生みの苦しみ (ハードオフ・エコスタジアム)

  • Mr.black
    2014年04月27日 11:07 visibility4956

長岡市から新潟市内へ移動。新潟市には鳥屋野潟(とやのがた)があり、その南側に大きなスポーツ公園が整備されています。

 

 

その中に立つ巨大スタジアム。現在新潟県のメイン野球場になっている「ハードオフ・エコスタジアム」です。

しかし上記の名称はもちろんネーミングライツで正式名は「新潟県立鳥屋野潟運動公園野球場」です。通常は「エコスタ」または「県立球場」と呼ばれるようです。

建設されたのは2009年。しかし実際にはもっと早くに建設される予定で、完成までにはかなりの紆余曲折があったそうです。

 

そもそもは県内の硬式野球場の多くが老朽化や施設の貧弱さによってNPBから敬遠されだしたのが発端。「このままではやがてプロ野球が新潟にやって来なくなる」という危機感がありました。そこに上越新幹線が完成したことをきっかけに「プロ野球をもう一度呼び戻そう」という機運が高まったようです。

 

そして「鳥屋野潟の南側を整備して野球場・サッカー場などを集約した一大スポーツ公園を作る」ということが計画されました。

最初の予定ではこれらの施設を一挙に作る計画だったそうです。しかしサッカーW杯の日本開催が状況を変えました。

W杯の試合会場に新潟が立候補し、当選したことによりサッカー場の規模を当初の計画よりもグレードアップさせる必要があり、結果的に予算の関係で野球場の建設が後回しになったのです。

 

 

その後も新潟を襲った地震の復興に予算が回されるなどで遅れに遅れた野球場の建設。

県内の関係者からは「いつになったら新球場は出来るんだ!」と不平不満の声も起こったようです。

 

ようやく建設が決まった時、今度は設備面での折り合いが難しかったと言われています。

「グランドは内野土、外野天然芝」、「いや、全面人工芝」

「ドームにしてプロ野球チームのフランチャイズを目指す」、「いや、屋外型球場がいい」、「折衷案で当初屋外型、のちにドームに造り替える」

こんな感じでかなり難航したようです。

 

 

結果的にはご存じのように全面人工芝の屋外型球場になりました。

人工芝はクッション性の良いロングパイルを使用。

 

 

ただし先行き不安材料もあるようです。新潟は雪国。しかも屋外球場なのでグランドには雪が積もります。積雪の重みで押さえつけられるとせっかくのロングパイルがへしゃがってしまい、寿命が短くなる可能性が指摘されています。

人工芝にしたのはおそらくはメンテナンスのしやすさとコストダウンを狙ったのでしょうが、もし寿命が短くなって総張り替えのスパンが短くなると逆に費用がかさむ可能性もあります。これはエコスタがこれから抱える課題になるかもしれません。

 

 

ところで途中に掲載した写真で「あれ?」と思われた方がいらっしゃるでしょう。

「雨で試合も無さそうなのにblackは何故こんな写真が撮影出来たんだ?」と。

もちろん勝手に忍び込んだわけではありません。(苦笑)

実はエコスタは試合が無い時でも自由に中に入って見学出来るのです。これは場内に入る通路ですが、開けっぴろげでフリーパスです。

到着してから知ったのですが、事前予約すればイベントや試合のある日を除き屋内の施設も見学させてもらえるとのこと。これは申し込んでいなかったので今回はスタンド入場のみ。

(バックネット裏の下段スタンドのみ入場可。)

 

グランドを眺めながら「いつかここで観戦したい」と思いました。はたして実現するかどうか?

 

 

グランドは両翼100m、センター122m。収容は3万人。さすがに立派ですね。

スタンドは2層になっています。

 

 

座席はバックネット裏が背もたれ・肘かけ付きの個別席。座面は跳ね上げ式でカップホルダーもあります。このあたりはプロ野球場仕様ですね。

1層目の1.3塁側は背もたれありの個別席。(肘かけ無し。座面は固定式。)

2層目は背もたれ無しの個別席。

外野は木製ベンチシートです。木材は地元の杉を使用したということです。参考までに奈良の橿原(かしはら)球場は内野が木製のベンチシートです。

 

照明は内野スタンド上部の屋根に設置。更にポール際に支柱式が2基。そして外野に2基あります。

 

 

これは球場の模型。

ところでこの球場は「いずれドームに造り替え出来るように設計されている」という説と「ドーム化は諦めて完全屋外型に造ってある」という説があります。

実際にスタンドを見て、なおかつこの模型を見ると「ドーム化は無理では?」とも思えますが、これは何とも言えません。関係者は知っているのでしょうが。

個人的には「屋根を付けるのであればいっそのこと開閉式にすれば面白いかも」と考えています。それは福岡ドームのような「屋根を閉めれば完全密閉」なものではなく、「屋根を閉めても外気が入るスタイル」です。

 

 

 

球場初アーチを放ったのはカープの栗原選手。その記念バットとボールです。

これで彼の名前はずっと残りますね。こういう巡り合わせも「選手の運」です。

 

 

今年は8月5日に「巨人ー横浜DeNA戦」が行われます。メンバーさんで遠征する人はいらっしゃいますかね?

 

最後に交通アクセス。

普段はJR新潟駅南口から路線バスに乗車。便はおおよそ1時間2~3本程度。

「市民病院行き」に乗車。20分くらいで「スポーツ公園」停留所で下車。球場は目の前にあります。運賃は270円。(訪問当時)

そしてNPBの試合開催時には臨時シャトルバスが増便されるそうです。BCL「新潟アルビレックス」の公式戦でも臨時バスは出るようですが、これは未確認です。

この球場最大の問題は帰路の交通状況。鳥屋野潟が障害となって新潟駅へは迂回路になります。その道は限られているので試合終了後は大渋滞になるそうです。

慣れている人は試合終了前に帰るようです。

 

 

生前「新潟にプロ野球チームが欲しい」と願っていた水島樹人(みきと)少年。

少年の死後その夢は実現しました。

しかしBCリーグ誕生を見届け、応援していたお母さんの正江様も昨年急逝されました。

新潟の野球界はこれからどんな未来を辿るのか?

エコスタをはじめとする県内の野球場がそれらを見守っていくのでしょう。

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