巨人の前半戦を振り返るー投手編

巨人のチーム防御率は2.21(昨年はシーズン全体で2.61)で、セリーグで1位(昨年は2位)である。先発投手の防御率は2.31(昨年は2.72) でリリーフ投手の防御率は2.00(昨年は2.40)であってこれもリーグ1位。昨年に比べて、全体・先発・リリーフのそれぞれについて、シーズン途中ではあるが0.40改善したことになる。ちなみに、昨シーズンのチーム防御率一位(今年はここまで2位)の中日は、全体が2.52(昨年2.46)、先発が2.68(昨年が2.61)、リリーフが2.20(昨年が2.10)で、昨年と同程度かやや悪化している。

先発投手については、外部補強の効果が大きい。杉内(16試合9勝2敗、防御率1.87)・ホールトン(14試合7勝6敗、防御率2.95)がしっかりローテーションを守り結果を出した。内海(17試合8勝6敗、防御率1.66)、澤村(17試合7勝7敗、防御率2.54)の4本柱を中心に、ゴンザレス(7試合3勝1敗、防御率3.41)、宮國(7試合2勝1敗、防御率1.86)を加えて先発陣を形成した。

 杉内は巨人が昨年苦手とした能見投手(阪神)や岸投手(西武)等と投げ合っても勝ち、チームに自信を付けてくれた。5月のノーヒットノーランもあり、結果で自分が「エース、18番、最高「給」投手」にふさわしいことを示した。

 内海も昨年終盤ほどの安定感はないものの、きっちりと成績を残している。

 澤村は、交流戦で4連敗するなど一時不調におちいったが、交流戦があけて3連勝して星を5分に戻した。ただし、まだ本調子ではない。昨年オフの肉体改造の結果が良いのかどうかはまだよくわからない。

 ホールトンは「5回3失点」がデフォルトのようなピッチングを続けていたが、夏場になって他の投手に疲れが見え始めた時期に調子を上げてきた。防御率では、4本柱の中で最下位だが、WHIP(1回あたりに安打か四球でランナーを出す率)は1.01で杉内の0.93に次いで二位である。

 逆に昨年の先発の柱の一人であったゴンザレスは、3勝こそしているものの、防御率は3.41と悪く、WHIPは1.75と悪さの目安である1.4をはるかに越えている。キャンプ当時はスリムになったかに見えた体が明らかに太り気味になっており、5回を投げるのがやっとの状況が続いている。ケガから復帰後4試合投げたが、どの試合の内容も同じようなものなので、外国人4人目の枠を争うボウカーの結果によっては、後半戦は2軍のまま(今は、オールスター休みで2軍降格中)ということもあり得る。代わりの先発は、イースタンで結果を出しつつある小山や小野を使ってくることが考えられる。

 巨人の若手ファンの希望の星:宮國(高卒2年目、20才)は、若手投手らしからぬ変化球主体のピッチングで2勝を上げたが、交流戦初戦の5月16日のオリックス戦で肩の違和感を訴え2軍落ち。2ヶ月間2軍で鍛えて上がってきた宮國は、その成果で直球のスピードが数km/hアップしたが、向上した筋力に見合ったピッチングスタイルができておらず復帰初戦の7月15日の中日戦では5回3失点で負け投手となった(舎人さんがこの日記で詳しく解説)。今後のピッチングに注目である。

続いてリリーフ投手である。昨年終盤で頼りになるリリーフは山口・久保のみであったにも関わらず、久保が股関節の手術で出遅れ、やむを得ず、西村をリリーフへ再転向させたものの、唯一の外部補強のマシソンがシーズン当初はノーコンで使い物にならず、無理矢理間に合わせた久保は肩の故障で離脱とシーズン当初は前途多難のスタートであった。幸い、山口・西村が好調だったものの、久保・マシソンが使えない分、昨年来の課題である「7回」を任せられる投手がおらず、シーズン序盤から山口に2回投げさせたりしていた。しかし、2軍コーチの指導がよかったのか、4月半ば過ぎに1軍に昇格したマシソンはノーコンをほぼ解消させており、4月下旬には、S.マシソン(S)・西村健(K)山口(Y)のSKYが確立した。巨人の快進撃はこの時期から始まっているので、投手陣については、SKYの確立が巨人好調の最重要要因であろう。
 さらに、2005年のドラフト希望枠ながら、伸び悩んでいた福田(29才)を2軍で好調とみるや昇格させ、当初は不安定な投球を続けるものの我慢して起用してSKYに次ぐ投手とした。また、ルーキーの一岡(ドラ3、21才)、高木京(ドラ4、23才)、江柄子(ドラ6、26才)、田原(ドラ7、23才)を思い切って起用しリリーフ陣の厚みが増している。去年までとは一変した投手の昇格・起用であり、川口コーチの手腕と考えられる。
 懸念は、好調期が長く続く故のSKYの登板過多である。マシソンは前半戦最終戦の阪神戦では、体の張りを訴えてベンチから外れた。マシソン以上に酷使されている山口は現在45試合登板であり、このままだと年間80試合登板となってしまう。後半戦は、上述のルーキー達をうまく使って、SKYの負担を減らしつつ戦うということが大切になるだろう。

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