禁断の二股女の甲子園。

私の部屋にはこんなモノが並んでおります。
やってはいけない、禁断の二股。
ブーイングは覚悟のことでおます。

しかし、しゃーないねん。私にとって、
「巨人か阪神どっちかにせい！」というのは、
「オトンかオカンどっちか殺せ！」ていうレベル。

元祖長島命のオトンの血を受け継いでいる娘です…
オトンも長島監督も裏切るわけにはいきません。

そやかて日本シリーズで契りを交わし、私を立派な
阪神ファンに育ててくれたnaho先輩も裏切れん…

どーしてもどっちも選べません。
ホンマすんません。許してくだされ。

そんな私が、甲子園の阪神巨人戦に行くには、
そりゃ相当の覚悟がいるわけで。

どっちも応援したい。
でも、どっちも応援できるわけがない。
ほな、諦めるか？
いや、観たい。どうしても観たい。

悩みに悩んで選んだ席は、
ビジター席のすぐ隣、ライト寄りレフトスタンド。

阪神の応援もできそうやし、
巨人の応援もできそうな席である。

しかし。いくらなんでも、
応援バットを両方持っていくわけにはいかん。

去年の日本シリーズの屈辱の敗戦を味わってから、
絶対に今年は阪神の優勝がみたい！
阪神を応援します！と、naho先輩に誓ったのだ。

女に二言はねー！

私は阪神の応援バットを手にとり、
赤星Ｔシャツ＆サンバイザーで甲子園に乗り込んだ。

まあ、でも、ココの席なら楽しめるであろう。

と、思ったら。
大間違いでおますがな〜〜〜〜！！！！！！！！

レフトスタンドとはいえ、
ライトスタンドとはまた違う熱い雰囲気。
巨人の応援なんかクソくらえ！という、気迫の席だ。

そしてモチロン、巨人の応援団はすぐ隣。
いくら阪神ファンに囲まれていても、
巨人の闘魂は伝わってくる。

なんとか動揺せず、堂々と座っていた私だが、
動揺せずにはいられへん事態が起こる。

それはスタメン発表後、
ジャイアンツの応援が始まった時だ…

嵐を呼べ〜レッツゴーレッツゴー
勝利を呼べ〜レッツゴーレッツゴー
アーチをかけろ　輝く光浴びて　それ行け辰徳〜♪

ひえー！！
原監督の選手時代の応援歌でおますがな！

この曲を聞いて育った私だ。
さすがの私かて動揺するにきまっとる。
ううう。とうちゃんの顔がよぎるゼ。

すまない！とうちゃん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

涙を浮かべながら、決死の覚悟で阪神を応援。
しかし、よく見れば、私の周りには、
固まった巨人ファンがいっぱいいる。

ビジター席以外の、
レフトスタンドを甘くみた巨人ファン達。

私のすぐ後ろの少年達は、三人連れなのだが、
タイガースユニを着た坊主の少年が二人と、
二岡ユニを着た少年がヒトリ。

きっと、二岡ユニの少年は、ココの席なら、
タイガースユニの友達二人と一緒に、
楽しく応援できるのだろうと思ったに違いない。

しかし、その二岡ユニの少年は、
どんどん固まってゆく…
途中で、こっそり通路に出て、
ビジター席にまみれて応援するけど、
すぐに元の席に戻って、応援もせず座っている。

ラッキー７のジェット風船も、
巨人攻撃の７表でふくらませたがっていたけど、
二岡ユニの少年は戸惑いながら、
７裏の阪神の時にふくらませていた。

関本くんの犠打で一点入った時も、
すぐにその二岡ユニの少年をみたら、
周りは立ち上がって、喜びまくっている中で、
ヒトリ座り込んで、固まっている…

私はあまりにも可哀想になってきて、
「二岡ファンの少年よ！巨人を応援しよう！」
「ビジター席に一緒に行こう！」と言いたいが、
それは言えるわけがない。
私は赤星Ｔシャツを着てるのだから。

結局、試合は阪神が勝って、
恒例の六甲おろしの合唱になった時、
二岡ユニの少年は、タイガースユニの友達に、
タイガースメガホンバットを持たされて、
慣れない素振りで、六甲おろしを合唱していた。

二岡ユニの上に、白の綿シャツを着て、
まるで阪神ファンを装いながら…

この少年、阪神ファンになろう！と決意したのか？
巨人ファンを続けていこうと思ってるのか？
どっちだろ？

次も二岡ユニを着てやって来るのか…
いや、タイガースユニを買ってくるかも…
いや、もう甲子園には来ないかも…

頼む！野球嫌いにだけはならんといてくれ！

私はイソノさんの日記を思い出しながら、
二岡ユニの少年に声をかけてやればよかったと、
ものすごく後悔しながら、席を立つ。

だけど、ここで落ち込むばかりではない。
広島出身で、甲子園初体験した友達に、
次に甲子園に来る時に備えて、
阪神グッズ買いなはれ！！！
メガホンバットは、これにしなはれ！
タオルはこっちがエエ！今すぐ首に巻きなはれ！
と、立派な阪神ファンに仕立て上げた。

どっちつかずのヘタレやおまへん。
どっちも好きな熱いファンなんです。

二岡ファンの少年を心配しながら、
広島出身の友達を立派な阪神ファンに育て上げ。

naho先輩に勝利のメールを送りながら、
阪神ヘルメットを買おうかどうか悩みつつ。
オトンに残念メールを送りながら、
原監督携帯ストラップを買おうか悩む。

あきまへんか？こんな私？

こうして私の長い一日は終わった。
そして、いつもよりとてつも長い日記。
日記も中途半端で終われなきゃ、
私の野球に対する気持ちも半端やない。

オトンには悪いけど、とにかく去年の屈辱をはらす！
日本一の阪神を見届けるまでは、阪神を応援します。
すまん、オトン！