消滅したリーグを記録する試みin台湾 その2
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ミオヂ
2006年06月03日 16:11 visibility333
【前回までのあらすじ】:2002年,突如、シアトルではなく、台湾で野球が観たくなったミオヂは台北県の新荘球場へ向かう。いきなりダフ屋の襲撃を受け、ラインナップ表示の無いスコアボードを目の当たりにしてビビるも、日本人選手の存在を確認!そしていよいよプレイボール!
18:30、涼しいくらいの台北の夕方、プレイボール。観客は・・・正直少ない。すでにリーグ優勝は金剛隊に決まった消化試合だからかも。どうみても500人以下だなぁ。しかし、この熱気こもった国、台湾の民がこの試合を寂寞感あふれる空間にするはずがない。
太陽隊の攻撃が始まると、なにやらデカい声がスピーカーから響き渡る。観てみると赤いハッピ(赤は太陽隊のチームカラー)を着た応援団長が気合いをこめてマイクでお客を煽っている?いいの?コレ?しかも団長のとなりにはどでかい太鼓が置いてあって、大音響で打ち鳴らされてる。それに合わせてお客は手に持った2つのメガホンをガンガン打ち鳴らし、時々京劇で使うシンバルみたいなのがジャンジャンと打ち鳴らされる。
内野席には屋根がついているので、反響してけっこうな音量になっている。
おお、スゴイ!とても500人以下の応援とは思えない!これが台湾風の応援か!爆竹を鳴らさないのが不思議なくらいだぞ。
そして、太陽隊のベンチ上には景気づけに4人のチアガールがポンポン振って踊ってる・・・のだが、このチアガールがへっぽこなのがなんとも楽しい。振りが全然あってないし、やってる最中
「ねーねー、ここの振りってこうだっけ?」
って感じで話しをしてるんである。やる気があるんかーお前ら、と思いつつ気合いの入りすぎの応援の中、全然気合いの入ってないその緩和っぷりに思わずワラタ。
で、試合の方はと言うと、中盤までは太陽隊が先制し、勇士隊が追いつくという
クロスゲーム。3-2太陽隊リード。
太陽隊はさすが元西武、石井監督、足を使った攻撃が多い。送りバント、
ダブルスチールやディレードスチールを多用。かなりスリリングな野球。
中盤までにビックリしたのは、この足を使った攻撃ゆえ、ワンヒットで2塁ランナー
が果敢にホームにつっこむプレイが4回。その際外野手のバック・ホームがほとんど
ものすごい勢いのダイレクトストライクで返ってくるんである。
あのイチローの『レーザービーム!!』とまでとは言わないが、これだけ高レベルの返球が台湾で見られようとは。
両チーム合わせて4回のホーム上クロスプレイでタッチアウト3回。
最近の日本野球には無いスリリングさ。台湾人選手の地肩の強さ恐るべし。
技術的には日本よりやや劣る程度だが随所にいいプレイが続出。しかし緻密さは日本のほうがやはり上。といったところ。
イニングの合間に弁当とビールを買う。ビールはアサヒのスーパードライ・・何故・・?台湾ビールは?1本55元。
弁当はやたらと量が多い。ご飯の上に煮込んだブタバラがどかっと乗っている。中華風のクドイ味つけが大丈夫ならおいしいかも。でもご飯が日本と同じなので助かる。1つ100元。
買い物の仕方は・・なんともハズカシイ観光客丸出し方法。売店のオバチャンに『ビールー、リャン!』といってまたアホみたいに笑顔でVサイン。
オバチャン『ハイハイ、サケネ、2ツ110エンヨ』・・・観光客のあしらい方を心得てるようである。謝謝。
グッズショップにも行ってみる。リーグ4チームの帽子も売っている。
観戦手帳100元、各チームの帽子400元。
手帳と帽子を買って、他のグッズも眺めてると店のオッチャンが別の帽子を指差し
『コレも、イシイ監督のチームのボウシネ!今ならディスカウント!100エンヨ!』
うーむ、日本語少しできるみたい。
指差された太陽隊のファン用の帽子も買ってしまい、ついでに試合を観ながら気になっていた事を尋ねてみる。
『タカハシ、いないですか?』
タカハシとはかってのオリックスの4番、その後ヤクルトに行った高橋智の事。
今年太陽隊に入団したと聞いていたのだ。背番号44。観戦手帳にも載っている。
なんでこの選手が気になったのか?昔観た高橋智の打球はそりゃぁすごかったからである。神宮球場で私がみた高橋のホームランは最初『あ、ショートライナーだ』と思ったらぐんぐんのびていって、そのままスタンドにライナーで突き刺さるというマンガに出てきそうなホームランだった。しかも身長195cm。愛称、デカ。
これだけの選手が台湾で打てぬはずはない。いや打っているはずだと思ったら先発メンバーのプエルトリカンの選手が背番号44をつけていて、高橋の姿は見当たらない。
ユニフォームの背番号の上には選手名が漢字で書いているので(石井丈裕とか)見間違えは無いはずだ。
かような思いのこもった私の質問だったが返ってきたオッチャンの答えは実に簡潔明瞭。
『タカハシ?ああ、タカハシネ!ウーン、カエッタ。チョウシヨクナカッタネ!2ヶ月前、ニホンカエッタネ!』
ああ・・・どこの国でもプロの世界は厳しいのう・・・。
あとで分かったのだが、この背番号44をつけた選手はマルティネスと言い,高橋退団後,打って走って守っての大活躍でチームの中心になったんだそうである。なんか悲しいなぁー。
・・うわぁ!調子に乗ってたらまだ終わらない!また続く!!
次回,堂々完結予定。
上の画像は、太陽隊、石井監督。
こちらは、高橋のあとに背番号44をつけたマルティネス。
この試合でも好守、好打の上にピンチになるとマウンドに駆け寄り一言、といい選手でした。
売店で買った観戦手帳。
面白い画像が多いのでこの観戦記完結編で、画像載せます。
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