“キャプテン”的脱臼生活 その1 後編

  • ドゥイ
    2006年02月14日 08:53 visibility157

月曜。激痛で起床、苦笑。ちくしょう。昨日より明らかに悪化している。
そろーりと服を着替え、ふらーりとご飯を食べる。
そして、病院へ

【患者】
“キャプテン”。男。サッカーLOVE定額、脱臼し放題の27歳
【症状】
右肩鎖骨の関節脱臼
【原因】
サッカーの試合中、右肩から落下したことによる衝撃
【医師の診断】
・1,2週間で痛みはおさまってくる。6週間くらいで落ち着くが、完全に痛みがとれるわけではない
・手術をしてボルトで固定しないと治らない。まだ若いので手術は早い時期の方が、痛みは残らない
・手術をしなくても痛みが残らない人もいる。ただし、加齢により痛みが出てくることもある
・手術後2週間程度入院が必要。さらにボルトを2回に分けて抜く手術で各1週間入院が必要。
・土曜日に再診。経過により手術が不要になる場合もある。ただ、手術するかどうかを土曜日までに決めてきてほしい

テーピングで右肩を固定。HOLD ME TIGHT。スモウレスラースタイル。
負荷を減らすため三角巾着用。ナポレオンスタイル。
お風呂に入れないため“奥さん”に体拭き依頼。おじいちゃんスタイル。
気がつくと口ずさんでいるセンチメンタルソング「ロード」。虎舞竜スタイル。

重い気持ちを引きずりながら、出社。部長に口頭で報告。微妙な緊張感。
仕事も落ち着いた頃、メールで詳細報告。即返信あり。
「角の喫茶店で待ってます」。キター。おまいら使える言い訳タノム。「はあ〜。みんな仕事で忙しい時期に、サッカーで怪我して、手術だ、入院だなんて言ってたら呼び出しも喰らうわ」と“キャプテン”意気消沈。
「カランコロン」。喫茶店のドアの鈴の音もさびしく響き渡る。部長とご対面。着席。「大変だったなー」と部長が口を開く。「大変ご迷惑をお掛けしてすみません。これ以上業務に支障を来たさないよう、手術もしないように考えておりますので」と“キャプテン”先手を打つ。以下、全国のサラリーマン号泣のやりとり。ハンカチ用意。

部長「お前も俺もサラリーマンだ。仕事なんか替わりがきく。だけど、お前の体は一つしかない。これからもサッカーを続けたいんだろ?2週間の入院で済んで、ラッキーじゃないか。仕事のことなんか気にせず、しっかり治してこい」。
“キャプテン”「ありがとうございます」。心で泣いた。

「仕事のことはいいから体を大事にしろ」と背中を押してくれる上司がいる。
「サッカーに来られなくても、“キャプテン”の存在が必要。快復祈ってます」と励ましてくれる友がいる。
「家のことは気にしないでいいから、しっかり治してね」と支えてくれる家族がいる。
「幸せだなー」。加山雄三が遠くのほうでつぶやいた。ような気がした。

一人歩く帰り道。みんなの顔が、言葉が、そのぬくもりが、湧き水のようにあふれだして、ふいに、涙がこぼれそうになった。どうやら、痛み止めが切れてきたみたいだ。

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