体育会系とは
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虎男
2018年07月29日 13:02 visibility348
私は、体育会系の部活を中、高、大と全ての学生時にやってきた。では、対い会計とはなんだ?と問われたら、私は「所属する団体への忠義をつくすことである。」と言うだろう。忠義とは、使える王様に対しての真心からの奉仕の精神をもって奉公をすることと書かれているが、体育会系の王様になりうるは「監督、部長、そして諸先輩方」である。私の時代は理不尽な命令も、泥水を飲む思いで「体育会系とはこういうものだ」と思いながらも、それを受け止め、そしてそういう行為があったからとて、後輩に対して同じことをするべきではないという反省に基づいて動いていた。おそらく人間の器が先輩立ちよりも小さかったのであろう。もしくは、小心者であったのだ。しかしながら、先輩は翻るものではない。理由は、先に問を叩き、それを開いて中に入り、修行たるものを先に受けているのである。その先輩がどれだけ理不尽であっても、その先を私は見ていた。
大学時代に武道の部にいた私は、2年上のめちゃくちゃおっかない先輩といつも行動を共にしていた。まあ、練習が終われば、居酒屋へ飲みに行き、先輩が費用を全て出してくださっていた。その時に思ったのは「俺も、こんな風に後輩を連れて飲みに行ったときに先輩風吹かせて全ての費用を出せるのだろうか?」と思ったのは一度や二度ではない。それだけ、そのおっかない先輩に声をかけられて「飲みに行くぞ!」と誘われた回数が多かったからである。
ある夜、先輩の家で将棋を指していた時だ。かなり長い対局になり、先輩と私は夜中まで飯も食べずに将棋に夢中になっていた。気が付いたら午前1時を回っていた。その時、先輩が「おい!腹へったのう。チャーハン買って来いや!金は2千円わたすから、つりをもろうて来いや。」「はい。どちらの店へ行けばよろしいですか?」「お前、おれがいつもいっとる”ほろほろ”言うスナックへ、このでかい皿持って走ってきちゃれ。こけるんやぁないぞ。ええか。さっさと行かんかい!」
私は、雨がザーザー降る中、先輩のアパートから片道20分はかかるスナック「ほろほろ」へ出かけて行った。雨は容赦なく地面を叩きつけるように降る。こんな夜中なのに、通りの車は多い。途中、早歩きをしながら、スナックの看板が50mくらい先のところにあるのが見えた。「あ、あの店だ。」少し気持ちがほっとする。
スナックのドアを開くとお客さんが2、3人いただろうか。私はスナックのママに「すみません。先輩のSさんがいつもお世話になってます。こちらのチャーハン2人前大盛りお願いします。この大皿持ってきました。持って帰ります。よろしくお願いします。」「はい。じゃあ、そっちの席で座って待っててね。」
夜中の大雨が降る中、私は疑問も無く先輩に言いつけられたチャーハンを傘をさして徒歩20分の距離を歩いた。そして先輩のアパートのドアを開け「〇〇、チャーハンを買ってまいりました!」と言って、先輩に大皿に盛られたチャーハンを差し出して、先輩の部屋へあがらせていただいた。先輩は「ご苦労」と言い放ったやいなや、チャーハンを食べだした。もちろん、私は先輩の部屋の中で直立不動である。先輩が大盛りチャーハンを半分食べて、水を飲み終わった時に「おい。半分食えや。」と言われて「はい。ありがとうございます。いただきます。」と言ってチャーハンを食べさせてもらったのだ。こんな話は体育会系の部活ならくさるほどころがっている。しかし、これを学生時代に体験した人間が、どれだけ忠誠心を組織に誓えるようになるか。経験者と未経験者では相当の差がある。それは反応の速さと、判断力に出てくるという事だ。否が応でも、やらなければならない先輩の命令。これに対してごちゃごちゃ反論する人間がいるとすれば、そこには集団行動をする上で「迅速行動」を期待できず、そして集団としての意思決定の中に無駄な小石を投げて円滑に行動をしようとすることに水を差すことになるわけで、集団が迅速に行動を取ることの必要性は、間違えたとしても迅速に修正が利くと言う利点を知っているから、先輩方に決定権があるのである。
体育会系と言うのは忍耐と従順さの両方を持ち、瞬時に判断をして行動する必要性がある。そして、それを日々修行と言う名のもとに鍛え上げて行くのである。それが、できない奴は体育会系などとは言えない。もどきである。
- 事務局に通報しました。
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