
清武さんが一命を賭す覚悟で守りたかったもの
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舎人
2011年11月12日 03:11 visibility1075
昼間の突然の記者会見からこっち、色々な人からメールをもらい、意見を聞き、私もずいぶん色々と考えました。巨人が騒動になる時はいつもこんな感じです。何もかもどうでもよくなってしまっているのですが、私も意見を発信し続けてきた者として、自分の思いを綴ってみたいと思います。
火曜日の深夜に書いた日記で私は、渡辺会長はコーチ人事が気に食わないのであれば、清武さんを解任して、自分の思い通りになる人物をGMにすればいいと書きました。そうしたら、我々の知らないところで本当にそういった人事が行われていたのです。球団会長という平の取締役がオーナーやGMを何の検証もなく、自分の一存で植木鉢にの花を植え替えるように人事異動させたのですから、コンプライアンス上というかコーポレートガバナンス上、相応しくないと言えなくもありません。しかし、親会社から送り込まれたの平取締役が子会社の社長よりも権限が強いなんてことは一般社会では往々にしてあることです。だから桃井オーナーが言っているように「渡辺会長はただの平の取締役とは違う」のです。その発言は組織においては絶対的なものでしょう。
しかし、そんなことは清武さんだって十分に分かっていたに違いない。それを分かっていたとしても問題提起しなくてはいけなかったことがあった。私は清武さんが本当に言いたかったことは2つあったと思う。
通常の球団は親会社のトップがオーナーを兼任することが通常なのです。当然、球団のトップは親会社のトップでもある訳です。読売のトップである渡辺氏が球団のトップを退任したのは、例の一場事件によってでした。オーナーとして相応しいことができなかったということで責任をとったのです。しかし、いつの間にか球団内に会長という役職を作ってオーナーのさらに上を行くような存在になってしまった。これでは実質的にオーナー復帰したも同然です。一場事件の時の責任問題はどこへ行ったのか?同じように一場事件で辞任した横浜の砂原さんや阪神の久万さんがその後、球団の運営に口を挟んできたという話を聞いたことがあるでしょうか?事件のことを恥じていたかどうか分かりませんが、せいぜい顧問程度の存在になっていたと思います。以前と同じように権力を振りかざしているのは渡辺氏だけです。そういったろくに禊(みそぎ)を済ましていない渡辺氏の姿勢が、イコール巨人像となって、どれだけ球団にイメージダウンにつながったか分かりません。おそらく何の反省もしていないと世間からは思われているでしょうし、実際、渡辺氏は反省などしていないのでしょう。その独善制が問題となり、一度は大問題を引き起こした渡辺氏の姿勢を清武さんは主張したかったことの1つではないかと私は思います。
もう1つの主張したかったこと。それは自分の球団運営の理念を刺し違えてでも守りたかった。清武さんは自分の保身などでこんな記者会見を開いたのではないことは明らかです。GMを解任されたといっても、球団内での専務の地位を保証され、実質的な編成の仕事は任されています。このまま渡辺氏の意に従っていれば、行く行くは球団社長になったでしょう。しかし、それでは自分が理念としているフロント主導のチーム強化のシステムの構築を挫折してしまうことになる。前の日記でも書きましたが、チーム強化に必要なのは人が入れ替わっても球団運営やチーム強化の方法が一貫していシステムの構築です。有能な人を落下傘のように投下して全てを任せるやり方が間違っていると清武さんは思っていた。だから岡崎ヘッドにこだわった。渡辺会長のようにビックネームの江川さんを投下するようなことを許す訳にいかなかった。一度でも許してしまっては、今までやってきたこと全てが水泡に帰してしまうと思ったのでしょう。
もちろん、これだけの理由でこんな勝ち目のない造反劇を起こす訳がないでしょう。おそらく我々には知らない所で、ずいぶん苦しい思いし、追い込まれてきたからこその記者会見だったと思います。こんなことをしたら球団内で居場所が無くなると分かっていたと思います。しかし、それでも一命を賭してでも清武さんは訴えたいことがあった。私はそんな風に考えます。
私はずいぶん長い巨人ファンなので、清武さんが代表に就任するはるか前から巨人のことを知っているつもりです。そして、その頃の理不尽さや、やるせない思いを忘れることが未だにできないでいます。チーム強化の方法とは金をかけることとビックネームを連れて来ることだけの時代でした。渡辺会長はその頃からちっとも変わっていないようです。しかし、以前のように補強資金が潤沢で、ドラフトで逆指名がある訳ではありません。今の時代では好むと好まざるとにかかわらず、巨人も限りなく普通の球団に近づくしかないのです。渡辺会長が江川さんや落合さんを連れてきても、一時的な強さが復活することはあっても、安定した強さを保持できるとは私には思えません。清武さんにどんな裁定が下るか分かりませんが、できればこのまま球団に残って欲しい。それがダメならば、その理念を誰かが引き継いで欲しい。
日本シリーズ前だというのに今回の記者会見は確かに唐突で、他球団のファンはもちろん、巨人ファンからもずいぶん清武さんのことを叩く意見が見受けられます。本当なら私も清武さんには黙って雌伏の時を待って欲しかった。なんてことをしたのだと思った。ひたすら悲しかった。私も涙が出た。正直、バカだと思った。しかし、私は選手と同様に、清武さんにも思い入れを持ってしまっている。だから、どんなことになっても彼のことは応援したいと思う。力になれることがあったらなりたいと思う。
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