バットよ! あれが東京ドームの灯だ!!  その6

  • フジ
    2012年05月06日 10:33 visibility110

4回表、マウンドに登るのは筆者。

 

ついにこの場に立つことができた。


万感の思いを込めて投球する。


マウンドは固く、すべらないため投げやすい。


速球をビシビシ決め、打者を打ち取る…と書きたいが、ストライクが入らない。


四球のランナーを出してしまう。


その後、打者一人をセカンドフライに倒し、少しは調子が出たと思ったその矢先。


次の打者を2ストライクに追い込んだと思った、次の球をレフトに運ばれる。


あっとおもったら球はぐんぐんと伸び、レフトの頭上をオーバー。


完璧な当たりだった。


レフトが懸命に追いかけるも、ランニングホームランとなってしまった。


これで15対11。


いかんと焦る筆者。


顔がこわばる。


「ピッチャー、リラックス、リラックス!」


「楽に、楽に!」


とメンバーが声をかけるも、ホームランを打たれたショックは収まらず、死球を二つ出してしまう。


時間がおしてきたのと、もう一人投げる予定の人がいたため、ここで交代。


次のピッチャーは後続のバッターを軽く討ち取り、いよいよ最終回。


ファーストコーチャーボックスに立ち、声援を送る。


しかし、二人が討ち取られる。


……


ここに来るまで、ずいぶんと気が経ったように思える。大人になり、草野球を始めて10年。あの頃に比べて、白髪もだいぶ増えた。しかし、あっという間にに過ぎていった気がする。


……


バッターが打席に立つ。


カット気味に打った球が、ファースト側のファールゾーンに舞う。


ファーストが捕球態勢に入った。


夢の時間が終わる。


フライを捕ってゲームセット。


上を見あげると、天井が明るい。夜が明けたのがわかる。


こうして夢の東京ドーム試合は幕を閉じた。


一同礼をした後、思い残すことがないようグラウンドで記念撮影をする。






筆者は、ベンチにあったブルペン連絡用電話を使って遊ぶなどやりたいことをやっていた。

最後は、マウンドで記念撮影。








着替えをすませ解散。


メンバーそれぞれが、それぞれの思いを抱きながら帰宅の途についたのだった。


…と書きたいのだが、帰宅を許されないものが一人いた。


筆者である。


この後、筆者は職場の説明会でプレゼンをしなければならないのであった。


「そうか、、まだ一つのこっていたんだ。大きな仕事が」


と『ドラえもん のび太の大魔境』におけるスネ夫のような気分だった。


「元気出せ! 自分で自分を助けにいくんだ。もんくあるか」


と、心の中のジャイアンが叫ぶ。


5時間後、自分の仕事をなんとかこなし、他の者のプレゼンを眠気と戦いながら必死に耐えて聞いている筆者の姿があったのだった。


(終わり)

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