スポーツの写真を撮る難しさ

 私がスポーツシーンの写真に魅せられたきっかけは何といっても小学生時代に出会ったカルビー プロ野球チップスだったと思います。
 小学4年の秋、ひらかたパークに菊人形を観に行く前にお菓子屋さんでプロ野球チップス3つ買ったら掛布、バース、岡田が一度に当たって感動しました。どれも顔が大写しになったピンナップ風のものでした。3枚のカードを手にして「われらの英雄凱旋」という感じで嬉しかったです。
 そして、高校生になるとJリーグチップスが発売されました。
 これがプロ野球チップスと一味違って新鮮だった。
 なぜなら、被写体たる選手が汗を飛ばしながら必死に走る、叫ぶ、蹴るなど極限にも見える状態で写っているものが多かったからです。
 異論はあると思いますが、野球を漢字で表すと「静」と「間」。対してサッカーは「動」と「続」という気がしました。
 そして、それがカードにもそれぞれ表れている・・・と高校生の私は思ったことを覚えています。

 時代が下って、デジタルカメラが普及し、私も大したものは買えませんが、そこそこ望遠のきくコンパクトデジカメを持って野球場やサッカーの行われる競技場に出かけ、カメラマンを気取る楽しみを得ました。
 正直、カメラを持って球場に行く楽しみを見つけた頃に比べると、「こんなのが撮りたい」と願った写真が少しは撮れるようになったと思います。
 今月3日にサッカーを観に行きました。5年前サッカーを観に行った時、ほぼ何も意味あるシーンを撮れなかったのに今回は実際に得点になった京都サンガ山瀬選手のミドルシュートの場面が撮れました。

 このとき、「あぁ、カメラ持って観戦に来ることを続けて良かった」と心から思いました。
 そして、数日後、甲子園に行った時、手ぶれしたけれど山田哲人選手のホームラン打った時のスウィングが撮れました。

 これも本当に嬉しかったです。カメラから目を離すと、きれいな放物線が見えて・・・。
 私は阪神ファンなのですが、プロの至上の打球が見られて何とも言えない幸せな気持ちになりました。
 しかし、この日思ったのですが、投手のフォームを写真に収めようとすると、私の場合同じような写真が多くなってしまう・・・つまりフィニッシュばかり3枚連続で撮ってしまう・・・とか。

 ヤクルトの秋吉選手ですが、リリースの瞬間を狙って追いかけてもどうしても無理でフィニッシュばかりとれてしまう。
 タイミングの問題でしょう。
 ある意味、打者ばかりでなく、私も秋吉選手に打ち取られていたのです。
 悔しいけど、面白いな・・・と思いました。
 春にオープン戦観に行った時も、僕の大好きなプロ選手の一人であるオリックス金子千尋選手のフォームの全てを収めようと意気込んでフィニッシュばかり撮る羽目になったことがありました。
 しかし・・・写真に夢中になっていると、見逃してしまう感動もたくさんあります。
 中学生の頃、松任谷由実さんのラジオ番組を聴いていて、松任谷さんが「宇宙船の打ち上げを観に行ったけれど1枚も写真は撮らなかった。一瞬でも打ち上げの様子を見逃がしたくなかったから」と語られていることに「さすがアーティストの感性は違う」と感銘を受けたことがありありました。
 私もいつか、カメラを持たずに球場に行き、一球たりとも見逃したくない・・・という心境でゲームを見つめる時が来る予感もします。
 それは、本当に満足できる生涯最高の1枚を収めた時…その時が心境変化の時なのかも知れません。
 そんな1枚を撮れる日があるといいな・・・。

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