今年のルーキーたちについて2010 (4) 市川友也
-
舎人
2010年11月20日 09:34 visibility1357
ルーキーたちの話の4回目、今日は4位指名で入団した市川について・・
市川は東海大相模ー東海大学と歩んできた原監督の直系の後輩です。
先に入団していた加治前とは大学時代の同期ということになります。
巨人はこの社会人出身の捕手にV9時代の正捕手森さんと同じ
背番号「27」を送り期待を込めています。
24歳という年齢を考えると通常即戦力としてのでしょうが、
今年30歳になったばかりの正捕手阿部が最も脂の乗り切った現時点では、
即戦力としての期待からの指名ではなかったでしょう。
この市川がなぜ指名されたかを考えると、
加藤、実松、星のグループと谷内田、鬼屋敷、河野のグループとで、
年齢差が10歳近くあり、そのちょうど中間の世代の捕手が
欲しかったという事情があると思います。
市川が指名された当時、かなり意外な印象が持たれたようでした。
と言うのは、市川はアマでの実績は絶対的なものではなく、
まだまだこれからキャリアを積んでいく段階の捕手だったからです。
所属していた鷺宮製作所での市川の出場の状況を調べてみると
秋山という30歳の捕手に次ぐ、2番手捕手だったことが分かります。
2009年 市川鷺宮製作所における出場状況
03月12日 東京スポニチ大会 1回戦 スタメン捕手
03月14日 東京スポニチ大会 2回戦 スタメン捕手、途中交代
03月24日 東京都企業春季大会 1回戦 捕手としての出場無し
03月25日 東京都企業春季大会 2回戦 捕手としての出場無し
03月26日 東京都企業春季大会 決勝戦 捕手としての出場無し
04月07日 JABA静岡大会 1回戦 スタメン捕手、途中交代
04月08日 JABA静岡大会 2回戦 捕手としての出場無し
04月10日 JABA静岡大会 準々決勝 スタメン捕手
04月14日 関東選抜リーグ 第1戦 スタメン捕手
04月22日 関東選抜リーグ 第2戦 捕手としての出場無し
05月15日 JABA東北大会 第1戦 スタメン捕手
05月16日 JABA東北大会 第2戦 スタメン捕手、途中交代
05月18日 JABA東北大会 第3戦 捕手としての出場無し
05月22日 関東選抜リーグ 第4戦 捕手としての出場無し
05月28日 関東選抜リーグ 第5戦 捕手としての出場無し
06月23日 都市対抗2次予選1回戦 途中出場
06月26日 都市対抗2次予選2回戦 捕手としての出場無し
06月29日 都市対抗2次予選3回戦 捕手としての出場無し
08月05日 JABA 北海道大会 第1戦 スタメン捕手
08月06日 JABA 北海道大会 第2戦 スタメン捕手
08月08日 JABA 北海道大会 第3戦 スタメン捕手
08月09日 JABA 北海道大会 準決勝 スタメン捕手、途中交代
08月09日 JABA 北海道大会 決勝 捕手としての出場無し
08月22日 都市対抗本大会 1回戦 途中出場
09月15日 東京都企業秋季大会 2回戦 途中出場
09月18日 東京都企業秋季大会 決勝戦 捕手としての出場無し
11月12日 社会人野球日本選手権 第1戦 スタメン捕手
このようなまだまだ捕手としてのキャリアは未熟で、
数多くの経験を積んでいく段階にあった市川が指名されたのは、
スローイングの良さを含んだ素材の良さからにほかなりません。
私は入団前に巨人の2軍と鷺宮製作所とのプロアマ交流戦で、
市川が盗塁刺をしているのを見たことがありますが、
素早く正確なスローイングは入団時の星を思い出させるものでした。
強肩であると同時に捕球してからの動作に隙がないといった感じです。
また、身長176センチと捕手としては小柄ながら、
100mを11秒台の俊足、打もセンスがあり長打力を秘めている、
そういったオールラウンドの才能を期待して、市川は指名されたのでしょう。
入団してからの市川は紅白戦でまずまずのプレーをしてアピールすると、
オープン戦は一軍に帯同を許されます。
そして長野、土本とともに開幕戦を一軍で迎えることになりました。
しかし、一軍での立ち位置はあくまで3番手捕手、ほとんど出番がありません。
そのため、一軍がナイターの時など、イースタンの試合に出場したりしていました。
せっかく開幕を一軍で迎えた市川でしたが、
わずが1試合の出場のみでファームに落とされます。
その後一旦一軍に呼び戻され、一か月ほど一軍に帯同したものの、
出場2試合で再びファームに落とされ、
そのまま一軍に昇格することなく今シーズンは終わりました。
一軍での打撃成績は2打数0安打1三振でした。
ファームでの市川はどうだったか?
