我的愛球史 最終話 「阪神が強いと楽しい。だけど・・・」


 (写真と記事は関係ありません)

 2003年の阪神タイガースは開幕前から優勝への期待が高く、関西では「阪神優勝内定号」という奇妙なタイトルをつけた雑誌がコンビニに並ぶなど、例年にない雰囲気でした。

 事実、2003年の阪神は井川慶投手を立てた開幕戦こそ落としますが、その後は超安定飛行を続けます。

 5月9日には浜中おさむ、片岡篤史、ジョージ・アリアスの3選手による3者連続ホームラン。

 85年の掛布、バース、岡田の3選手による甲子園バックスクリーン3連発(幸運にもこの試合を甲子園で見た友人がいましたが彼は近鉄ファン・・・)を思わせる吉兆に、優勝を確信したファンも多かったのです。

 その開幕4番打者浜中選手が6月13日に右肩脱臼離脱したにも関わらず、阪神は首位を独走。

 6月29日に史上最速50勝到達。

 7月8日には優勝マジック49点灯。

 オールスターは史上最多、阪神から9人がファン投票選出。

 まるで黄金期の西武ライオンズのような強さに僕らは優勝に何の心配もしない日々を送りました。

 周りの思いがけない人が口々に「甲子園に応援に行った」と、阪神の話題に花を咲かせます。

 「ああ、この人も実は阪神ファンだったんだな・・・。」

 嬉しい驚き。

 コンビニに入ると、阪神タイガースファンクラブへの入会手続きをしている人をよく見かけました。

 本当に、2年目前の野村監督時代からすると信じがたい世の中になっていました。

 そして9月15日。甲子園で優勝。

 「あ〜しんどかった・・・。」

 「この甲子園で、ファンの前で、決められて良かった・・・」

 星野監督の感慨無量のあいさつ。そして、

 「名古屋のタイガースファンのみなさん、ありがとうございました」

 と、名古屋を愛する星野監督らしい一言も。

 しかし、この年は楽しい一年だったのに、なぜか淡い寂寥とともに回想されるのはなぜだろう・・・。

 日本シリーズで3勝4敗と日本一を逃したからだろうか・・・。

 それとも、星野監督が日本シリーズ後、辞任したからだろうか・・・。

 その後の阪神タイガースはマスコミから「常勝」という形容をつけられるようになりましたが、2010年現在までリーグ優勝は2005年の1回だけ。日本一どころか日本シリーズで1勝すらできていません。

 毎年のようにFA選手や大型新人がタイガースのユニフォームに新しく袖を通しますが、本当の意味で「Vの使者」になった選手はいまだ現れず。

 球団の一貫した強化方針というものは見えてこないまま、このチームの未来に暗雲を見るファンも多くありません。

 私もその一人です。

 ファンはまずは強い阪神を望んでいます。毎年の優勝争いで力尽きるのでなく、最後の一押しで優勝を掴み取るたくましいチームになることを待っています。

 そして、できればエースや4番は阪神にドラフトで入団し、鳴尾浜で仲間と切磋琢磨して甲子園に這い上がり、スコアボードに名前を刻むようになった「生え抜き」が実力で務めて欲しい。

 スターティングメンバーが全員「生え抜き」で日本シリーズ優勝なんて最高。

 本当の最強チームを目指して球団が一丸となって欲しい。

 最後に、この2003年の主力選手の素晴しい成績を記して56回に渡り記してきた、この「私的愛球史」を閉じたいと思います。

 チーム成績 87勝51敗2分 勝率 .630 
 対中日 13勝15敗
 対巨人 17勝10敗1分
 対ヤクルト 16勝11敗1分
 対広島 19勝9敗 
 対横浜 22勝6敗

 主力投手成績
 井川慶 20勝5敗 防御率2.80(MVP,最優秀投手賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞、沢村栄治投手賞の各賞受賞)
 伊良部秀輝 13勝8敗 3.75
 下柳剛  10勝5敗 3.73
 ムーア  10勝6敗 4.35(打撃でも貢献)
 藪恵壱  8勝3敗 3.96
 久保田智之 5勝5敗 3.12
 安藤優也 5勝2敗5セーブ(51試合登板、主にセットアッパー)
 ウィリアムズ 1勝1敗26セーブ(52試合登板、主にクローザー)
 吉野誠 1勝1敗1セーブ(56試合登板)
 
 主力打者成績
 今岡誠 .340 12本塁打 72打点(首位打者、二塁ベストナイン、ゴールデングラブ賞受賞)
 赤星憲広 .312 1本塁打 35打点 (61盗塁で盗塁王、外野ベストナイン、ゴールデングラブ賞)
 金本知憲 .289 19本塁打 77打点(日本シリーズ優秀選手)
 桧山進次郎 .278 16本塁打 63打点
 アリアス .265 38本塁打 107打点 (一塁ベストナイン、ゴールデングラブ賞)
 片岡篤史 .296 12本塁打 55打点
 矢野輝弘 .328 14本塁打 79打点(捕手ベストナイン、ゴールデングラブ賞)
 藤本敦士 .301 0本塁打 36打点


 ありがとう、阪神タイガース。

 ありがとう日本野球。

 拙文読んでいただきありがとうございました。

                                             我的愛球史 完


 (新シリーズ構想中でございます。しばらくは普通の日記でお邪魔いたします。今後ともよろしくお願いいたします)
 

 

 


 

 

















































































































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