消えた球場（36）　さらば日生

昨日はショッピングモール「森ノ宮キューズモール」のグランドオープン初日でした。

たまたま休みだったので訪れました。この場所は日生球場の跡地。個人的に最も思い入れのあった場所なので開業初日に行けたのは幸運でした。

 

 

正面口。昔だとレフトと3塁スタンドの切れ目辺りになります。

 

 

 

初日とあってマスコミ陣もたくさん居ました。お客さんも平日とは思えないほどの数。

「珍しい物好きな関西人」らしいと言えばらしいですね。（笑）

 

 

 

 

初日とあって、こんなスペシャルゲストも来場。

かつての近鉄球団の準本拠地跡ですからね。

（厳密には「バッファくん」が来るべきですが、多分もう居ないでしょう。苦笑）

 

 

 

既に報じられていますが、一番の目玉は屋上にある無料のトラック。内側2レーンはランナー用。一番外側は歩行者用。でもこの日はもう無茶苦茶。（苦笑）

 

 

 

 

1階にある催し広場。ここで色々なイベント・講演などが行われるようです。

 

 

ちなみにここ、人工芝が敷設されており、形が野球場になっています。

 

建設プランが出た時、「かつて野球場だったことを示す物を作る」という話でしたが、どうやらこれがそれに該当するようです。

 

・・・・・でも、私が期待していたのはこういう物ではありません。

私は常々「野球場の跡地にはそこがどういうスタジアムであったのかを後世の人間が見てもハッキリわかるような物を設置して欲しい」と願っています。

往時の姿が分かる看板なり、写真パネルなり、小型の模型なり。

 

しかしこの野球型の人工芝広場以外にはモール内にそれらしい物はありませんでした。案内のリーフレットを見てもそれらしい記述は一切なし。

 

「なんばパークス」は南海が、「西宮ガーデンズ」は阪急が、それぞれ球団と球場を保有していた同じグループ内で作りました。

しかしこの森ノ宮キューズモールを作ったのは東急不動産。日生球場に対する思い入れなど全く無いのは当たり前ですね。ある程度予測がついていましたが、それでもやはり失望感が胸に湧きました。

 

 

ちょっと困るのはこれ。↑

なんばパークスや西宮ガーデンズには測量によって「かつて球場のホームベースがあった位置」にベース型のモニュメントが設置してあります。

（ただし1階の地面ではなく、上層階の床面ですが。なお、なんばパークスには同じフロアにピッチャーズプレートのモニュメントもあります。）

日生球場に行ったことが無い人がそれらと同等に考えれば「ここがかつて日生球場のホームベースがあった位置」と誤認するかもしれません。

でもこれは全く違う位置にあります。おおよそですが、球場のレフト辺りになります。もし誤認されたら悲しいです。

このあたりを見ても「かつての日生球場に思い入れのかけらも無い人間が『とりあえず野球場をイメージする物を作ればいいだろう』、みたいな考えでやったことだと推測出来ます。

 

 

↑　かつての球場正面口にあたるのはこちらの入口。森ノ宮駅からは遠い方の入り口です。（敷地の北西角）

 

 

そして下の写真が昔の階段。上から見下ろした様子です。

  

 

せめてこのあたりに日生球場の写真を取り込んだ看板でも作ってくれればいいものを。

何もお金のかかる立派な物を設置しろとは言いません。ちょっとした看板か銘鈑みたいな物でいいのです。日生球場を知らない世代の人間がここに来た時、「ああ、昔こんな野球場がここにあったのか」と認知出来る程度の物で十分です。

 

 

かつてレフト後方から球場を見つめてきた森ノ宮ピロティホール。

すっかり変わってしまった跡地を見て何を思うのでしょうか？

 

 

個人的にはこれで完全に日生球場とお別れする気持ちになりました。

「ここはもはや自分にとって来るべき場所ではなくなった」、と。

これからは心の中に大事な思い出として残るのみです。

今後は旧・日生球場のモニュメントなり銘鈑なりが後付けで設置されるなど余程状況が変わらない限りここへは二度と来ないでしょう。

（今回私の見落としで、どこかに銘鈑などがあったというのならば再度確認には行きますがね。その際には訂正日記を書くつもりです。）

 

 

 

ここは単に近鉄バッファローズの準本拠地というだけではなく、かつては高校野球大阪大会のメイン会場であり、更に大学野球のリーグ戦をはじめ様々なアマチュア野球が行われた大阪の野球人にとっての聖地です。

そういう多くの人がプレーしたり観戦したりした場所を作り直す時には「そこに関わった人たちの気持ち」を少しでいいから汲んで欲しいと思います。

 

さらば、日生。