【サッカー　福島】　庭の山椒の木よりも花は霧島

この日、単にサッカーを観るだけのために小林を訪れる。

小林と聞いて、その場所を正確に答えられるのはそうそういまい。

宮崎県小林市。日向灘に面したひむかと称されるような温暖なところではなく、霧島連峰を望む盆地にある街。私自身鉄道ファンであるからこそ、この地の名前は知っていたし、街を走るJR線にも乗ったことがるものの、この駅自体下車したことがなかった。それよりなにより、私がこの線、線名は吉都線（きっとせん）と称するが、都城から人吉へ急行えびのでかけぬただけ。印象はあまりなくえびの高原をウル覚えている程度。それより急行えびのに乗ったくらいだから、もう十数年前の話。それから吉都線はご無沙汰。（それでも肥薩線なんかは数年前に再訪してるが）

閑話休題。

前日鹿児島入りし、市内を一通り散策。鹿児島入りしたのは、この地が鹿児島空港の方が近いこともあるが、１１月２日はオハラ祭でもあったから。

2日、あいにくの天候になってしまったが、夜の市内は祭り一色。ひとしきり祭り見物で楽しむ。

3日もやはり雨。九州道を快調に飛ばし、小林に。鹿児島からでも９０分でこれる。

着けば、井上くんや鈴木代表が既にスタジアムで、観光パンフを配っているところ。毎回毎回アウエイでの観光パンフ配り頭が下がります。

ホンダロックも全選手の写真入りののぼり旗を掲げており、代表と「来年はうちもあんなの作りたいですね」と話す。代表もまんざらではなくそれなりに計画を練っているそうで、それならばシーズンオフに選手のサインをいれて売り出せば（プレゼントではない。少しでも小銭を稼がないと）と提案。

そうこうするうちに、リーダーほかの福島組とエセ福島ケンミン４名が合流。ぶっちゃけ、HOYO大分戦とたいして変わらずの陣容。大分と違うのは紅二点。野郎が叫ぶより女性の声援があれば選手もよかろうて。

さてゲーム評。

ぶっちゃけ、こんなしょぼいゲームを見たのは久しぶり。それこそ夏場まったく勝てなかったチームの状態に逆もどり。

前線にボールを出すも、FW陣がいなかったり、無理に突破を試みようとして、相手につぶされてしまう。

それでもいい位置でFKを得たのだが、吉濱のスパイクの紐が切れるアクシデント。スパイクを交換する間にそれは進み、なぜ切れると天を仰ぎたくなるような場面。

石堂のミドルシュートは狙いすましたというより、いつもならもう少し角度が高く打つ球が、うまい具合に角度よく入った感じ。皆がなんで入ったんだという喜びよからもみてとれる。

先制したのだから、もう少し落ち着いてプレーすればいいのだが、ちぐはぐな点は否めない。

「下がるな！」と声をはりあげたのは誰だろう。

こちとら応援に夢中集中していたが、ピッチの声も聞こえるほど（確か観客は３００人とか）

そんな中、綺麗なカウンター。誰もいない内藤も止めようのないシュート。再三、カウンターを喰らうシーンがあったが、ホント解説つきの教本に載せたいくらいの速さと巧さ。

後半になっても変わらず。

CKからのチャンス。誰もが、なんでといぶかる場面。そうPK。相手選手がなにかやらかしたに違いないが、よく分からず仕舞い。それでもチャンスはチャンス。これは吉濱がきちんと決めて2点目。

もう少し辛抱していたのなら、アデッショナルを含めて１０分耐えたのならよかったのだが、不可解なPKで得た得点は所詮あぶく銭。

ペナルティエリア内で塁くんが痛恨のミス。ここで相手にPKを与えてしまう。

PKで勝とうなどとは虫の良い話。PKで得た点はPKで奪い返される。

そしてゲーム終了。

やはり勝利の方程式というのを確立しないと。こんなゲームで勝っても先が続かない。

九州まで来ての勝ち点１は堪える。

それでも、ロックサポーターからのエールは嬉しい限り。ＪＦＬに残るロックとは結局1分１敗。

ロックの鍵は固く破ることができなかった。

そしてロックの応援の楽しそうなこと。子供たちを巻き込んでの応援、「ここからゴールコールいくよ～」とか「残り５分だからがんばろうね」聞いていて愉しくなる。

本家国許の留守居役も総統の薫陶よろしく、「そこにあるサッカー」を愛している。ロックのサポーターはいもがらぼくとではなくよかにせの集まり。

ゲーム終了後、みなで、地鶏を食したことはまた別のはなし。とりとめのない反省会。

日向小林は雨模様。

庭の山椒の木鳴る鈴かけて、鈴のなるときゃでておじゃれよー哀愁を帯びた、ひえつき節が頭ん中を回るが、腹がくちれば、丸に十の字の帆が見える。小林は、日向といえど島津領。雨で見えないが霧島新燃岳の噴煙も上がる。桜島は昨日もげんき。昨晩のオハラ節が頭の中をリプレイする。