真夏の夜の夢

子供の頃はおじさんに見えた野球選手の年齢を超え

いつの日からか、弟や甥っ子を見守るような気持ちで、選手たちを応援するようになった。

時には選手たちの若さや熱さが気恥ずかしく思えることもあり、ああ、私も年をとったのだなあ、と感じる。

 

子供の頃、一番楽しみだった夏休み。

もはやそれはDNAレベルなのかなあ。未だに夏は浮き足だつし、うれしくなるし。

 

オリンピックが盛り上がったこの夏。

野球がオリンピック種目だった4年前の夏を思いだしていた。

 

片岡易之25歳、栗山巧25歳、中島裕之26歳、中村剛也25歳。

ライオンズでは4人の若者がレギュラーに定着し、快進撃を続けていた。

 

俊足の片岡は2年連続盗塁王、2番バッターの栗山は規定3割、中村はHR王、中島は首位打者がそれぞれ狙える位置にいた。

この平均年齢25歳の4人の活躍もあり、この年西武は日本一に。

 

この4人に清原、秋山、石毛、辻といった過去の生え抜きスター選手の面影を重ねて、

ここから黄金時代が始まるという夢を見たりもした。

 

あれから4年。

残念ながら黄金時代は訪れず、優勝はこの1回だけ。

4人は中堅と言われる年齢になった。

 

プロ野球は年間144試合も戦うロングスパンのスポーツだ。

1シーズンだけ見ても、時期による好不調の波が選手個々に訪れる。故障離脱もある。

同世代の4人の野手が、ほぼフルシーズンにわたって好調を維持するというのは

実は極めてマレなできごとだったんだ、と改めて気付かされた4年間だった。

 

それでも私は2008年の夢をもう一度見たかった。

 

一番離脱しがちなのは片岡か。

今年中村は絶好調の最中に守備で肩を痛め、復帰後はイマイチの状態が続く。

 

栗山、中島は2人に比べれば安定した成績を残している。

特に栗山は2009年シーズン最後にインフルエンザにり患して以降は、フルイニング出場を続けていた。

 

片栗中中の揃いぶみは、中島のポスティングによるメジャー移籍で昨年をもって終了するはずだった。

 

幸か不幸か、中島の移籍話が流れたことで、1年の猶予を得た。

しかし、片岡は肩の手術で開幕から出遅れ、復帰後は守備で手首を痛めた。

中島は腰、中村はひざの状態がおもわしくない。

 

唯一元気そうに見えた栗山も実際は足を痛めていると言われていた。

それでも大きな好不調の波はなく、キャプテン兼選手会長として、チームを支えてくれていた。

 

今期はチームの調子もよく、現在2軍調整中の片岡復帰で

最後の片栗中中を見届けて、できれば優勝して中島をメジャーに送りだしたかった。

 

でもそれはかなわぬ夢となってしまった。

 

当たり前のようにフルイニング出場を続けているから、

クリも故障をするということは想像の範囲外だった。

 

2012年8月21日。

栗山巧はデッドボールにより、左手尺骨を骨折。

今期絶望は当然、選手生命にも関わる大ケガだ。

 

昨夜は一晩中泣いた。眠れなかった。

今年の優勝はもちろん、栗山選手のアスリートとしての今後を案じた。

 

真剣勝負をやっている以上、ケガはつきもの。

選手は皆、覚悟の上でこの道を選んでいる。

自身のHPを見る限り、栗山本人は再起に向けて自己を振るい立たせているようだし、

過去を振り返ってどうこうということはない。

 

夢はかなわないからいいというけれど、それにしては私の夢は現実的過ぎたかもしれない。

 

いっそのこと、ライオンズの選手が全タイトルを独占して2位に100ゲーム差ぐらいつける、

ぐらいの非現実的な夢を見ていればよかったかなあ。

 

栗山のフルイニング出場は連続390試合でストップした。

パリーグ2位の記録だった。

 

フルイニング出場を無意味な記録という人もいるだろう。

でも、1ファンからすると、ナカジがいなくても、ヤスがいなくても、かならずクリはいてくれる。

それが観戦や応援のモチベーションに、少なからずつながっていたと思うんだけれどな。

 

2年以上の長きにわたり、常に試合に出続けてくれて本当にありがとう。

 

誰が何と言おうと、クリのフルイニング出場の記録はライオンズファンの誇りだ。

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