巨人がFAやメジャー帰りの野手を取りにいかない理由(11/18,197260,7)

  FA選手では,内川選手について広島・ソフトバンクが,後藤選手について中日が,
藤井捕手について阪神が,細川捕手についてソフトバンクが手を挙げています.
メジャー帰りの選手については,岩村選手は楽天が獲得,松井稼選手について楽
天・オリックスが手を挙げています.そんな中で一向に巨人の名前が出ないのは
奇異な感じがします.FA選手を取らないと宣言すらしました.

考えられる理由は

1.金がない.
2.欲しい選手がいない.
3.育成重視

です.球団側は3を挙げていますが,それだけではないでしょう.2も考えら
れますが,藤井・細川の両捕手は別として,内川・後藤・岩村・松井稼の各選手
は,巨人の補強ポイント(打てる内野手)に合致しており,ちょっと違う気がし
ます.
実は結構1があるのではないかと思っています.もう少し付け加えると
3の育成に金がかかるので選手人件費を減らす必要があるのではないかと
いうことです.そういう意味ではこれも結局3かな?

DIMEさんが以前「結局,アマチュアのスター選手や
FA選手や外国人選手を取る方が
育成よりも効率的だから,各球団は金をかけて獲得するのだ」という趣旨のこと
を言われていました.時間的に育成が非効率なのは明らかですが,経済的にも
非効率です.アマチュアのスター選手やFA選手や外国人選手よりあたり外れが
大きい以上,ある程度の人数を抱える必要があり,そのための施設や環境を
用意する必要があります.加えて,育成の結果がでるのは先ですから当面は,
金は出て行くばかりです.

育成選手制度は,広島と巨人が提唱してできたものです.しかし,広島の
抱える育成選手は5名程度なのに対し,今回の育成指名も入れると巨人は20名と
なります.人数では二位のロッテも10名以下の筈です.

5名程度では,なかなか効果が出てきません.したがって,
「育成」の広島が,今回,ついにFAで内川選手を獲得しようとしている訳です.
他方,巨人は20名育成するつもりだからこそ,山口・松本といった成功例が
でてきた訳です.「宝くじはたくさん買わないと当らない」訳です.

では,非効率な育成にどうして巨人は投資するのか.1つは,ドラフトの存在が
あります.ドラフト制度がある以上,アマチュアの有力選手を優先して取ること
はできません.2つめは,FA市場に加えてアマチュア市場にもMLBが入ってきた
ということです.日本国内だけなら,資金力で巨人は優位にありましたが,MLB
が入ってくると資金力では太刀打ちできません.松井秀のように,巨人生え抜き
のスター選手すらMLBに流出する有様です.トレードは本来五分五分の取引です
し,外国人選手だって明らかに有能な選手はMLBに行ってしまいます.結局,従
来の4つの選手補強方法(ドラフト・FA・トレード・外国人選手)で優位になれ
ない以上,第5の補強方法(育成選手制度)に集中投資することで
巨人の優位性を保とうとしている訳です.そして,これを強力なリーダーシップ
で推し進めているのが清武さんということになります.いわゆる「第2の2軍構
想」です.

とはいいながらも,巨人だって無尽蔵にお金がある訳ではありません.昔の巨
人戦の地上波中継は20%を越えていましたが,娯楽の選択肢が広がった現代では
10%を越えることすら難しくなり,地上波による中継は激減しました.中継料だ
けが収入ではないでしょうが,昨今の不景気もあり,収入は減っている筈です.

他方,ジャイアンツ球場の雨天練習場整備やナイター設備等,育成用の施設や
環境整備のために,10億円単位でお金は出ていっています.清武さんの肝いりで
2軍の試合数が増えていますが,これだって遠征等のためにお金が掛かるはずで
す.・・・となれば選手人件費に目を向けるのは企業経営として当然のような気
がします.

李(6億円)・クルーン(3億)・豊田(1.7億)といった高額選手を自由契約
にしたため,ナベツネが公言したように約10億円の選手人件費が浮いた形になっ
ています.この浮いた10億円を今後どのように使うのかで,上記の私の想像がど
の程度当っているかがわかると思います.

参考
巨人の選手人件費(総額,公表されている推定値を加えたもの)
2007年:46億円
2008年:53億円(ラミレス・クルーン・グライの獲得のため増額)
2009年:46億円(上原や二岡・清水等の流出のため減額)
2010年:49億円(リーグ3連覇と日本シリーズ優勝のため増額)
2011年:?

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