チーム・スタイルの栄光(と挫折)14

  • フジ
    2010年11月10日 21:45 visibility45

2006年4月9日(日)明治神宮軟式野球場コブシグラウンド。1年7ヶ月の長き中断を経て、チーム・スタイルは復活した。

当時の日記には、「あまり眠れなかった」と記してある。

「明日は遠足だ!」という、まるで小学生のような気分である。30歳を過ぎてからこんな気持ちになれるとは思わなかった。

とにもかくにも、また野球ができるのである。その喜びを噛みしめながら、道具をバッグに詰め、うきうきとした気分で家を出た。

だが、このときはまだ、次の日の深夜2時になっても眠れなくなってしまうとは思いもよらなかった…。

JRのS駅で、今回の野球に参加する韓国人のKムさんと合流し、信濃町に向かう。

今回は久しぶりの試合のため、どれぐらいメンバーが集まるか未知数であった(結果としては、かなりの人数が集まったのだが)。そのため猫の手でも借りたい状態であった。

前回も記したが、筆者は外国人に日本語を教えるボランティアを始めていた。そこに日本語を教わりに来ていた若くてイキの良い韓国人に目をつけた。

「せっかく日本に来たのだから、野球を体験しないと、真の日本文化は理解できないよ」

と、嘘くさい理屈をこねて半ば強引に参加させた。

監督のあっ!くま・・・・さんには

「韓国人助っ人、日本語教室のイ・スンヨプと呼ばれている男を連れてきます!」

と、明々白々なウソを述べて参加を了承してもらった。

現在チーム・スタイルで韓国人助っ人が多く参加しているのには、かような事情があったのである。

さて、いよいよ試合が始まる。

相手チームは、チーム・スタイルの初陣の相手となったチームである。過去に2度対戦し、いずれも敗れている。強敵である。

我がチームはピッチャーを何人か繰り出す。しかし、いずれもヒットやエラーなどでどんどん点を奪われる。筆者も投げるが、ながいブランクは隠せない。覚えたカーブは決まらずストレートもクリーンヒットされて撃沈。最後はお情けで三振を取らせてもらった。

打撃では、どのメンバーも打てず、走れず。1点しか取れない。

結局、今回も勝てなかった。試合結果は8対1。昔は、けっこう点数は取れていたのだが…。復活したチーム・スタイルは、極度な貧打チームになってしまっていた。この貧打病はいまなお続いている。

試合は残念な結果になってしまったが、チーム・スタイルの本領は試合後にある。グラウンド近くの居酒屋で、復活を祝い飲む! 語る ! そして食べる! 楽しい2時間はあっという間に過ぎていった。

…異変に気がついたのは、宴が終わって店を出る頃になってからであった。

Kムさんの様子がおかしい。 完全に意識を失っている。

飲み会の途中で、モスコミュールかなんかを

「こんなのは水です!」

みたいな台詞と共にがぶ飲みしていたのを目撃したのは覚えているが…。

ともかく家に連れて帰ろうということで、タクシーに乗せる。

彼の財布から、身分証明書を取り出して住所を確認。筆者の自宅と同じ区であり、場所も何となく分かるので同行する。

タクシーの運転手とメンバーの方と共にKムさんを担ぎ上げ、その住所の家まで来るが、カギが閉まっている。彼の話によると、韓国人の先輩と同居して、この日も外出はしていないということなのだが…。

ともかくも、Kムさんを教えているボランティアスタッフに電話を入れて、事情を話すと

「あー、Kムさんはつい最近引っ越ししたから、今はそこに住んでいないよ」

という返事。そして

「今、住んでいるところを知っているから一緒に連れて行こう」

と、深夜にもかかわらず来ていただいた。

メンバーの方とタクシーには帰ってもらっていたので、二人がかりでKムさんの肩を担いで歩く。引っ越し先は、大して離れて無かったので助かった。

同居している方に事情を話すと、

「あー、彼はしょっちゅうこういうことをしているから、気にしなくて良いですよ」

と、笑いながら話してくれた。そのそばでKムさはゲロゲロとやっている…。凄まじい光景であった。

帰宅したのは午前2時過ぎ。次の日に仕事が入っていなかったのは不幸中の幸いであった。

こうして復活したチーム・スタイル。快進撃(?)はまだまだ続く。

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