激闘の3連覇☆☆☆

試合後、オリヴェイラ監督が、ゴール裏のサポーターの前に足を運ぶ。
腕を振り、指で数字を数えていく。
イチ!ニー!!サン!!!
サポーターと一緒になって絶叫!
歓喜に沸くゴール裏を一段と盛り上げる!
ついに、ついに、ついに、、、3連覇を成し遂げた!!!

山あり、谷ありの今シーズン。
泥沼の5連敗のときなどは、心が押しつぶされそうになるぐらい、苦しんだ。
それでもあきらめず必死に戦い続けた。
チーム一丸となって、偉業を達成した!

最終節は、厳しいアウェーでの浦和戦。
本当に、最後まで苦しみながら栄冠を勝ち獲った今季を象徴するような試合だった。


立ち上がりから苦しい展開が訪れる。
前節魅せたような盤石の鹿島のパフォーマンスが見られず、浦和に押し込まれる展開。

目の前の優勝を阻止しようと気迫あふれるプレーをみせる浦和。
冷たい雨が降り、滑りやすいピッチとなった、最悪のコンディション。
鹿島に厳しいというよりは、チャントプレーが見えているのか心配になるほど、下手なレフリング。
もちろん、3連覇へのプレッシャーもかかっていたのだろう。

セカンドボールがなかなか拾えない。
パスミスも目立ち、パス回しも滞る。
ボールコントロールも難しく、ドリブル突破もままならない。
ピッチに足を滑らす選手が目立ち、攻守の対応の遅れへとつながる。
鹿島に不利に働く様々な条件が重なりあい、苦しい展開となっていた。

そんな状況でも、我慢しながら戦い続け、チャンスを創りだすのが鹿島の強み。
10分、小笠原のFKを野沢が頭でそらしたところを、中田が豪快ボレーで蹴り込む!
大一番での、幸先の良い先制点に喜びに沸くゴール裏。
だが、吹かれた笛は、ゴールではなく、オフサイドを告げる笛。。。

惜しくもゴールとはならなかったが、ビックチャンスを創りだしたことで、鹿島の攻撃の流れもスムーズになっていく。
しかし、雨足が強くなり、さらに滑りやすくなったピッチに、チャンスを活かせない。
逆に、マルキーニョスがスパイク交換でピッチの外に出ている隙に、浦和に圧力をかけられ、押し込まれる。
ボールがなかなか外に出ず、1人少ない苦しい状況が続くが、集中を保った守備陣が、シュート、クロスを何とか弾き返す。

守備で耐えた後は、攻撃でやり返す番。
前半の終盤、勢いを増し、浦和ゴールに襲いかかる。
左サイドを突破したマルキーニョスの折り返しを丁寧に合わせた野沢のグラウンダーのシュート!
中盤でこぼれ球を拾った野沢の思い切りの良いミドルシュート!
そのこぼれ球を拾ったマルキーニョスのシュート!
しかし、野沢のシュートはGK山岸のファインセーブに阻まれ、マルキーニョスのシュートは枠の上に外れる。
CKのチャンスも、ニアで合わせた興梠のヘッドはポストに弾き返され、こぼれ球を合わせた野沢のシュートはゴールの上。
チャンスに決めることができない嫌な流れのまま、前半終了。


多い一番での大仕事が期待できるMr.クライマックス野沢でもチャンスを活かせない。
3連覇のプレッシャー、滑りやすいピッチ、不安定なレフリングに苦しむ。
予想はできたことではあるが、3連覇への最後の大きな関門として、浦和が立ちはだかっている。
ハーフタイムには、川崎が3−0で勝利との情報も入る。
3連覇へは、やはり、何が何でも勝利しなければならない!


選手たちには、川崎戦の情報は入っていないだろうが、勝って3連覇を決めるというのは、当初から変わらない。
後半も、苦しい状況は変わらないが、選手たちの集中力、気迫は一段と増していく。
立ち上がりに、浦和にチャンスを創られるも、きっちり守り、ゴールは許さない。
ピンチの後は、すぐに切り替え、浦和ゴールに襲いかかる。
野沢のスルーパスに走り込んだ興梠が、ペナルティエリア内で突破を試みる。
ゴール前混戦のこぼれ球を拾った野沢が、浮かしたシュートを狙うが、GK山岸にキャッチされてしまう。

その後は一進一退。
伊野波が足を滑らしたところエジミウソンの突破を許すが、曽ヶ端がきっちりシュートに反応。
カウンターから、サイドチェンジ2本でゴール前抜け出した小笠原が決定的チャンスを迎えるも、前に出たGK山岸にコースを消され、シュートは枠の外へ。
両チームとも気迫あふれるプレーを魅せるが、ゴールまでは一歩及ばず。
勝つしかない鹿島とすれば、時計の針が進むごとに、緊張感が一段と高まっていく。

こういった修羅場はいくつも潜り抜けている。
ここからが、豊富な優勝経験を活かすとき!

