勝手にプロネーションしちゃう!たった一つの冴えたやり方④

 
 
 

一般にサーブやフォアハンドを打つとき大事だと言われるプロネーションという動き。
私なりのやり方をご紹介します。
文字数制限の事情で今回はその4回目。

 

 

コンテンツ~お話の流れ
結論:グリップのとき親指に注意しよう ←第一回 プロネーションを解剖学で考えてみる  ←第一回 プロネーションを筋肉で考えてみる ←第一回 ホンマにそれプロもやってんの?について検証してみる ←第二回 「親指は添えるだけ」で注意したいこと ←今回 結論:やってみなはれ(笑) ←今回 参考URL ←省略


■これまでのおさらい
•親指側の骨がスムーズに動くようにしてやれば、プロネーションはスムーズになる ←事実
•プロネーションをスムーズに行いたいなら、親指の筋肉は緊張させないことが大事 ←ほぼほぼ事実
•フェデラーやナダルらトッププロもやってる ←検証は少ないものの外観上はそう見える
•「親指は添えるだけ」で注意したいこと ←導入するにあたってのTIPSなど

今回は導入にあたってのTIPS続き。

・関連リンク先:自分の書いた「テニス」に関するブログ
https://labola.jp/user/263055/blog?tag=%E3%83%86%E3%83%8B%E3%82%B9

 


回内(肘関節)運動学


https://youtu.be/CdkZtRQAUUk

 


○親指はつっかえ棒。ラケットが進む方向をコントロールします
慣性力を邪魔しない。けどボールをコントロールしなきゃ。
そのためにはラケットヘッドが進む方向をコントロールしなきゃ。
そこで役立つのが親指のつっかえ棒(シーソーの支点)効果。

 ※シーソーの支点について詳細は前回の記事で

 


親指側はリラックスしてつっかえ棒の役割をしてるだけ。
ラケットヘッドが慣性によって手よりも先に走っていく、おっとっとのとき
親指のつっかえ棒があれば、まるで足を引っ掛けられた時のように、
つっかえ棒に対して(ほぼ)垂直の角度へラケットは倒れてくれます。

どこにどんな角度で親指をセットしたら、いい感じでラケットヘッドが進んでくれるか
試行錯誤しながらセット位置を決めましょう。
そのときラケットヘッドが勝手に進んでしまう慣性力を邪魔しないで行かせたい方向にリードしてやるという感覚が重要です。
小手先で力を加えるのではなく、力んでラケットを無理矢理にコントロールするのではなく、すでに存在する慣性力(遠心力)という力を、リードしてやる、導いてやる、誘導してやるという感じ。

 

○プロネーションは鍛えなくていい
外観だけにとらわれて、「内側にローリングするのがプロネーションだから、回内する筋肉を鍛えようぜ」って発想は間違い。プロネーションのドリルとか言って、親指側に無理矢理に回内させるようなドリルは拒否ったほうがいいのかも?

下の動画で示す動作を時速100キロを超えるスピードで100回行った場合、特にヒジにストレスがかかるのは容易に想像できます。内側側副靭帯くんが心配です。
しかも、実践されてる多くの方が、プロの動作とはかけ離れた、わざとらしい、ぎこちない動きになってると私には感じます。
 ※特定のコーチを批判したいわけではなく、あくまで一般論として
 ※試行回数100回というのは、3セットマッチで打つサーブのおおよその回数

 

前回の記事で紹介した「フェデラーの素振り」を真似したほうが、自然なスイングを体感できる?

・参考記事:【貴重映像】フェデラーの素振り
https://labola.jp/blog/user/263055/9000000000006390


○「プロネーションさせろ」に感じる素朴な疑問
運動連鎖が肘にまで伝わったフェーズにおいてはインパクトまでに残された時間はごくごくわずか。かつビンビンに加速も効いていて手やラケットヘッドの速度は 時速100キロから200キロに達しようとしています。当然、そこにかかる慣性力(遠心力)も最大です。加えて、肘から先の筋肉は弱くて繊細です。

こんな短時間に肘から先で遠心力が効いたラケットを意図的に操作しようとするのは、そもそも制御可能なの?という疑問が拭えません。
タイミングがズレまくるよね?ガシャるよね?緊張した2ndサーブで使えるそれ?
 
あとさ。そもそも論になっちゃうけどさ、インパクト「後」に手をどんな風に捻ったところで飛び出した後のボールには何の影響も与えないよね?インパクト「後」にたとえラケットを放り投げたとしてもボールは何も変わらないですよね?インパクト「後」に無理やり手を捻る練習ってどうなの?
むしろ、「自然にプロネーションが発生した。てことは、いい打ち方ができたんだろう。だから今の打ち方のイメージをつかんで、何度も発生するように練習してみよう」という帰納法的なアプローチのヒントにする程度でいいんじゃない?(個人的にはそれすら必要ないと思うけど)

 

○参考記事2点

・実はプロネーションして打っていない
http://www.tennis99.jp/99/archives/3059

・積極的に回内(プロネーション)させている様子は見られません
http://tennis.ldblog.jp/archives/46082899.html

 

・リリース後、内向きにネジられた野茂投手の腕

運動連鎖というより「回旋連鎖」という表現がピッタリきそうです。

https://youtu.be/U_u722DJu8w?t=295

 

野球のピッチャーは、球を離したあと写真のように腕が内側に捻られるのが普通です。
とあるカンファレンスで直接、野茂英雄投手にこの件を確認したところ、その回答は
「意識して内側に捻ったりしてない。したらシュートしちゃう。腕を真っすぐ振ってるだけです」
サーブにおけるプロネーションも、プレイヤーにとってはそういう種類の動作だと思うんですね。

