山本周五郎さんについて 

山本周五郎の場合はおすすめは,赤ひげ診療譚です。連作短編集(私はこの形式が大好き)で読みやすく,山本さんの人生観が主人公の一人である赤ひげ(江戸時代の病院:小石川養生所の医師:新出去定)に託されて出てきます。当初は赤ひげに反抗しながら,次第に彼に心服し,人間として成長していく,もう一人の主人公:保本医師もいい。

 この物語は,1972-1973年にNHKでドラマ化されていて,赤ひげが小林桂樹,保本があおい輝彦でした。よくできたテレビドラマで,実際,私はこれがきっかけで山本周五郎を読むようになりました。このドラマで私にとって新鮮だったのは,岡っ引き(黒沢年男)が町の嫌われ者として扱われていたことです。それまでのTVドラマでは,岡っ引きは常に町のヒーローでしたので,子供心に非常に意外な気がしました。赤ひげは,監督:黒沢,赤ひげ:三船,保本:加山雄三で1965年に映画化もされています。もちろん,映画の方が先ですが,私の場合は,TVドラマの方が先でした。映画もよかったけど,個人の印象としては,TVドラマの方がよかったかな・・。まあ,今,両方を同時期に見れば,印象も違うのでしょうが・・。

 山本周五郎がもっとも愛するタイプの人間が,「さぶ」という小説にも主要人物の一人(さぶ)としてでてきます。これは,テレ朝系で2002年頃にドラマになったとかですが,私は見ていません。この「さぶ」と浅田次郎さんが「自分の姿」とよぶ,短編集「鉄道員」の中の1編の主人公(探してみて下さい)が,私にとっては二重写しになります。それは,山本周五郎と浅田次郎の重なりでもあると私は思います。

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