石田三成の逸話 (2010,9,27)

  • Miya
    2010年09月27日 02:13 visibility212

石田三成という歴史上の人物がいる。
この人が何を為したのか、
好きかどうかは別として、
子供の頃に聞いて、
とても好きな逸話がある。

伝説といってもいい。(信憑性はこの際、問わない)


三成は関ヶ原の戦いの時から、下痢をしていて、捕えられて斬首されるまでこれが治らなかった。
いざ斬首される際、喉が渇いたと言い、柿を差しだされたが、それは腹に悪いと言って断った。
「今から首を斬られるものが何を言うか!」
と、笑われたが、
三成は毅然として、
「大志あるものは、最後の瞬間まで命を大切にするものだ」と答えたという。


この話はとても印象に残っている。




今、インドネシアで仕事をしているが、
時々信じられないことがある。
日本とインドネシアの文化や習慣の違いなのか。



たとえば、仕事で部下に得意先へ電話をするよう指示する。
朝指示して、夕方成果を確認すると、
「電話に出ませんでしたから連絡できていません」
と答える。
たしかに、担当者が席を外している、電話が繋がらないなど、コンタクトできない場合はある。
「何度、電話をかけてみた?」と訊くと、
それが・・・だいたいは1回か2回なのである。

「だって、不在でしたので」
「だって、電話に出ないので」

それで終わり。なぜそんなにすぐ諦めるのか?



ギブアップのレベルが異常に低い気がする。


自分なら何度か電話してみて、10回でも20回でもするだろうし、他の方法でその担当者をつかまえることを考え、試してみる。



それを教えようとして話すと、
ちょっと変な目で見られる。
「そんなことをしたって無駄ですよ」
「そんなことをしたって、ほとんど無駄で終わる可能性の方が多いでしょうに・・・」
「そんなにしつこくしたら、相手に嫌われますよ」



まあ、だいたいの考え方はこうだ。

1回やってみて失敗したのだから、
すでにそれは失敗だと学習したのだから、やる価値はないと判断し、余計なことはしない方が賢い。
なぜ、そんな愚かしいことをするのか?
疲れるよ・・・そんなの!



オイオイ、仕事が疲れるのは当たり前だろう。
たとえ、100回無駄骨を折ったとしても、
1回の成果を手にするために、できるまでアレコレと試行錯誤するのが仕事だぞ。


おまえらは確かにオレより賢いかもしれない。
オレより失敗の数は少ないだろうよ。
おまえらが1回の失敗で終わるところを、
オレなら100回でも200回でも失敗するさ。
でも、少なくとも、おまえらよりオレの方が成功の数は多いと思うよ・・・悪いけど!




それに・・・。


仕事は成功しないと仕事とは言えないと思う。




彼らに石田三成の話をしたら・・・笑うだろうな。
なぜそんな無意味なことをするんだと。

そう、三成の場合は、まったく救いがない。
だって、次の瞬間、死んでしまうんだから。
柿を喰おうが、何を喰おうが、どうでもいい。
しかも、いくら大志があろうとも、
その大志が実現することは絶対にあり得ない。
この場合は、もう100%ないと思う。
カンペキにわかりきっている。


それでも、三成は「最後の瞬間まで、命を粗末にしない=大志を諦めない」と言ったのだ。



こんなに往生際の悪い男はいない。

たんに、負け惜しみで言っただけかもしれない。




でも、この話が好きだ。






三成は首を斬られ、絶命した。


正確に言えば、振りかざされた刀が首をズブリと横断し、胴と頭部を切り離したのであるが、まさしくその首の皮一枚が残っていた瞬間まで、まだギ
ブ・アップしなかったかもしれない。

首に刀がめり込んで、いよいよ肉と骨をブツ切りにする刹那においても、
「いやいや、まだまだ、何が起こるかわからんぞ!!!」と自分を鼓舞し、隙を狙い、事態の逆転を念じていたのではないか。





彼の場合、結局何も起きなかった。
命を惜しんだが、その甲斐もなく処刑された。



しかし、これを、無駄な抵抗をした男の話として流す気には一向にならない。








念じなければ何も起きない。

念じよう。

念じても何も起きないかもしれない。

念じて何も起きない可能性が大だとしても、

まずは念じないと決して何も起きないのだ。



オレは念じます。


最後の最後の瞬間まで。


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