清宮のプロ入りを決めた大谷のポスティング

  • 虎男
    2017年09月23日 12:39 visibility628

清宮がプロ入り志望を表明したのが昨日。そして理由を探ってみた。清宮の最終目標は「単なるプロ入り」、「ホームランの王貞治越え」、父親の大好きな「阪神入り」でもない。「メジャーリーグ」でやることだ。そのメジャーに入るためには、まず日本のプロのステージをクリアーすると言うことにある。そして、問題は「なぜ早稲田ルートを蹴っ飛ばしたか」だ。清宮の父克幸氏は早大のラグビー部の監督をやり、トップリーグヤマハ発動機ジュビロの監督でもある。さらに母も慶應義塾大学卒の才媛であり、清宮自身が早実へ行ったのも「早稲田路線」を驀進するがためであったことは容易にわかる。しかし、この大卒の両親を持つうえで、自らの進路を高卒プロで決めたところに、最近の大谷翔平のメジャー移籍の話も影響したのは間違いない。なぜなら、世間では大谷が「220億円を蹴っ飛ばしてもメジャーに行く」と言うスポーツ誌の見出しを賑わしたからだ。

 

清宮家が金に困っているとは言わない。しかし、大谷のこの話はかなり影響しているはずだ。大学卒でプロに入れば、22歳、そしてその後でポスティングでメジャー契約を結ぶことになれば、最低3年しかいないで「メジャー挑戦します」と言われた日本のプロ球団は、最初から清宮を獲得するであろうか。たった3年で金づるが逃げて行く。なぜ25歳なのか。大谷はまだ23歳で、来年メジャー挑戦をポスティング契約で行きたいと考えている。しかし、メジャーの規約で25歳以下の海外からの選手とはマイナー契約しか結ばないと言う大谷側としては、大損な契約しか結べないのである。しかも25歳になれば「いきなりメジャー契約ができる」に変わるので、ここは1年間の「我慢」と「きちんと調整を続けて行く」と言う地道な努力が必要になる。そこへ持ってきてドラフト前から巨人とソフトバンクは「ポスティングによるメジャー移籍は許さない」と言う球団方針があるところは、いくらドラフトで清宮を獲得しようとしても「門前払い」をくらうのは必至。

 

清宮がプロ入り志望届を提出するに至ったのは、プロで長くやりたくない、早くメジャーに行くと言うことを視野に入れるとしたら、18歳で入って、1軍に145日間の登録が8年できたと仮定して、26歳で国内FA権取得、そして次の年には海外FA権取得となり、最低でも27歳になってメジャー移籍がどの球団にはいったとしても可能になると言うわけだが、その姿勢をきちんと12球団に示すには高校卒業の時点で「プロ志望」しておかないと、3年しか球団に所属しない人間をプロ球団が獲得する前の「金勘定」でそろばんをはじいて採算が取れると思う球団は少ないはずだ。しかも、「日本のプロを踏み台にします。」とドラフトにかかるまえから公言しているのだから、その自信たるや恐ろしい。ただ、清宮がどの球団と交渉し、どういう契約を結ぶのかが非常に興味深い。理由は、大谷のようになるのか。未だ球界の至宝だと言われづづけている大谷。だが、良く考えておくべきなのは「プロ野球選手になり一軍でかなりの数字を残せるようになった」としても、油断は禁物だ。いつ藤浪晋太郎のようなメンタルアクシデントに襲われないと言う保証は全くない。

 

最後に今後増加すると懸念されるのは、日本の球界を蹴っ飛ばして高卒の時点でアメリカへ飛び立つ、マック鈴木のような人間がこれから増えるかもしれないことだ。懸念と言うのは今の現行のNPBの規約では、「ドラフト会議をボイコットして、アメリカなど海外でのプロ球団と直接契約してしまった選手は、帰国後2年間はNPB傘下の球団との契約はできない。」と言うことになっている。ENEOSの田澤投手がこの例に抵触する形でボストンレッドソックスとの契約を結んだのは有名。だが、それほど自分に自信があるなら、日本のプロ野球など気にせず、己を信じてマイナーリーグ契約でかまわないから、高卒で渡米してどんどん自分の納得いくようなメジャー目標の野球に邁進して来る度胸のある選手が出てくるべきだ。日本なんかまだまだひ弱だ。プエルトリコやキューバの野球選手は、最初から渡米して、失敗して帰国するなんてことを考えてません。日本の連中は日本のプロ野球で「経験と補償をもらって」と言う彼らと比較したら「羨ましいほどの選択肢の多さ」を持っているので、ハングリー精神が無いなんていわれてしまうのだろう。清宮に「プロよりメジャー狙いで渡米します」と言って欲しかった虎男です。

 

 

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