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育成方針の対決!少数精鋭主義と多数錬成方式の優勝争い! 9月25日イースタンリーグ 日本ハム対巨人戦のレポと動画アップ
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舎人
2011年09月30日 00:22 visibility1753
試合経過
日曜日の試合のレポと動画のアップをします。この試合は今年予定していた最後の観戦だったのですが、最後の最後でとんでもない熱戦となりました。前の日の試合は10対0のワンサイドゲームだったにもかかわらず、試合時間は2時間半程度。しかし、この日の試合は2対2のロースコアゲームだったにもかかわらず4時間近くかかりました。間違いなく今年最長の試合だったことと思います。この日イースタンリーグで首位だったのは巨人、2位は日本ハムでした。ゲーム差は1、勝敗で順位が逆転してしまう緊張感が選手たちの動きを重いものにしていたのでしょう。
このイースタンで首位争いをしている日本ハムと巨人、実は選手の育成方針でも大きく対立しています。日本ハムは選手を絞り込み、少数精鋭で育成を図っているのに対し、巨人は大量獲得と淘汰によって選手を輩出しようとしているのです。
巨人のGMの清武さんは前々回号の週刊ベースボールの連載記事で、そのあたりのことを話しています。清武さんは日本ハムを少数精鋭主義、巨人を多数錬成方式と呼んでいます。
「少数精鋭主義」とは優れた選手を絞り込んで獲得し、伸びそうな人材には恵まれた試合環境を与えるという考え方。日本ハムは球団の統轄本部部門が育成の絶対的な権限を握り、終始一貫した方針の下に選手の育成が行われている。だから、場当たり的にコーチが思いついたような指導は行われていない。指導に関しては全て統轄本部に報告し、1人1人きめの細かい指導方針が練られている。コーチは選手に個人面談を求め、課題を具体的に話し合っている。そのことで選手に今後の課題を分からせるように促している。
それに対して巨人の「多数錬成方式」を清武さんは選手を油田に喩えています。「選手の可能性は油田みたいなものだ。良質の油が噴き出すかどうかは結局、掘ってみないとわからない。たとえ油が出たとしても、それはすぐに枯渇するかもしれない。埋蔵量は容易にわからない。しかし、油田を確保しない限り、油は手に入らない」選手が入団後にどのように成長するかは予測できない。期待通りに出てくることの方がごく稀なことだ。こういった将来予測が困難で不確実性が高いことだが、うまくいけば大化けするというプロジェクトに最適な事業戦略は、出来るだけ多くの選手を抱え、適切に育成することだ。
そして多数錬成方式側から少数精鋭主義に対する比較として“少数精鋭の場合、失敗も限定されるが、成功も限定される。むしろ、選手が成功する可能性は低いので、失敗を取り返す可能性は低くなる。それに対し、選手を多く獲得することは、成功のメリットを享受する権利を多く持つことができる”
私なりにそれぞれの方式について考えていくと、少数精鋭の場合、これはよっぽどドラフトで選手の目利きに自信がないとできないことだと思うことです。いくら1人1人綿密な育成計画が行われたとしても、清武さんが話しているように、ほとんどの選手は球団が思い描くようには育っていかない。どれだけの確率で成功が出るかどうかの損益分岐点があることと思います。その確率が下がれば、チームが成り立たなくなるのです。だから、日本ハムの育成には失敗を極力出す訳にはいかないという緊張感を感じます。しかし、それでも長いシーズンの中では選手がケガや不調で戦力から離脱をすることがままあります。この少数精鋭主義は常に選手層の薄さによる危機を問題点として抱えていると言えます。
それに対し、選手を多く獲得するということは、質はさておき量的に選手が足りなくなるということはありません。むしろケガ人が少しくらいいた方がチームが活性化するほどです。しかし、このシステムの問題点は把握しなくてはいけない選手が多いため、使う側に迷いが生じてしまうことです。大所帯のチームでは、ほとんどの選手が一軍の首脳陣にプレーを見てもらう機会がないままに試合に出続けています。さまざまな特長を持った選手の中から何を基準に起用するのかが不明瞭になって、結局チーム事情にあった小器用な選手のみが出てくることになってしまいます。これは個性が埋没してしまう懸念があるということです。また、この考え方は選手が成功することはほとんどないという観念論からスタートしています。こういった気構えで少数精鋭と同じ緊張感の育成が行われているとは思えません。1人1人に対する行き届いた指導や育成方針は緩いものになってしまう気がします。
巨人の場合を考えると、ファームまではフロントと現場の意見が一致した育成方針が行われている感じですが、一軍がそれにしたがっているようには思えません。将来の主力を期待して強化指定選手にして育ててきた選手を、ただのコマとして使えるかどうかで抜擢したりしています。このあたり、日本ハムのようにファームから一軍までが一貫した育成方針のチームを見習うべきだと思います。大田ではないですが、ファームで取り組んでいたことが一軍に昇格した途端に否定されるなんてことは論外です。
また、ファームからの昇降格や抜擢を考えると、おそらく詳細なレポートがファームから一軍に報告されているのでしょうが、巨人の場合、その取捨選択は結局一軍首脳陣の主観で決まられてしまっている気がします。監督の目の行き届かない選手は、いくら活躍して力を付けていても、ファームからの推薦のレポートが届いていても、監督の関心が得られなければ留意してもらえない感じです。
育成とチーム事情が合致すればもちろんベストですが、ほとんどの場合はそうではありません。チーム事情に合わせてその足りない部分に選手を当てはめるだけなら、それは育成と呼べるのかどうか。その時にどれだけチーム事情を度外視して育てたい選手に合わせられるかが育成というものだと私は思います。そうしなければ巨人でもつなぎのできる小器用な選手は輩出されても、主軸となるべき選手はなかなか出てこないのではないかと心配になります。
つまりは少数精鋭主義も多数錬成方式もメリットデメリットがあるのは間違いなく、使い方や理念を誤るとまずい方向へ向かってしまうということだと思います。巨人のシステムはまだ理想論の段階です。日本ハムも慢性的な選手不足を自覚しながらも、強化資金との兼ね合いで綱渡り状態です。この育成方針の対決とはお互いの痛み分けといった段階ではないかと私は思います。
長々と屁理屈をこねていたら試合のことをすっかり忘れてしまいました。取りあえず動画は作ったのでご覧ください。隠善はもったいない。中井はもう少し。大田はまだまだといった感じです。橋本が一軍にかろうじて定着し、最近ではスタメンに起用されています。彼らも大いに刺激を受けていることでしょう。
今年は40試合を少し越す数の試合を観戦することができました。40試合以上行けたのは4年ぶりだと思います。これも第2二軍ができたおかげです。来年も同じくらい行けたらいいなと早くも思っています。なんだかしまりのない最期でしたが、今年のファームのレポをこれで終わりにします。
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