涙に彩られたペナント

高校野球では，どんなときも表情を崩さない「王子」が制覇した．
　
　セリーグでは，藤川球児の涙から始まったタイガース最後の粘りをかわし，落合博満の涙と共にドラゴンズのセリーグ優勝が決まった．藤川の悔し涙より落合の嬉し涙の方が強かったということだ．

　一方のパリーグでは，ホークスが松中の涙と共にプレーオフ第1ステージを突破した．敗れたライオンズに足りなかったのは，中継ぎ投手の度胸でも打線の爆発でもなく，若いチームが故の悲劇性であったか又は，成長途上であるが故の達成感なのだろう．

　このままいくと，日本シリーズでは落合の嬉し涙と松中の悔し涙の対決となるのか？そうなれば嬉し涙の方が悔し涙より強いことはセリーグで実証済み．ドラゴンズが勝つ．

　ホークスではなくファイターズならどうか？

　プロ野球選手が涙を流すその姿がテレビに映るとき，その選手の多くは過去か現在のチームの顔である．タイガースの顔は空前絶後のストレートを投げる藤川 であり，ドラゴンズの顔は巧みな采配と言葉でチームを導く落合であり，2年連続して首位ながらもプレーオフ敗退したホークスの顔は，三冠王でありながらプ レーオフで打てなかった松中である．

　ファイターズの顔は言うまでもなく今年引退するSHINJOである．引退発表の場で，SHINJOの目に涙はあったか？それはどちらでもよい． SHINJOがいつもファイターズの若い選手に言っていることは「とりあえず笑っとけ」だ．球界再編騒動の最中，観客席で涙する近鉄バファローズファン， お立ち台で涙する近鉄バファローズンナイン，すぽるとで涙する古田選手会会長の重さを，ホームスチールと逆転サヨナラ満塁シングルヒットと被り物と「元気 はつらつぅ？」で解放してきたSHINJOには，涙よりも笑いがよく似合う．

　涙と涙の対決に対するアンチテーゼとして，涙のドラゴンズに笑いのファイターズをぶつけ，涙と笑いの対決を実現したい．プレーオフ第1ステージは(ずっと以前から決めていたけど)ファイターズを応援します．