軟式ボール変更を喜んでいる人たちへ

  • 虎男
    2017年08月18日 08:17 visibility1234

今年の年末に軟式ボールが13年ぶりに変更になると言われている。社会人である草野球愛好家たちにとって、これは喜ばしい話なのか。私は、そうではないと思う。なぜなら、今度の軟式ボールは硬式用のボールに似ていて、かなりバウンドを抑えたゴロが地を走ると言うのが事前の噂として飛び交っている。また、体の一部に当たると既存の軟式ボールよりもさらに痛みを感じると言う。

 

さて、ここで「何も考えていない草野球愛好家たち」のために、言っておこう。軟式ボールの変更は何をもたらすのかを。今回、硬式用ボールにさらに近づけた軟式ボールになると言われているうえで、ボールのバウンドや、飛距離のことしか前宣伝が無いが、この中に隠されたものがあることはどの野球メーカーも一言も触れていないし、今後もそれに言及するようなメーカーは無いってことだ。なぜなら、軟式野球用具が、これから「新軟式ボール対応バット、グラブ、ミット」が各メーカーで出すのは目に見えている。しかも、軟式グラブが大きく変わるのと、今までの軟式グラブでは新軟式ボールがこれまでの軟式ボールより硬いのだから、耐用年数が短くなってしまうと言ってくるのは間違いない。メーカーは、バットも同様に新しい新軟式ボールに対応した新バットを出してくる。そして、価格をかなり挙げてくるのは間違いない。これを硬式野球をやっている人たちは「対岸の火事」であると笑っていられなくなる。なぜなら「軟式の用具がこれだけの値段するのに、硬式がこの値段ではおかしいでしょ。」とメーカーは一斉に値上げに踏み切るのが簡単に予想できる。たった13年間で現在の軟式ボールは消えて行く。これは、さらに野球離れを加速化するものであることは間違いない。

 

簡単に言えば、野球は他のスポーツの対象、いや基準になっていると考えても間違いではない。なぜなら、これだけ道具が多いスポーツも珍しい。同じくらい道具が沢山必要なスポーツはアメリカンフットボールくらいなものだ。水泳は海水パンツと水泳用キャップがあれば事足りるわけで、野球のようにユニフォーム、帽子、アンダーシャツ、ベルト、ストッキング、グラブ、バット、スパイクが最低限無ければできないわけで、これほど道具に費用が掛かるスポーツも珍しいのではないだろうか。サッカーはシャツ、パンツ、サッカーシューズ、膝当て、ストッキングがあれば済む。キーパーにはグラブが必要かもしれないが、野球のキャッチャーほどではない。軟式ボールを変更すると、他の道具がそれの対応用のものが出てくる。しかも、ビヨンドマックスだなんだと新式のバットがこれから山ほど出てくるだろう。それを追いかけられる経済的余裕のある人間ばかりではないことをメーカーは知るべきだ。しかし、一番手を付けてはいけなかった軟式ボールの改良型に踏み切った理由は何か?それは不景気と言う一言に通じる。今、どの業界が儲かっているのかは知らないが、景気が良いなんて言っているのは運送業界くらいなもので、他の業界で目覚ましく儲かっているなんて聞いたことが無い。むしろ、物価は上がりっぱなしで給料は横ばい。しかも将来に不安を持った社会人の方が多いのは日本の特徴ではないか。ここで野球用品メーカーが一同に軟式ボール変更を決めたのは、遠い将来を見据えての事では無く、各メーカーの売り上げが落ちていると言うのが明らかで、これを打開するには何かを変える必要がある。スタンダードである「使わないと試合にも練習にもならないものの価格をあげる」と言う事を考えたら、野球人口の中で一番多い「軟式野球」に白羽の矢が立ち、ボールの規格変更をしてしまえば、それが一部変更だと思われるだけで、他の用具にすぐには目が行かないとなると言う事だ。

 

ある試合で懇意にしている対戦相手をしてくださるチームの代表者さん聞かれたの「虎男さんのところは、すぐに新しい軟式球を購入されますか?うちのチームでは1ダースくらい新品の軟式球が残っちゃってるんですよ。」と。わたしはすかさず「試合球としては買うかもしれませんが、うちは連盟にも入ってませんから、別に古い球が余っているので、その球を使って試合したいってチームさんがあれば、それに対応しますよ。別に悪い物を使っているわけじゃあないですし、無理に高い値段のボールを買って野球の試合する必要はない。連盟にも私設リーグにも入ってないチームさんだったら、対戦相手チームさんと話をして、在庫をかかえている状況を素直に話て当初は在庫をなくすための対応策を練るのが一番でしょうね。無理に新軟式球でやらなければいけないってことは無いと思いますよ。」

 

メーカーはこれまでの軟式野球人口の推移を見ているのだろう。そして、日本人はいつまでも軟式野球を楽しみたいはずと「高を括っている」のかもしれない。しかし、スポーツの多様化と選択肢の多さ、さらにスポーツ自体が人口減少とともに、プレーヤーやアスリートの減少がストップできなくなっている現実。ここで将来のスポーツ衰退を見据えての「新商品の打ち出し」に踏み切ったことは、さらにそれらの人間の減少をスピードアップさせる一端になりえるかもしれないことを忘れないで欲しい。新軟式球が、どれだけ野球人口に影響して来るか。今後に注目をしたい。

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