の試合であったと言える。

総評

 監督として、柔軟性。そして、堅実過ぎる選手起用と戦術。特に若手の選手起用は、岡山に適していない。選手として完成した選手を好んで起用する傾向にある。しかし、なかなかそういった選手を岡山は補強できる資金力はないですからある程度育成を進めて行く必要がある。
 しかし、肝心の長澤 徹監督は、実力重視で、基本メンバーや交代カードの切り方は、ほとんど変わらない。前任の2監督は、若手をある程度起用しており、影山 雅永監督に関しては、A契約に関係で、レンタルに出す事もあった。しかし、良い新人を獲得出来る様になって行く中でも長澤 徹監督就任後には、そういったケースは無い。
 この試合でも2澤口 雅彦をLCBで起用したが、27崔 程援(チェ・ジョンウォン)を起用しても良かった。高さのあるレフティという事で、こういった試合で経験を積ませて、内外の信頼を高めて、武者修行での期限付き先を探す事や、試合で起用して育成して行く中で、来季のA契約の戦力として期待できる選手に成長させる機会を与える事も出来た筈である。
 勿論、育成だけ考えて選手を起用し過ぎるのも良くないが、戦力を巧く活用することは、チームにとってもプラスになる。そういった部分が欠場している。

 結局プレーオフも矢島 慎也、岩政 大樹、豊川 雄太、片山 瑛一といった個の力の助けが大きかった。結局、監督として、個の持った選手が揃わないと、上位にも下位にもなかなか勝てない監督であることが、この試合で浮き彫りとなった。
長澤 徹監督にチームに明るい未来が見えない以上、昇格を仮に出来たとして、監督は、解任しても良いとまで断言できる。

5、試合評

Man Of the Match(MOM):川井 健太(愛媛)
Most Impressive(MIP):39高橋 壮也(岡山)
満足度(10点満点):1点

6、試合後通算対戦成績

公式戦

岡山:6勝(21得点):7分:(27得点)9勝:愛媛

J2

岡山:6勝(20得点):7分:(25得点)8勝:愛媛

天皇杯

岡山:0勝(1得点):0分:(2得点):1勝:愛媛

会場別(岡山視点)

H:シティライトスタジアム:1勝4分5敗
A:ニンジニアスタジアム:5勝3分3敗
中立:福山市竹ヶ端運動公園陸上競技場:0勝0分1敗

7、今季の成績

勝敗(24/42)(他会場中止試合有)
9勝8分7敗(暫定9位:勝ち点35)

得失点
24得点21失点(+3)

ホームスコア(12試合:4勝6分2敗:15得点10失点)
〇:1-0×2、3-0×1、3-1×1
△:0-0×3、2-2×2、3-3×1
●:0-1×2

アウェースコア(12試合:5勝2分5敗:9得点11失点)
〇:0-1×4、1-3×1
△:1-1×2
●:1-0×3、2-0×1、3-0×1

得点時間帯(24得点:前半×10、後半×14)
1分~15分×3、16分~30分×3、31分~45分×4、前半AT
46分~60分×8、61分~75分×6、76分~90分、後半AT

失点時間帯(21失点:前半×12、後半×9)
1分~15分×3、16分~30分×4、31分×45分×5、前半AT
46分~60分×4、61分~75分×2、76分~90分×2、後半AT×1

ゴール(全24ゴール)
FW(6):18齊藤 和樹×1(PK右足×1)、19仲間 隼斗×4(頭2、右足1、ボレー右足1)、24赤嶺 真吾×2(左足ボレー1、PK右足1)
MF(10):7伊藤 大介×2(ダイビングヘッド1、右足ミドル1)、8塚川 孝輝×3(頭1、右足ミドル1、左足ミドル1)、11三村 真×1(左足ボレー1)14上田 康太×3(FK左足3)25武田 将平×1(左足ミドル1)
DF(6):3後藤 圭太×1(頭1)、4濱田 水輝×3(頭3)、6喜山 康平×1(頭1)、33阿部 海人×1(左足1)
GK:なし
その他(1):オウンゴール×1(足1)

アシスト(全16アシスト)
FW(7):9李 勇載×1(右足1)、18齊藤 和樹×2(右足1、右足クロス1)、19仲間 隼斗×1(左足1)、24赤嶺 真吾×3(パス右足2、クロス右足1)
MF(8):8塚川 孝輝×2(頭1、右足1)、14上田 康太×5(CK左足1、FK左足2、クロス左足1、パス左足1)、21椋原 健太×2(右足クロス2)
DF:なし
GK:なし

得点の形(24得点:流れ×10、セットプレー×14)
ボール奪取→ミドルシュート(右足)×1
パス(左足)→ミドルシュート(左足)×1
クロス(右足)→右足×1、クロス(右足)→ダイビングヘッド(頭)×1、クロス→左足ボレー×1、クロス→右足ボレー×1、クロス(右足)→頭×1、クロス→頭×1、クロス→オウンゴール×1
速攻→ポストプレー→右足ミドル×1
FK→頭×2、FK→混戦→左足×1
CK→混戦→頭×1、CK→2次クロス→頭×1、右CK→セカンドボール→ダイレクトボレー(左足)×1、左CK→頭×1、
左足直接FK×3、PK(右足)×2
ロングスロー→混戦→頭×1、ロングスロー→セカンドボール回収バックパス→左足ミドル×1

失点の形(21失点:流れ×16、セットプレー×5)
カウンター(CK)→ロングパス(左足)→ダイレクトシュート(右足)×1、カウンター(CK)→スルーパス(右足)→ループシュート(左足)
左足(フリック)→頭×1、右足(パス)→右足(ミドル)×1、右足(スルーパス)→右足×1、右足(浮き球パス)→右足(ボレーシュート)×1
右足(クロスが直接)×1、右足(クロス)→頭×2、右足(クロス)→ブロック→右足(押し込み)×1、左足(クロス)→頭×2
ドリブルからシュート(右足)→セーブ→ダイレクトシュート(右足)×1
毀れ球→ドリブル→シュート(右足)×1
CK→ショートコーナー→右足(ミドル)×1
PK×1、PK(右足)×2
右足×1、右足(ミドル)→オウンゴール×1
ロングスロー→テクニカルな繋ぎ→シュート(左足)×1

岡山から世界へ 
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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