☆ユニフォームの記憶(1)~ミラクル市川~


先日、甲子園歴史館を訪れ、展示されていたあるユニフォームを見て懐かしい記憶がよみがえった。

それは、1990年(平成2年)の第43回秋季関東大会を制し、翌年の第63回選抜大会に春夏通じて甲子園初出場を果たした山梨の市川高校である。
全国的には無名の公立校ではあるが、『春は投手力』という言葉があるように、個人的には本格派右腕・樋渡卓哉投手に期待していた。

市川高校は初戦で野球王国大阪の浪速高校を 3 - 1 で破り甲子園初勝利を挙げると、2回戦は秋季関東大会決勝で勝利した栃木の強豪・宇都宮学園(現・文星芸大附属)と対戦。
関東大会のリベンジに燃える宇都宮学園は初回に1点、8回にも1点を追加し9回表終了時点で 2 - 0 とリードする。
しかしその裏、市川はこれまで完全に抑えられていた宇都宮学園のエース戸山を攻略し、一気に3点を獲り逆転サヨナラ勝利をおさめた。

宇都宮学園 1 0 0 0 0 0 0 1 0 = 2
市川    0 0 0 0 0 0 0 0 3x= 3


続く準々決勝も同じ関東勢で群馬の強豪・桐生一高と対戦。
3回に1点リードするも9回に追いつかれ、そのまま延長戦へ。11回表、桐生一の鈴木にホームランを打たれ逆転を許してしまい、万事休すと思われた。
しかしその裏、これまで1点に抑えられた桐生第一のエース河野を攻略し、1点を返しさらに2死一・三塁の場面で古屋が決勝サヨナラ打を放ち、2試合連続逆転サヨナラ勝ちをおさめた。

桐生第一 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 = 2
市川   0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2x= 3


市川高校は春夏通じて甲子園初出場、しかも2試合ともリードされ後がない状態での逆転サヨナラ勝利は史上初の快挙であったことから、スポーツ新聞も一面で大きく取り上げ、さらにテレビ番組で特集が組まれるなど市川高校の快進撃は全国を賑わせた。
そして、無名の公立校の快進撃を『ミラクル市川』と称え、高校野球史にその名が刻まれた。





以上です。

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