(※はてなブログより転載)沖縄尚学の野球とは、「僅少差を守り勝つ“力の野球”」である <2019年選手権・沖縄県大会>

 

1.夏の不振が続く沖縄尚学

 沖縄尚学が、このところ精彩を欠いている。

 

 2014年、春夏連続で8強進出を果たしてから、実に4年間も甲子園が遠い。それはまるで、近年の沖縄高校野球の低迷をなぞるかのように。

 

 とりわけ“夏”の苦戦が続いている。興南と準決勝を争った2015年を最後に、何と三年連続で4強入りさえ逃している。しかも、興南沖縄水産といった甲子園経験校でなく、普通県立校にあっさり敗退するケースが増えてきた。

 

 なぜ、あの沖尚が勝ち切れなくなっているのか。その原因について考える前に、まず彼らの野球スタイルというものについて、個人的な見解を述べることとしたい。

 

2.沖尚の野球とは?

 

 沖尚の野球――これを簡潔に表現するなら、すなわち「僅少差を守り勝つ“力の野球”」である。

 

 意外に思われた方もいらっしゃるかもしれない。通常“守り勝つ”というと、もっとチーム戦術を駆使した細かい野球をイメージしがちだからだ。しかし、沖尚に関しては、それが当てはまらないのである。

 

 沖尚の試合を見ていると、序盤から中盤にかけて、一見すると淡白なバッティングが目に付いたりする。時には、初球から難しい球に手を出し、あっさり凡フライ……というようなシーンさえ珍しくはない。

 

 ただ、これはチームとして相手投手を攻略するというより、各打者の“感覚”を大事にしているように思われる。一打席目よりは二打席目、二打席目よりは三打席目……と、次第にタイミングが合ってくる。

 

 そして、各打者が相手投手にアジャストしてきた終盤、一気に攻略する。

 

 象徴的な試合が、2008年に二度目の優勝を飾った選抜大会の準決勝・東洋大姫路戦である。この試合も、中盤までは相手の主戦・佐藤翔太の前に僅か4安打に抑えられていたが、八回裏に一気の集中打で逆転した。

 

 ただ……この戦い方、ハマると強いのだが、弱点もある。

3.沖尚の弱点

 簡単にいえば、打撃戦――それも序盤に4点以上のビハインドを負うと、反撃はするも同点・逆転まで持っていくことができない(相手投手と相性が良かったり、不調の時に当たったりすれば別だが)。

 

 ビハインドをひっくり返すようなチームというのは、点を取れない序盤から中盤においても、すでに“伏線”を張っている。例えば、ファールで粘ったりして、終盤の疲労を誘う。

 

 しかし、沖尚のバッティング・スタイルでは、さほど相手投手に球数を投げさせることができないから、土壇場で凌ぎ切られてしまいがちである。

 

4.ある“条件”さえ満たせば、沖尚は一気に蘇る!?

 と、なると……沖尚のようなチームが勝ち上がっていくには、ある“条件”を満たすしかない。

 

 ずばり、“全国レベルの好投手”を擁することだ。

 

 身も蓋もない結論となってしまうのだが、沖尚の近年の不振の“最大の要因”は、はっきり言って好投手の不在である。

 

 もちろん、投手の力が勝敗に直結するのは、どのチームにも当てはまるのだが、沖尚の場合は特にそれが顕著である。彼らの試合ぶりを見ていると、ロースコアの展開で勝ち切ることを想定した戦い方に思えるからだ。

 

 先に「僅少差を守り勝つ“力の野球”」と書いた理由は、ここにある。力のある投手がいて、終盤までロースコアの展開に持ち込むことができれば、最後に各打者の個人能力により、力で相手投手を打ち崩して突き放す。

 

 投手の“力”と打者の“力”。二つの力で相手を凌ぎ、ぎりぎりの所で上回って勝つ。これこそが“沖尚の野球”だと私は思う。

 

 選抜優勝投手の東浜巨だけでなく、2014年春夏8強の山城大智、2005年春8強の前嵩雄基、2003年夏に二試合1失点の広岡聖司。そして1999年選抜優勝の比嘉公也(現監督)・照屋正悟の両左腕。沖尚が全国の舞台で暴れまわった時には、必ず力のある投手がいた。

 

 残念ながら、今そして近年の沖尚には、失点を計算できるほどの好投手はいない(県内のチームにさえ点を取られてしまうのだから)。現在、そのレベルの投手が育っている様子も見られない(もしかしたら新入生にいるのかもしれないが)。

 

 逆に言えば、せめて一人でも力のある投手が加入さえすれば、沖尚は一気に勢いを取り戻すと思う。さあ、今年は果たして……

 

タグ

Commentコメント

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。