讀賣ジャイアンツ・片岡治大誕生

本当は5年前から知っていました。いつかはこうなるであろうこと。

 

できうることなら、1年でも先伸ばしにしたかった。

その間にもろもろの状況が変わる可能性がある。

 

でも、現実は私が思っていたよりずっとリアルで残酷でした。

 

私にとってヤスが一番の選手になったのは

他の多くのライオンズファンがそうであるように、5年前の日本シリーズの激走からです。

第7戦8回表の一点差の場面での初球スチール。

 

あの瞬間から私にとってヤスは、絶対的な存在感を持つ選手になりました。

 

そしてそれは、幸か不幸か、原監督に対しても同じインパクト与えたようです。

 

ヤスが巨人ファンなのは西武ファンなら皆知っていること。

とはいえ、子供のころ西武ファンだったからといって、FAで西武に入りたがる人なんて皆無です。

 

だからヤスが子供のころ巨人ファンだったとしても、必ずしも今も巨人に入りたいかと言えば、

それはイコールではない、と思いたかったんです。

 

実際今回の決断において「子供のころファンだった」というのは要因の一部でしかないでしょう。

でも、背番号8はちょっとまずいかな、と思いました。

 

会見では「背番号8は原監督のイメージ」と言っていましたが、

本音では尊敬する仁志のイメージの方が強いのでは?

 

東京ドームで巨人の背番号8のユニフォームを着て、セカンドを守るのは

ヤスにとってはきっと無上の喜びなのでしょう。

 

2008年の日本シリーズ。

ヤスは初球スチールの後、バントで3塁に進塁し、

完璧なギャンブルスタートを決めて、ライオンズは同点に追いつきました。

その鮮やかな走塁には、西武ファンである私も度肝を抜かれましたが、

当時、巨人のセカンドのレギュラーが埋まっていなかったこともあり、

原監督も大きな興味を持ったと聞きます。

 

とはいえ、ヤスがFA権を獲るまでにはしばらくある。

その後、その走塁を軸にリーグを代表するセカンドになったヤスは

他の二遊間の選手がそうであるように、

メジャー移籍の色気などもあったでしょうし、

FAイコール巨人ということでもなかったように思います。

そもそも、ヤスがFA権を持つ間に様々な選手がFA権を獲るわけですし、

巨人のセカンドも誰かしらがはまる可能性もある。

 

しかし、運命のいたずらか、そもそも縁があったのか。

巨人は一時的にFA補強を凍結し、その間セカンドのレギュラーもなぜか埋まりませんでした。

一昨年あたりからはFA補強を解禁しましたが、

原監督がお嫌いと噂される西岡を獲るでなし、

平野は巨人・阪神間の暗黙の了解もあったためか獲りに行かず。

 

そしてヤスはと言えば、この3年間ケガがちで、メジャーどころか

西武フロントにとって「無理に残留してもらわなくてもいい」選手になってしまっていました。

 

ヤスにとっては良い選択をしたと思います。

セリーグはパリーグに比べて移動の負担が少ないというだけでも、

ケガがちのヤスにとっては良い環境でしょう。

ましてや巨人は、ジャイアンツ球場のトレーニング施設の充実ぶりは十二球団でも群を抜くと聞きますし、

トレーナーの数なども含めて、選手のケアの体制が非常に整っていると聞きます。

30歳、ケガがちな選手にはこれ以上の環境はないでしょう。

 

また、春、秋は寒く、夏は暑い西武ドームに対して、東京ドームは冷暖房完備。

渋谷区在住と言われるヤスは引っ越しの必要もない。

幕張在住のご両親も、大田区にスタジアムのある東京ガスの元同僚も、

JR東日本でバッティングコーチを務めるお兄さんも皆西武ドームより応援に来易いと思います。

 

でも私たち、ライオンズファンの感情はどうなるのでしょう?

どうしたって、環境面、金銭面ではジャイアンツにはかなわない。

でも巨人ほど多くなくても、西武にだってファンはいる。

私たちライオンズファンはもう一度、あなたがライオンズのユニフォームを着て、

日本シリーズで躍動する姿が見たかったのです。

そしてライオンズで引退して、指導者として残ってくれる姿を見たかったのです。

 

憧れの仁志さんと同じユニフォーム、同じ背番号を背負えて幸せかもしれません。

でも、ライオンズの7だって重い番号なんです。

豊田、石毛、そして松井カズオ。

カズオに憧れてプロ野球選手を目指した世代が続々とプロ入りしています。

美沢もそうです。浅村もそうです。

 

ヤスに憧れて、という選手も出てきました。

熊代、水口はあなたに憧れ、あなたと同じ球団に入れたことをとても喜んでいました。

永江君も二言目にはあなたの名前を出します。

そんな背番号7への思いをヤスは背負っていたんです。

 

私のユニはホームもビジターもsaitamaユニも「KATAOKA7」の背番号を入れています。

Tシャツだって100枚近くある。

 

もう、どうしてくれるんですか・・・。

 

ただ、ヤスの決断は非常によくわかるんです。

今は専業主婦ですが、この3月まで15年以上働いていました。

転職の際にはいろいろと悩みました。

自分だったらと思えば、ヤスの発言一つ一つが身にしみます。

また、いろいろな野球選手の言葉を思いだし、ヤスの発言を重ね合わせてみたりもしました。

 

ライオンズを去ることは、もちろん金銭的な条件もあるでしょう。

トレーニング施設等の環境面もあるでしょう。

その一方でチームメイトの絆やファンの声もきっとヤスには響いていたのではないかと思います。

悩まなかったと言えば、嘘になると思いたいです。

 

巨人に行けば、とりあえずは優先的にセカンドスタメンの枠は与えられるようですが、

西武のように聖域の選手ではなくなるのではないでしょうか。、

渡辺体制ではヤスは試合に出られる限り、

スタメンかつ代打を出されない「聖域」の選手として守られていました。

しかし、今後はそうはいかない。

ある程度は優先的に使われるでしょうが、結果が出なければ容赦なく代打を出されることと思います。

 

でもそれがヤスの選んだ道。

今期のナカジだって契約上はスタメンの優先権はあったはず。

でも、オープン戦でDLに入り、メジャーに一度も上がることはできませんでした。

 

ヤスだって何があるかわからない。

 

だからもう、ケガはしないで。

たくさんのファンを泣かせて移籍するのだから、日本一のセカンドになって。

それが今の私の願いです。

 

 

 

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