そして、66分、優勝を大きく手繰り寄せる一発が生まれる!
小笠原が中盤でボールをキープすると、右サイドを駆け上がる内田へパス。
内田は、ゴール前の状況を見て、DFに寄せられる前にアーりクロスを送り込む。
ゴール前走り込んでいたのは、興梠&マルキーニョスの2トップ、ゴール前2対1の有利な局面を創りだす。
一瞬早くDFの前に入った興梠が頭から飛び込み、ニアサイドのゴールネットを揺さぶる!!!
雨の中難しいピッチコンディションで、チャンスの匂いをかぎ分けたストライカーらしい執念のダイビングヘッドで待ちに待った先制点☆

この1点で重苦しいプレッシャーから解放されたかのように、鹿島は勢いを増していく。
足が止まり始めた浦和を尻目に、軽快なボール回しを魅せる。
内田がGKと1対1になった場面は、惜しくもオフサイド。
カウンターから左サイド抜け出したマルキーニョスのシュートは、外側のサイドネットを揺する。
チャンスをモノにはしていないが、勝利を決める追加点も期待できる。
リードを保って逃げ切る鹿島得意の展開。

しかし残り時間が少なくなってくるごとに、最後のプレッシャーが。
鹿島ゴール前のシーンが増えだし、生きた心地のしないピンチが続出。
闘莉王のヘッド。ポンテのミドル。エスクデロのシュート。
両サイドからの危険なクロス、CKの連続。
鹿島守備陣も最後の執念を魅せ、弾き返し続ける。

浦和には一発決めることができる選手がそろっているし、雨の滑りやすいピッチコンディション、レフリーのジャッジにも油断はできない。
ゴール前にボールが送り込まれるたびに、ペナルティエリア内での競り合いのたびに、絶叫、安堵の繰り返しの連続。
03年、ロスタイムに優勝を逃した悪夢が頭をよぎり、心が押しつぶされそうなぐらい怖いピンチが続く。
ゴール裏の応援でも必死の絶叫、最後まで声を振り絞り戦い抜く。
選手たちも、気持ちのこもった必死のプレーで、何が何でもゴールを守り抜く。

そしてついに訪れた歓喜の瞬間!
浦和の攻撃をしのぎ切り、前線にボールを運んだところで、偉業達成を告げるタイムアップ!


ゴール裏では、歓喜大爆発!
あたりかまわず抱き合い、涙を流し、絶叫する。
もう、自分でもどうなっているのか分からないぐらいの喜びの感情がはじけ飛ぶ。

3連覇の中の全ての優勝の瞬間にゴール裏にいたが、一番感動したかもしれない。
一昨年も感動したが、突然舞い降りたタイトルへの驚きも強かった。
昨年も自力でつかみ獲ったものだが、引き分けでも良く、最終節は余裕があった。
今年は、勝つしかない苦しい状況、苦しい試合。
前半戦の独走、夏場の失速、悪夢の5連敗、終盤の勝負強さと、起伏が激しい、凄まじいシーズンだった。
3連覇は、過去2年の積み重ねもあるわけだし、このチャンスを逃す訳にはいかないという思いも強かった。
最後に、難敵浦和が立ちはだかり、苦しいゲームになったことも、この3連覇の価値を大いに高めた。
苦しさ、怖さ、凄まじいプレッシャーの中でつかみ獲った偉業だからこそ、達成したときの感動は、なんと言って良いか分からないぐらい最高だった。

ピッチ上でも、スタッフ、選手たちもタイムアップと同時になだれ込み、歓喜の輪!
ゴール裏へ足を運び、サポーターと一緒になった最高の万歳!
Jリーグ杯を何度も掲げ、ゴール裏とともに、喜びを爆発させる!
そして、監督のイチ、ニー、サンのパフォーマンス&ハッピバースディ大合唱!
最高に幸せなひととき☆

カシマスタジアムに場所を移してのシャンパンファイトも同様。
偉業達成から時間が経っても、最高の喜びは冷めない。
移動中も満面の笑み。選手たちの喜びの顔も変わらない。
選手、監督、スタッフとタイトルの喜びを分かち合う幸せ☆
本当に、最高の時間を過ごしていると実感できる。
この瞬間のために、一年間戦ってきたわけだから!


