長野久義(3)・長野の評価はどう変わったか?
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舎人
2009年10月28日 04:56 visibility2684
いよいよ明日はドラフト会議です。
今回はなんと言っても花巻東の菊池君を、
どの球団が交渉権を獲得するのかが、最大の関心事です。
しかし、巨人は早々と1位指名をHONDAの長野に決めてしまっています。
確かに1位指名に相応しい選手ですし、右の外野手が少ないチーム事情に合っています。
何の問題もない今回の長野指名の方針なのですが、「あの時指名していれば・・」
という思いに駆られているのは私だけではないと思います。
長野は高校時代から通算すると4回目のドラフトを迎えることになります。
と言うことは、巨人は過去に3回も長野を指名するチャンスがあったことになります。
その時、何故巨人は長野を指名しなかったのか?当時、長野はどんな評価だったのか?
今日はそんなことを考えてみたいと思います。
まず、長野が初めてドラフトを迎えたのは2002年のドラフト。
このドラフトでは巨人はどんな選手を指名しているか・・
小僧=野球小僧、週ベ=週刊ベースボール
2002年ドラフト
自由獲得枠 木佐貫 22歳 投手(右) 評価 小僧 ◎ 週ベ 特A
自由獲得枠 久保 22歳 投手(右) 評価 小僧 ◎ 週ベ A
3位 長田 18歳 内野(左) 評価 小僧 ◎ 週ベ A
4位 山本 18歳 外野(右) 評価 小僧 ○ 週ベ B
5位 矢野 22歳 外野(右) 評価 小僧 ○ 週ベ B
6位 入野 22歳 捕手(右) 評価 小僧 ○ 週ベ 無
7位 横川 18歳 捕手(右) 評価 小僧 △ 週ベ 無
その後戦力になったかどうかは別にして、
ドラフト1位クラスの評価の選手がいっぺんに3人も取れたということで、
大成功のドラフトだったと評価された年です。
この時、福岡・筑陽学園の三塁手だった長野の評価
小僧 △「50m6秒0の脚力と抜群の身体能力・野球センス。リスト強く可能性秘める」
この時の長野はほとんど無名の状態、
週刊ベースボールの方にはリストにさえ名前がありません。
これでは指名される方が不思議、
大学・社会人でステップアップする必要がある選手でした。
この時プロ入りした高卒選手には、横浜の吉村やロッテの西岡、
オリックスの坂口などがいます。
次に長野がドラフトを迎えたのは2006年のドラフト。
このドラフトでは巨人はどんな選手を指名しているか・・
小僧=野球小僧、ア野=日刊スポーツアマチュア野球
2006年ドラフト[大学・社会人]
1位 坂本 17歳 内野(右) 評価 小僧 ◎ ア野 B
2位 田中 18歳 外野(左) 評価 小僧 無 ア野 AA
3位 伊集院 18歳 捕手(右) 評価 小僧 ○ ア野 無
2006年ドラフト[大学・社会人]
希望枠 金刃 22歳 投手(左) 評価 小僧 ◎ ア野 AA
3位 上野 22歳 投手(左) 評価 小僧 ○ ア野 B
4位 円谷 22歳 内野(左) 評価 小僧 ○ ア野 BA
5位 深沢 23歳 投手(左) 評価 小僧 ○ ア野 B
6位 寺内 23歳 内野(右) 評価 小僧 無 ア野 無
7位 深町 22歳 投手(右) 評価 小僧 △ ア野 B
2006年ドラフト[育成]
1位 鈴木 21歳 投手(左) 評価 小僧 △ ア野 C
2位 下山 22歳 外野(右) 評価 小僧 △ ア野 C
3位 松本 22歳 外野(左) 評価 小僧 無 ア野 C
4位 隠善 22歳 外野(左) 評価 小僧 ○ ア野 無
5位 芦沢 23歳 内野(右) 評価 小僧 無 ア野 無
6位 作田 22歳 内野(右) 評価 小僧 無 ア野 無
7位 大抜 18歳 投手(右) 評価 小僧 △ ア野 B
なんと大量16名の指名!この年の強化ポイントは左投手と内野手。
左投手は大学・社会人から4人指名、
内野手は高校・大社・育成合わせて、実に5名も指名しています。
それに比べて外野手は育成の3人のみ。明らかに後回しにされています。
この時、日大の外野手だった長野の評価
小僧 ○ 「50m5秒8、遠投120mの身体能力を勝つために活用開始。野球が光り
始めた。」
ア野 BA 「抜群のヘッドスピードが光る右の強打者。今年は春夏連続で首位打者に
輝いた。」
こんな感じです。高校時代より0.2秒足が速くなってます(笑)
この年長野は4巡目で日ハムに指名された訳ですが、巨人と相思相愛の関係でした。
巨人は同じように円谷にも早い段階で指名の確約をし、囲い込みをしています。
円谷の契約金は希望枠入団の選手と同額の1億円でした。