こちらは加藤や星たちの影が薄くなるほどの存在感を示していました。
私の印象として、スローイングはもちろんのこと、
あまり期待していなかった打つ方が意外に良いと思いました。
特に高めのストレートに強い印象で、
教育リーグでロッテの大嶺のアウトハイストレートを
豪快にレフトスタンドに運んでいました。
ドラフト時のパンチ力があるといった前評判は間違いではありませんでした。
一軍に登録されたり落とされたりして、ほとんど出番のなかった市川でしたが、
イースタンでは20試合に出場に出場し、
打率.297、本塁打2、打点6の好成績を修めます。
これは加藤や実松、星といった先輩たちよりも良いもので、
これからの活躍が大いに期待されていました。
しかし、好守に渡って非凡なセンスを発揮していた市川でしたが、
なぜか捕手としてスタメンに出ることはあまりなく、
途中出場か、スタメンで出てもすぐに途中で引っ込んでしまいます。
これだけの存在感を示しながら、
なぜスタメンの機会をもっと与えないのだろうと思っていると、
6月の末からはついに全く試合に出なくなってしまったのです。
なぜか不思議に思っていると原因は腰痛によるものでした。
打率3割半ばを打っていた市川はフレッシュASに選出されたものの、
出場を辞退したのです。
市川の腰痛とは「腰椎分離症」というもので、主な原因は疲労にあります。
放っておくと疲労骨折に繋がるもので、コルセットで患部を固定し、
安静にしておかなくてはいけないやっかいなものです。
イースタンで最後に出場した6月19日から2か月以上経った8月28日、
市川はようやくチャレンジマッチで試合に復帰します。
その後、イースタンの公式戦にも復帰しましたが、
故障から完全復帰という訳にはいかず、
結局、イースタンでは復帰後無安打に終わってしまいました。
故障さえなければ加藤たちを抜き去り、3番手捕手の座を確保するばかりでなく、
一気に鶴岡の立場さえ脅かす可能性もあっただけに、
なんとも残念な故障であり、一年だったと思います。
市川の指名は、東海大繋がりによる縁故採用であるとか、
巨人を首になった三木を引き取ってもらった返礼であるとか色々言われました。
しかし、それら全てが間違っているとは言わないまでも、
あくまでも指名するにあたって参考程度にされたに過ぎないでしょう。
市川にはドラフトで指名されるだけの力があったことは間違いありません。
しかし、この腰痛のことはドラフト時考慮していなかったのか?
私はそこまでアマ野球に詳しくないので想像の話になってしまいますが、
この市川の腰痛はアマ時代からの持病ではなかったかと思います。
「腰椎分離症」とは元々の体質に起因するらしく、
一度やると時々再発するらしいのです。
そのためにアマの時代もスタメン出場が少なかったのではないか?
そんな疑惑が残ります。
それを知らないで、いや知っていたとしても軽視して指名したのなら、
これは誤算だけでは済まされない問題だと思います。
ともあれ体調を万全にし、来シーズンこそ一軍定着を目指して欲しいと思います。
鶴岡の2番手捕手は完全に次の捕手たちの蓋(ふた)になっているのです。
それをひっくり返す役割を市川には期待したいと思います。
市川友也 レフト前ヒット! 2010年5月30日
http://www.youtube.com/watch?v=vd1H9s0S3Y4
既出
巨人の2009年ドラフト4位 市川友也
http://www.youtube.com/watch?v=wpbcK2RGOeU
巨人2009D4位 市川友也プロ初本塁打!
http://www.youtube.com/watch?v=PvYlBAN6uU4
市川友也(巨人)盗塁刺!
http://www.youtube.com/watch?v=mUT6ZFxaN-o
- favorite13 chat10 visibility1357
-
navigate_before 前の記事
内海に神宮で投げさせた方が悪い!2010年
2010年8月12日 -
次の記事 navigate_next
イースタンリーグ巨人対ロッテ 17回戦(inジャイアンツ球場)
2009年9月27日
- 事務局に通報しました。
chat コメント 件