この喜びはいつまでも続きそうだが、次の戦いはすぐに待っている。
来週は、カシマスタジアムでの天皇杯準々決勝ガンバ戦。
先週の雪辱とばかりに、凄まじい勢いで向かってくるだろう。
ホームで負ける訳にはいかない!
鹿島としても気合を入れて戦わなければならない。

目の前の試合に全力を尽くす!
獲れるタイトルは全て獲る!
それが、脈々と受け継いできた鹿島の伝統。

来季の4連覇!!!!
そして、待望のアジア制覇へ!!!!!
そのためにも、全力で戦い続け、勝ち抜いていくぞ!

天皇杯も鹿島が獲る!
次なる歓喜を得るために、貪欲に戦っていくぞ!!!

【PICK UP PLAYERS】
☆興梠慎三☆
優勝を決める美しきダイビングヘッド☆大一番で大きな仕事ができる頼もしきストライカーとなった!雨で滑りやすいピッチコンディションのため、ドリブルも厳しく、難しい試合となったが、一瞬のスピードを活かし、ピンポイントで大仕事ができた!目標の13得点はならなかったが、ガンバ戦に引き続き、プレッシャーのかかる試合での得点は多いに価値がある。頼れるエースストライカーへと、これからもアグレッシブに走り続けてほしい。

☆内田篤人☆
ゴール前の状況を見極めた素晴らしいアーリークロスで、優勝決定弾をアシスト☆雨のコンディションで、縦の突破が難しかったが、代表で取り組んでいたアーリークロスが活きた。ひざの負傷もあり、苦しい試合となったが、果敢な飛び出しで相手ディフェンスラインの裏に抜け出し、チャンスを創るなど、アグレッシブなパフォーマンスを魅せた。押し込まれた時間帯も身体を張り、無失点勝利に貢献。
ちなみに試合後は、オリヴェイラ監督とゴール裏に足を運び、ハッピバースディ大合唱の指揮を務めた。

☆野沢拓也☆
Mr.クライマックスの名にふさわしいゴールを決めることはできなかったが、積極的にゴールを狙い続けていた。大チャンスを導いた小笠原へのサイドチェンジパスも見事。その前に、サイドチェンジを受けたときのトラップが、素晴らしかった。雨のコンディションの中、ピタリと足元に止められるのには、思わず感嘆の声を挙げてしまった。まさに天才と呼ばれるべきパフォーマンスを魅せてくれた。鹿島の3連覇に欠かせない選手であることは間違いない。

☆小笠原満男☆
この偉大なるキャプテンに、優勝決定弾を決めてほしかった。あのビッグチャンスの場面は、相手GKを褒めるべきか。得点はなかったものの、気迫あふれるパフォーマンスは変わらず、中盤、ゴール前で体を張り、無失点での勝利に貢献した。

☆中田浩二☆
惜しくもオフサイドとなったが、前半のボレーシュートは見事。パスミスが散見されたものの、中盤の底での絶妙なポジショニングで、ピンチをしっかり潰していた。今季の優勝は、この男の存在あってこそ。優勝へのラストピースとして、素晴らしいパフォーマンスを示してくれた。

☆曽ヶ端準☆
必死のセーブでゴールを死守。闘莉王のFK、エジミウソンのシュートの大ピンチや、CK、クロスの連続のゴール前の混戦の中でも、的確な対応で、ゴールを守り抜いた。守護神の名にふさわしい活躍で、3連覇に貢献。03年のような悪夢は2度と繰り返させなかった。

☆伊野波雅彦☆
足を滑らせ、ピンチを招く場面もあったが、局面局面で集中した対応を魅せ、ゴールを死守。大一番での無失点勝利に貢献。今季の3連覇は、この男の積極的かつ安定した守備があってこそ。シーズン通して素晴らしいパフォーマンスを魅せ、リーグ最少失点の守備陣を支えた。

☆岩政大樹☆
ゴール前でのエスクデロのシュートに、足を伸ばしてゴールを死守。闘莉王の高さ、強さには手を焼いたが、必死の守りで無失点勝利に貢献。ゴール前の混戦の中では、この男の存在が頼りになる。守備のかなめとして、これからも心身ともにさらなる成長を魅せてほしい。

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