おそらく長野も円谷と同様に下位指名の予定だったのでしょう。
そして、希望枠と同等の評価で契約されたのだと思います。
それが長野と巨人にとっての誤算なことに、
4年次の長野が恐ろしい勢いで覚醒してしまい、
他球団が放ってはおけなくなってしまったのです。
それと、日ハムの指名の背景には、外野を守っていた新庄の引退があり、
どうしても即戦力の外野手が必要だったこともあると思います。
本当なら長野を上野の代わりに3位で指名しておけばよかったと誰もが思っているはず。
しかし、Bクラスに沈み、次の年の浮上を狙う巨人にとって、
将来、主軸を張れるほど有望な選手を回避してでも、
即戦力の左腕が欲しかったのでしょう。
その時の編成の苦労のほどが指名リストを見ると分かります。
ただ、その割に肝心な左投手があまり活躍していないのが残念な限り・・
特に上野には奮起を期待したい所です。
そして昨年、2008年のドラフト。
このドラフトでは巨人はどんな選手を指名しているか・・
小僧=野球小僧、ア野=日刊スポーツアマチュア野球
2008年ドラフト
1位 大田 18歳 内野(右) 評価 小僧 ◎ ア野 BA
2位 宮本 18歳 外野(左) 評価 小僧 ○ ア野 BA
3位 斎藤 18歳 捕手(右) 評価 小僧 ◎ ア野 B
4位 橋本 18歳 内野(左) 評価 小僧 ○ ア野 A
5位 笠原 17歳 投手(左) 評価 小僧 ◎ ア野 B
6位 仲澤 21歳 内野(右) 評価 小僧 △ ア野 B
2008年ドラフト[育成]
1位 杉山 17歳 内野(右) 評価 小僧 △ ア野 BA
2位 尾藤 20歳 外野(左) 評価 小僧 無 ア野 無
3位 山本 22歳 捕手(右) 評価 小僧 △ ア野 無
4位 福元 25歳 内野(左) 評価 小僧 無 ア野 BA
昨年のドラフトを振り返って、一言で括れば「将来性」だと思います。
2年連続の優勝、2年前とは違い戦力が整い、
特別早急に補強するポイントが見当たらない中でのドラフトだったのです。
元々長野を1位指名する予定だったのでしょうが、
降って湧いたような大田のプロ入り希望の表明。
この段階になると、チーム作りにロマンを賭けている巨人の編成には、
大田を回避することは出来なかったでしょうし、自然の流れだったと思います。
HONDAの2年目外野手としての長野の評価
小僧 ○ 「1年目から国際試合出場に社会人ベスト9。公式戦に貢献できる勝負根性に
俊足・強打◎」
ア野 A 「アマ球界を代表する強打の外野手。一昨年は日本ハムの指名を断り社会人に
進んだが、1年目から年間ベストナインを獲得。実力を見せつけた。打撃は粗
さが残るが、守備と走塁は間違いなく即戦力。」
守備と走塁では最高の評価をされていますが、打撃に関してはまだまだ荒削りとの評価。
それでも2位で指名したロッテや最後まで指名を検討していた球団は、
打撃には目をつぶってでも総合力で指名の価値ありと判断したのでしょう。
しかし、巨人としてはそこまでの温度の高さがなかった。
2年前のいきさつがあるので、大田の次に指名できたらと踏んでいたのでしょうが
どうしても欲しい戦力ではなかったというのが本音だと思います。
そして今年、2009年の長野の評価
小僧 ◎ 「大舞台で、特に打撃で本領発揮できる勝負強さは大したもの。走塁の迫力も
プロ向きだ」
ア野 AA 「3拍子そろった社会人No.1外野手。特に俊足と強肩はプロに入ってもトップ
レベル。打撃の確実性も向上し、都市対抗では首位打者を獲得した。2度の
プロ指名を拒否し、三度目の正直で巨人入りを目指す」
最初のドラフトから数えて7年かけて長野は最高の評価を得るに至りました。
どの評論家も、サイトも今回は長野のことを絶賛しています。
これで満を持して巨人のドラフト1位指名を受けることになるでしょう。
これまではドラフトのたびにころころと変わる
巨人の諸事情に振り回されてきた長野ですが、
逆に考えれば、簡単にプロ入り出来なかったことが長野を育てたとも言えます。
今週発売の週刊ポストに長野の記事が載っていて、
小学5年生の時の文集か何かに、長野の15年後の夢として、
「ドラフト1位で巨人軍にジャイアンツに入団して4番打者になる」
なんて書かれています。なんだか出来過ぎた話ですが、
ここまできたらぜひとも夢を叶えて欲しいと思います。
2009年6月7日(日) 長野久義 巨人2軍相手に大爆発!
(再アップ 画質が良くなっています)
http://www.youtube.com/watch?v=sWpUtOxIVKA
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