清宮はどこへ。

  • 虎男
    2017年09月22日 11:07 visibility308

今日にも「プロ志望届」を出すと予想されている早稲田実業高校の清宮選手。別段、どこに行こうと私にはあまり関係ないのだが、昨年の高校野球西東京大会で彼の試合を3度見ている。二試合で二ホーマーを見たのだが、さすがに別格だなと感じたのは正直なところ。ただ、彼には「運」と言う物が備わっていないようにも感じる。なぜなら、昨年は神宮の対八王子線で敗退。そして今年は決勝戦の東海大菅生戦で敗退。大舞台に届かない選手と言うのは「運」が無い星のもとに生まれたのかもしれない。そんな気がしてならない。彼の早実は昨年は投手力が弱く、どう見ても先取点を許すと、後手に回って試合が厳しくなる印象があったが、今年は早実の監督が捕手だった選手を投手にしたところからエースになり、順当に勝ち上がって行ったのだが、最後に力尽き矢折れると言う感じで西東京代表の座は射止められなかった。

 

 

野球と言うのは、9人で行う競技だから「ひとりの力」はさほど大したことが無いと思われがちだが、私はそう思わない。ましてやプロと言う頂点の場所で野球をやる選手たちは、それだけの資質も実力も備えているわけで、それにプラスされるのは「持っている運」だと思うのだ。広陵高校の中村捕手も、チームが決勝まで勝ち上がったが、結局は花咲徳栄に押し切られてしまって準優勝。甲子園でここの位置まであがっていったことの「運の強さ」を持っているなと私なりに感じるのだが、今年のドラフトには必ずあがってくる名前であることは間違いない。

 

 

清宮選手の場合、彼が高校で111本のホームランのうち、どれだけ超高校級と言われる投手から打ったのかの「質」を問われると、各球団たちのスコアラーは「その点については疑問もある」と言うらしい。もちろん、飛距離を出す力と技術は天性のものであるのは間違いない。しかし、清宮選手が今後課題とする木製バットでのボール対応、プロの投手の球種の多さとぎりぎりを突いて来るコントロールの精度の高さ。そしてかけひきのずる賢さ。ここに投手だけではなく、プロのキャッチャーのリードをどれだけ読めるまでになるのか。敵はそれだけじゃあない。プロの審判員の技術もなめてはいけないだろう。自分がボールと思ってもストライクをコールされる場合もある。ただ、彼にある財産は「大観衆に動じない」と言う度胸の良さと、柔らかい筋肉を持っていると言う強みだ。体が柔らかいと言うだけで、「怪我に強い」と言うことは絶対に言える。体の硬い人間が、一番怪我をしやすいし、そして怪我からの回復も遅いのである。

 

ただ、守備と言う点で、清宮は一塁しか守れないと言うのであれば出場機会が狭まってしまうのは言うまでもない。彼の試合での三塁の守備など一度も見たことが無いし、そういう選択肢を早実の監督が持たせなかったのかもしれない。すなわち守備でのメンタル負荷を清宮にかけさせないで、自由な気持ちで打席に向かわせるためと言う配慮だったのかもしれない。だが、守備が悪いと清宮の出場機会には響いて来る。試合の後半戦になって守備固めで守備のエキスパートに変更させられる場合もあるだろう。そうなると、一番彼にとって良いドラフトとなるのはパリーグのチームでソフトバンク以外と言う話になる。理由はソフトバンクと巨人はポスティングでのメジャー移籍を許可しないと言う。巨人はあの松井も上原もポスティングでは無く海外FA権取得で海を渡って行ったと言う。これを変えてまで、この2球団が清宮取りに参戦してくるのか。それともドラフトで獲得してから、ポスティングは許さないで大揉めに揉めるのか。勝負は来月になるが、その辺の駆け引きを含めておもしろいドラフト会議になりそうだ。

 

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