僕の好きな先生(前編)
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こじっく
2011年01月22日 18:52 visibility458
このお正月から虎男さんの小説を拝読しました。
自分も小説のようなものをここで書いてみたいな〜という気持ちが高まって来ました。
しかし僕には「野球短編小説」は書けませんでした。
初の完全な「非野球ネタ」になってしまいますが、自分の経験に基づくエッセイを書きました。
読んで下されば幸いです…
忌野清志郎さんの曲に「僕の好きな先生」というのがある。
とても良い曲だと思う。
僕にも何人かの「好きな先生」がいる。
その中のお一人について書いてみたい。
僕の行っていた小学校は二年毎にクラス替えがあった。
原則として担任の先生も二年間持ち上がりだ。
しかし小学校一年の時の先生が僕らが二年生になる時に退職されてしまったので二年生で担任が変わることになった。
新しい担任の先生は3月まで六年生を担任しておられた25才のお兄さん先生だった。
名前は「ヒロ先生」ということにしておこう。
とにかく僕は担任が誰かを知った時、僕は怒られることが大嫌いなので「男の先生は怒ったら怖いから嫌だな」と思った。
しかしその先生は初日からフレンドリーさ全開で僕らを魅力された。
しかしフレンドリーであるということは、僕らを叱るときも遠慮がないということであって、先生は忘れ物をしたり、授業中のモラルやルールを守らない子には容赦なく頭の上に木製の板書用コンパスを振り下ろされた。
これが、コンパスの脚と脚がパチーンと鳴って、いかにも痛そうなのだ。
僕は友達がそうやって叩かれているのを見るだけで震え上がった。
僕はコンパスで叩かれるのが嫌だから、かなり注意深くクラスで振る舞っていたのだが、ある日いよいよ授業中に皆の前でコンパスの洗礼を受けることになった。
バチーン!
僕の脳天で二本の細い角材が弾けた。
僕は大声で泣き出した。
僕は席に帰っても延々と泣いていた。
クラスは授業どころでなくなった。
先生は困った顔をして僕を呼び、みんなの前で「そんなに泣かんでええで」とか言って今度は慰めて下さった。
そのうち僕はコンパスで叩かれることに慣れてしまい、みんなと同じように先生に叩かれても笑っている位になった。
3月にそのクラスが終わる頃には先生に叩かれたいとさえ思ったから不思議だ。
多分クラスのみんなは同じ思いだっただろう。
それだけ、ヒロ先生が好きだったとしか言いようがない。
みんなで笑い、泣き、愛に溢れたクラスだったな…と今でも思う。
ヒロ先生は「時間割」が大嫌いで、一時間目から四時間目までずっと理科とか、朝から給食を挟んで夕方になるまでずっと図工とか言う日もあった。
業者の作るようなきれいなカラー印刷されたテストが嫌いで、学校でプリントした先生お手製のテストをみんなで受けた。
先生は絵がめちゃくちゃうまいのだ。
お手製テストの挿し絵なんて最高だった。
ある日の社会の時間、先生は黒板に「絵が好きなもんで…」と言われながら魚や烏賊の絵を描かれ
「僕は勉強が嫌いなんだけど、一回だけ徹夜で勉強したことがあってね…」
と話しだされた。
それは、中学生か高校生の時、海草が海の中で揺れている絵を一晩中描いているうちに夜が明けていてびっくりした…という話だった。
好きなことを集中して打ち込む楽しさを伝えようとされたのだろう。
あれから僕も10代、20代を経てそんな経験、しましたよ…と今なら先生に言ってみたい。
また、先生はことある毎に「信じ合うこと」の大切さを説かれた。
口先だけで「クラスの仲間同士信じ合いなさい」と言うなんて誰でもできる。
そんなこと思ってなくてもできる。
いや多くの場合、本気で思ってないからこそ、軽々しくそういうことを口にできるんじゃないかな…。
先生の場合、それを伝えるにも、やり方がちょっと違った…。(以降「中編に続く」)
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- 事務局に通報しました。
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