・運動には無意識で起きてしまう動作があること(主に反射による)
・慣性力のイタズラによって意図した軌道とは異なる軌道を描くことがあること(主にコリオリ)
この2点についての理解が必要なのかもですね。

無意識の動作を意図的にトレーニングすることは、スムーズな動作を阻害して、故障やイップスを誘発するおそれもあります。頭で考えて意識してしまうと、本来の動きとは違ってしまうケースはとてもとても多いです。ホントとてもとても多いです。指導者には、それらの見極めが求められるのかもです。

 

・22話 反射を考慮しないコーチングの恐さ

http://www.beta-e.co.jp/p15/p15_web_mental_coaching_book_22.shtml

 

スパイラルリリース  - 上達屋 オフィシャル・チャンネル  

https://youtu.be/vDs8qIXEzmk
 
・参考:FAQ スパイラル・リリースで腕を内向きにヨジることで、肩や肘を痛めることはありませんか。
http://www.beta-e.co.jp/p05/p05-P&B.shtml

【要約】ありません。
スパイラル・リリースを起こすように使ってやることが、肩や肘にとってはやさしく自然なことなのです。ですから、それを無視して、大脳で「ヨジってやれ!!」と思うことは危険なのです。 

・参考:W-スピン >スパイラルリリース
https://ja.wikipedia.org/wiki/W-%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%B3#.E3.82.B9.E3.83.91.E3.82.A4.E3.83.A9.E3.83.AB.E3.83.AA.E3.83.AA.E3.83.BC.E3.82.B9

【要約】人体には無意識のうちに運動を統括するとされる制御能=CPG(Central Pattern Generator)が脊髄レベルで存在すると考えられ、投球はRSSCという脊髄レベルでの反復、反射=不随意運動によって構成されている事実。ここから人間本来の理想のスウィングはCPGによって保存され、その運動様式の一環としてダブルスピンとの関連性が推察されている。

 

 ※要約は私のバイアス入りまくってるのでリンク先から本文を確認して下さい。


すでに1998年に発表された理論です。当時この理論を読んで、興奮のあまり寝付けなかったのを覚えてます(笑)。

 


○プロネーションの役割は、加速でなく減速
「プロネーションはパワーを追加してくれる最後の一押しだ」という説明をする方もいますが個人的には懐疑的。プロネーション自体がエクストラなパワーを追加してくれることはほぼほぼありません。むしろインパクト後のスピードを減速させることに役立ちます。
 
人の腕はおよそ3kgとか5kgとか言われます。

1.5Lのペットボトルを2つ入れた袋を時速100キロで100回も振り回してストップさせたら筋肉には強いストレスがかかることは容易に想像できます。

サーブのインパクト後、時速100キロで腕がすっ飛んで行かないように筋肉がブレーキをかけますが、これがエキセントリック収縮状態(筋肉を収縮させようとするけど引き伸ばされちゃう状態-筋肉のダメージが最も高いと言われてます)。結果、サーブで肩の後ろ側を痛める人も多いようです(ただし、この痛みはインピンジメントと違って安静にしてれば回復する種類の痛みです)。

  ※筋トレする人ならエキセントリック収縮のリスクは常識だと思いますが


プロネーションは、運動連鎖でピークに達したエネルギーを上手に分散して、筋肉を痛めない程度に減速させてくれます。
車でいうとこのエンジンブレーキのような、身体に優しいブレーキ機能です。

 


よくあるのが、ジュニアがサーブ動作のフィニッシュのとき前のめりにバランスを崩すケース。

腰が折れておじぎしちゃったりとか。ラケットヘッドで地面を叩いちゃったりとか。
原因は、プロネーションが無いため減速ができずにラケットの慣性に引っ張られるからではないかと想像します。
(慣性力に対して体重が軽すぎるからというのが主要因だとは思いますが)

 

 

 

○この話の落としどころとして

落としどころとして「自然に起きちゃってもいいよ。でも気にしないけどね」ぐらいでどうよ。
結果的に回内しちゃうのがプロネーション。意図的に力入れて回内させるのとは発想が違います。
これまで骨の動き、筋肉の働き、画像で確認してきたように、親指をリラックスしてセットしてやれば自然発生的に起きてしまいます。「仕事の成果はその8割が準備で決まる」と言いますが、事前の準備だけしておいてスイング時は意識しない。放っとく。
「プロネーションを回す」のではなく「回ってしまうのを邪魔しない」程度の認識でよろしいかと。

 

 

プロネーションが上手くできなくてお悩みの方むけに、私なりのやり方をご紹介しました。
意図的にプロネーションするぞぉって動作はしなくても、親指を工夫するだけで勝手にできちゃう方法でした。
たまたまアナタに合えばラッキー!合わなければ笑って忘れて下さい(笑)

 

 

 

○関連リンク先:サーブの回転量の調整、どうやってる?
https://labola.jp/blog/user/263055/9000000000007984

 

○関連リンク先:【期間限定】サーブは野球少年から学べ!コーチが教えてくれないマル秘グルグル
https://labola.jp/blog/user/263055/9000000000009305


○関連リンク先:いまどきフォアの打ち方!! 3つの原理原則
https://labola.jp/blog/user/263055/9000000000005314

○参考記事:プロネーションは使うな!~サーブは薄いグリップで~
https://labola.jp/blog/user/263055/9000000000000051

○関連リンク先:自分の書いた「テニス」に関するブログ
https://labola.jp/user/263055/blog?tag=%E3%83%86%E3%83%8B%E3%82%B9

 

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