【予想】井岡一翔vs田中恒成

spa
2020年12月25日 09:16 visibility514

｢この試合は全然ビッグマッチじゃない｣

｢彼と僕とでは持ってるものが違う。格が違う｣

井岡一翔の言葉だ。

井岡がこういう事を言うのは、井岡自身が本当にそう思ってる部分と、それを口にする事であえて自分自身にプレッシャーをかけて自分を追い込む事の両方の気持ちがあるからなんだろうと思う。

井岡が一番優れているのはコンディショニングの上手さだ。いつ、どんな試合でも井岡はベストな状態に仕上げてくる。そして序盤は劣勢に立たされても、そこできちんと我慢して、中盤からじわじわと反撃して徐々に相手を弱らせ、後半に仕留めるというパターンが得意な選手だ。

｢今回は本当に絶好調。スピード、パワー、スタミナ、全部こっちが上｣

これは田中恒成の言葉。

田中は井岡とは逆に、前半に強い選手だ。とにかく動きが速く、パワーも並以上。序盤でペースを掴み、そのままの勢いで相手を倒してしまうか、中盤から後半、やや相手に盛り返されてもそのまま判定で逃げ切ってしまえる上手さもある。そして井岡と違い田中はややコンディション作りに不安があり、ベストな状態で試合に臨めない事が幾度かあった。それでも無敗を保っているのだから田中も凄いけど、田中が井岡に勝つには、まず自分のコンディションニングをしっかりする事が大前提だ。

ま、この2人の試合を競馬でいえば、先行馬(田中)がそのまま逃げ切るか、追い込み馬(井岡)が最後の直線で相手を捉えるか。ざっくりいうとこんな感じなんだろうと思う。

いや、そう思ってた。

考えが変わったのは、映像で田中の仕上がり具合を見たからだ。今回、田中が一階級上げてのスーパーフライ級ぶっつけ本番を不安視する声があるけど、田中に関してはその不安はないと見た。フライ級時代は減量苦で、いつもコンディション作りに波があったが、減量苦から解放された事で逆にスピード、パワー全開になるのではないか。そして井岡がどちらかというとパワーを全面に押し出すタイプではない事も田中にとっては好材料だ。

たぶんだけど、井岡はいつもどおり、待ちのボクシングから入ると思う。序盤はガードを固めながら田中の動きをよく見て、丹念にジャブを突いたり、田中の隙が出たところを丹念に叩いてくるだろう。摺り足でスーっと相手の懐に入ってボディーを入れたりして、自分のペースになるのをじっと待つんじゃないかと思う。

だが、これまでの井岡の相手の誰よりも、今回の田中はスピードがある。ハンドスピードには対応出来ても、果たして井岡が田中の足に着いていけるのか？という疑念がある。足の動きはもう圧倒的に田中が上だ。そして、減量苦から解放される事によるスタミナアップで、田中のペースがいつまでも落ちないんじゃないかと思う。井岡は上手くて、丁寧で、スタミナも精神力もあるけど、このスピードの差はいかんともし難いものがある気がする。そして、田中にももちろん技術はあり、序盤リードされた井岡が展開を変えようとしたところに田中のカウンター・・・・なんて事がある様な気がする。

この試合、予想は難しくて、ファンや選手達の予想も井岡が勝つ、田中が勝つ、と真っ二つに分かれてるけど・・・・

僕の予想はズバリ、田中の大差判定勝ちだと思う。

さすがに井岡を倒すまではいかないと思うし、井岡が勝つ事ももちろん考えられるけど、明確な差をつけての田中の判定勝ちというのが僕の予想です。

やっぱり、階級を上げた事が田中にとって劇的にいい方向に進んでると思う。井岡はスーパーフライだと少し水増し感を感じる体つきだけど、田中は漲っている。ライトフライ級の時はそこまでの怪物感はなかった井上尚弥が、いきなり2階級上げて急にモンスター化したのと同じ様な匂いが今回の田中にはあるかなと。あと陣営の差も大きいかな。サラスと組んでる井岡だけど、個人的にサラスじゃ田中を攻略する策を授けられない気がするし、田中側の畑中会長はよくボクシングを知ってるし、東京五輪代表の田中亮明(兄)の力添えも大きいと思う。

書けば書くほど田中だな、これ(笑)

井岡のキャリア、上手さ、狡さ、メンタルの強さは誰もが認めるところで、井岡が田中のタイミングを掴んで田中を追い詰めるシーンも想像は出来るけどね。だからこそ、田中が熱くなり過ぎない範囲で逆に最後まで押しきっちゃう様な気がするんですよね。

鍵はフットワークとボディーワークの速さ。

井岡の技術を田中のスピードとパワーが凌駕する・・・・

そんな気がする。