田中太一と成瀬功亮 高卒2年生投手たちの成長のあと

  • 舎人
    2012年05月29日 01:17 visibility1932





試合経過




金曜日の試合の話の続き。松本たち高卒ルーキーたちが1イニングづつの登板を終えると、四回からは田中太、成瀬と高卒2年生投手が続いて登板をしました。ほぼ1年前の6月5日、相手もちょうど同じJR東日本を相手に、彼らは松本たちと同じように3人揃ってデビュー登板を果たしたのでした。それから1年・・3人は2人に減っています。宮國が一軍の戦力になって、ファームの投手ではなくなったからです。同じスタートラインでもいつの間にかライバルははるか彼方に姿を消しています。そういった実力至上主義の残酷な光景を、ここでは毎年のように見ることになります。しかし、早く先に行ったものが一番の成功者になるとは限りません。遅れてスタートした田中や成瀬が、いつか宮國に追いつき追い越すことだって考えられます。この一年間、宮國は長足の成長を遂げましたが、田中や成瀬だってこの一年間で何かがあったはず。そんな成長のあとを考えてみました。

 

まずは田中ですが、今シーズンはなかなか登板がありませんでしたが、どうやら右手の突き指が原因で出遅れていたようです。肩肘の故障でないことはなによりだったのですが、この日の球速は少し物足りないものでした。MAXは142キロを3度記録、まずまずの球速だと思いますが、昨年のデビュー登板の時の田中は145キロをなんと6度も記録していたのです。その時の投球を覚えていただけに、少し不満に感じたのでした。投球フォームはほとんど変わっていません。では何が変わったのか?昨年の投球と今年の投球を比べてみると、昨年は真ん中付近に思い切り投げ込まれていた投球が、今年はコーナーを突こう突こうとする投球に変わっている気がします。それは結果に顕著に表れています。

 

2011年6月5日 対JR東日本

イニング数2 球数37 被安打7 四死球0 奪三振0 失点5 MAX145キロ(6度)


2012年5月25日 対JR東日本

イニング数2 球数17 被安打1 四死球0 奪三振1 失点1 MAX142キロ(3度)

 

私が思うに球速が落ちたということは自分本位で投げていた昨年と違って、打者と対戦することを意識したためだったと思います。ただ投げるためのマシーンのような存在から打者を打ち取ることを目的とした投手になったということが、田中のこの一年の成長だったと私は思います。

 

被安打1は本塁打でした。やや外角の甘めのストレートを出会い頭に打たれたものでした。コントロールを優先して球威が抑えられているのだとしたら、絶対に甘くなってはいけません。力のあるストレートならば、少々甘くなっても打者が打ち損じることがあるでしょう。しかし、力のないストレートが甘いコース来たとしたら、思い切り投げた力のある速球よりも痛い目に会う確率が高くなるからです。この被本塁打は正に打ち頃のストレートがバッターの伸ばした腕の先に来たと言っていいと思います。田中には投手として打者との対戦を意識することを大事にしながらも、自分の原点を忘れないで欲しい。もっと力押しのできるスタイルが持ち味ではないか。ただ単にまとまっただけの特長のない投手にだけはなって欲しくないです。

 

参考

巨人D3位 田中太一プロ初登板 全投球アップ (平成23年6月7日 日記)



 














 

田中が投げ終えると六回から成瀬が1イニング登板しました。簡単に三者凡退に打ち取っていたのですが、緩急が素晴らしく、しっかりと自分の投球をしていた気がします。成瀬も田中同様に球速は昨年のMAX142キロよりも3キロ遅いMAX139キロです。しかし、投球結果は田中同様、昨年よりもやはり向上しています。

 


2011年6月5日 対JR東日本

イニング数1 球数17 被安打1 四死球1 奪三振0 失点0 MAX142キロ


2012年5月25日 対JR東日本

イニング数1 球数10 被安打0 四死球0 奪三振1 失点0 MAX139キロ

 

成瀬の成長を考えると、昨年よりも投球フォームがしっかりとしてきていることが言えると思います。昨年は時折ヒザが割れ、体がサード方向に流れていた感じでしたが、今年はどっしりとしてきていると思います。そのために制球力が向上し、変化球のキレが増したのだと思います。








 

成瀬はこのスタイルを突き進めればいいのではないかと思います。しかし、だからといって、いくら緩急が巧みになっても140キロに届かない球速では今後厳しいと思います。スタイルを追求すると同様に投手としてのスケールを大きくする努力やそれを補う武器を手にすることが成瀬の今後の課題ではないかと思います。

 


参考

巨人育成D6位 成瀬功亮プロ初登板 全投球アップ (平成23年6月9日 日記)





 

 

この田中たちの時のドラフトは非常に偏ったもので、1位から4位までが全て右投手というものでした。さらに育成でも福泉と成瀬の2人が指名されたのですから、一気に6人もの右投手が入団することになりました。しかし、1位指名入団の澤村は11勝を挙げ昨年の新人王、今や右のエースです。2位の宮國も今シーズンローテーションに入り早くも2勝、将来のエースとして期待されています。4位の小山も一軍でローテーションの谷間で先発を任されたりして、戦力となりつつあります。偏ってはいたものの、将来を担う投手を見事なまでにかき集めたドラフトだったと思います。そんな成功している同期入団たちに田中や成瀬が思うことは多いと思います。以前の日記でも書きましたが、投手王国とはその世代を引っ張る投手の存在があって初めて生まれるものだと思います。剛の澤村と柔の宮國を軸に今後の巨人投手陣は形成されるでしょう。上手くいけば槙原斎藤桑田宮本木田香田広田を擁した第二次藤田巨人を上回る投手王国が作られるかもしれません。その時の一員に田中も成瀬もなって欲しいと思います。
 

田中太一 2012年5月25日 ←New


成瀬功亮 2012年5月25日 ←New




























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