日曜特番(君は杉浦忠を知っているか?)

落合博満がぼそっと言った。

「杉浦さんは200勝してないけど、杉浦さんが入れない名球会なんて、名球会じゃない」。

 

愛知県挙母高校出身、大学は立教大学、立教大学では本屋敷、長嶋とチームメイトになり後の立教黄金時代を気付いた。

 

立教卒業後は杉浦と長嶋は南海に半ば入団が決まりかけて居た。

途中南海監督の鶴岡一人の耳に「どうも、長嶋が色んな画策が有り、巨人軍に入団する意向の様だ!」。

 

焦った、鶴岡は慌てて上京して杉浦に会った。

杉浦まで持ってゆかれたらたまったもんじゃない。

杉浦は一言だけ言った。

「監督は、私がそんな男に見えますか?」杉浦の意思は石よりも堅かったのだ。

 

そして、プロ野球では、確か1959年の日本シリーズで四連投で優勝投手になった。

 

記者が勝利インタビューに杉浦に殺到する中、杉浦は静かに一言言った。

 

「今日はただ、黙って一人で泣きたい」。

 

プロ野球通算13年間で187勝、106敗。

確かに落合博満がいうように、杉浦忠さんを知る人で有れば、名球会の200勝の基準なんて何なんだろう?と疑問を感じるであろう。

 

あの、優しい、温厚な杉浦さんが今でも笑い掛けて来るようである。

 

※失礼ながら文章構成上一部敬称略しました。

 

(平成24年9月22日発刊 南海ホークス栄光の歴史から引用)

 

 

 

 

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