Hidetoshi NAKATA
-
uco
2006年07月04日 15:24 visibility68
「好きなサッカー選手は?」
「中田英寿ですっ」
「尊敬してる人は?」
「中田英寿ですっ」
あたしはいつもそう答えてた。
あたしのまわりの人間関係の中で、
誰よりも一番ヒデが好きな自信がある。
現役引退。
事務所側も知らなかったらしい。
ホント、ヒデらしくて、涙が出てくる。
奴はいつでもカッコいいよ、ホント。
憎らしいほどに。
ベルマーレからイタリアに渡ったとき、
ちょうどその夏に控えてたエスパルス戦を戦う前だった。
初めての生ヒデの試合を楽しみにしてたのに、
彼は夢に向かってあたしの前を過ぎてったんだ。
だけどペルージャでの活躍、素晴らしかった。
チームがヒデ中心に動き始めて、順位を上げた。
ローカルなチームが、イタリアを、日本を、世界を賑わせた。
その後いくつかのチームを渡り歩き、活躍できない時期もありながら
イタリアで7シーズンを過ごした。
"海外組"
として日本代表に召集される。
重要な試合でないときは、呼ばれないこともあった。
・・・・そして壁が出来た。
ヒデらしさ。
自分の意志を持って、自分の哲学を以て
自分の道を曲げない姿勢は
時に仲間に反感を買う。
日本の力を出し切って、勝つにはどうしたらいいのか。
それを伝えたいだけなのに、周りはついてこない。
「俺は代表にはいらないんじゃないかな」
「俺がいない方がよくまとまっている気がする」
そんなめったに聞かない彼の弱気な言葉を、
あたしはテレビの前で悲しく受け止めた。
ヒデは戦っている。
ピッチの上でも、
自分の中でも、
仲間との間でも。
「頑張って」
「ヒデを信じてるから」
このドイツ大会を通してのヒデの動きは本当に素晴らしかった。
攻守に活躍し、ミドルシュートを放つ場面も何度かあった。
”最後にする”
彼が一人心に誓ったその決断。
それがあのプレイにつながっていたのだろう。
「ブラジル戦に全てを懸ける」
「これが最後にならないように」
そう試合前にファンに言った言葉の裏には、
彼しか知らないその決断。
予選敗退が決まって、同時に引退が決まった。
自分のサッカー選手としての人生が終わったとき、
彼の目に溢れたものの意味。
悔しさか。
感動か。
10年間のプロサッカー人生の全てがこみ上げてきたんだと思う。
「ヒデが引退しちゃうよぉぉぉぉ」
一人部屋で号泣してたあたしは、親に電話をかけた。
あたしは悔しかった。
まだまだヒデの実力は証明されてない。
もっともっと上手くヒデの力がチームに溶け込んだら、
もっともっと強くなれるのに。勝てるのに。
まだ100%じゃないのにっっっ
どうして終わりを選ぶのっ
「何で泣くの〜(^-^; 死んだわけじゃないんだよ」
・・・・・そうだった。
ヒデは死んでなかった。
死ぬためにこの大きな決断をしたんじゃないんだ。
生きるためだ。
彼らしく、カッコ良く生きるためだ。
ヨロヨロして、サポーターに心配されながら
サッカーをする姿は、ヒデの美学に反するから。
新しい人生を生きるため。
あたしの大好きな人も帰って来て言ったよ。
「ヒデが納得してそう決めたなら、
それは終わりじゃなくて始まりなんでしょ」
うん。
「そしたらまた応援してあげな。
ヒデがゆーこにとって大事な人だってことは変わりないんだから。」
うん。
中田英寿、山梨県出身、29歳。
あたしがサッカー選手として、男として、人として、
一番尊敬した人物。
そして、尊敬し続ける人物。
彼が新しい道を歩き始めた。
勝手ながら、応援させてもらうのが、
あたしの届かない愛。
- 事務局に通報しました。
chat コメント 件