原監督の過去~現在にいたる采配の傾向を考える.

原監督の過去の采配を振り返り,彼の傾向について考えたいと思います.

2002年:第1次原政権1年目.清水・仁志・高橋由・松井・清原・江藤・二岡・阿部,上原・工藤・桑田・高橋尚という今からみても図抜けたメンバーに斎藤宣・真田といった新戦力をからませ,長嶋監督時代は不十分だった投手陣の分業を確立してリーグ戦は2位に11ゲーム差をつけて圧勝.日本シリーズでも4連勝で西武を退けた.

2003年:原政権2年目.ペタジー二を獲得したものの,松井が抜けた穴を埋められず首位に15ゲーム差をつけられて3位に沈む.フロントとぶつかってオフに退任.

2006年:第2次原政権1年目(通算3年目).ローズ・清原を切り,李・パウエルを獲得して臨んだ物の首位に23ゲーム差をつけられて4位.

2007年:第2次原政権2年目(通算4年目).FAで小笠原・門倉を獲得.中日・阪神との激しい競り合いを制して1.5ゲーム差で優勝.ただし,CSでは中日に3連敗して日本シリーズには進めず.

2008年:第2次原政権3年目(通算5年目).ラミレス・クルーン・グライシンガーを獲得して臨んだシーズン.シーズン前半は,昨年のペナントで無理をさせた選手(高橋由や小笠原ら)のケガや不調で勝率5割すら達成できない状況が続いたが,その間に山口・越智といったリリーフ投手を育て,遅れていた選手がそろうまで辛抱強く戦い,後半に一気に勝ち進んで,はるかに先行していた阪神をひっくり返して2ゲーム差で優勝.CSも勝ち抜いたが,日本シリーズでは西武に惜敗.

2009年:第2次原政権4年目(通算6年目).シーズン前に特に大きな補強無かったが,野手では小笠原・ラミレス,投手ではグライ・ゴンザレス・クルーンを中心にしてペナントは2位に12ゲーム差をつけて圧勝.CSも勝ち抜き,日本シリーズも日ハムを下して優勝.

2010年:第2次原政権5年目(通算7年目).特に大きな補強無し.中日・阪神との三つどもえの競り合いに敗れて1ゲーム差の3位.CSでは阪神に勝ったものの中日に敗れる.

2011年:第2次原政権6年目(通算8年目).前年優勝を逃したのにも関わらず特に大きな補強無し.おそらくこのあたりから,育成重視の清武氏と原監督の間の食い違いがひどくなったと思われる.選手を育てることができず,采配も迷走して中日・ヤクルトとの競り合いに負けて首位と3.5ゲーム差の3位.CS第1ステージでヤクルトに敗退.「今年は戦力が足りない中で戦ってきた.」と暗にフロント(清武氏)を批判するコメントを公言.

2012年:第2次原政権7年目(通算9年目).FAで杉内・村田,外国人でホールトン・マシソン等を獲得.ペナント前半の3-4月は苦しんだものの,5月以降は7割を越える勝率を続けて圧勝.多くの若手投手を育てると共に,若手野手にも機会を与えつつある.

*全体的な傾向として,戦力が十分と原監督自身が判断した時は,(序盤不調でも辛抱ができて)よい采配をして若手の育成も図るが,足りないと思うと采配が迷走し若手も育てられない(むしろベテランに頼る)ということである.

*監督としては,強いチームだと力を発揮できるが,弱いチームだと駄目というタイプだろう.率直にいって,現状では,巨人以外のチームで監督をして成功をするとは思えない.

*「戦力がそろったチームなら誰でも良い采配ができるじゃん」と思う人もいるかもしれないが,優勝が当然視されるチームの監督というのはプレッシャーがきつい.そういうプレッシャーには強いことは,WBCで日本チームを優勝させたことでもわかる.スキャンダルにも強いのは今年の結果が示している.また,育ちの良さからか,意図的な自己顕示欲はなく,他人のやり方を取り入れるのに抵抗が少ない.彼の采配には,落合氏の影響が大きく認められるし,橋上コーチをいれたことでヤクルト(野村さん)の采配も入って来た.阿部を手放しでほめることができるのも彼のよい面だと思う.

*今後の去就だが,スキャンダルで「さわやか原ブランド」は地に落ちてまだ回復していないと思うし,監督としては巨人以外の球団では成功が難しいと思うし,「巨人愛」も強い人なので,読売側から切られない限り,巨人の監督を続けるのではないだろうか.




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