イスパニア戦記 〜そしてジダン・・〜

  • Pichichi
    2006年06月29日 02:47 visibility210

Round of 16でもっとも注目していた対戦。
スペインvsフランス。

GLの戦いを見る限りでは、断然スペインがいいサッカーをしていた。しかし、GLの結果が当てにならないのがW杯の決勝T。強豪国はGLですべてを出してこない上に、試合毎にチームの完成度を上げてくる。

ドイツ、ブラジル、それに今回のフランスがいい例だろう。
(とは言えフランスはGLでやや苦戦したが・・)

スペインはGLでは弱小国相手とはいえ、出場32か国中でも3本の指に入るパフォーマンスを見せた。若い力が活躍し、スピード溢れるパスワークと絶対的に試合を支配するポゼッションサッカーで相手を圧倒した。

この試合も、前半の終盤にフランスが追いつくまではまさにこの両チームのGLでの戦いぶりを象徴するようなゲーム展開だった。

素早いパスワークからボールを支配し攻撃を仕掛けるスペイン。それに対し、フランスは序盤スロースタートでスペインのスピードについて行けていなかった。前半なかばでのデータでは一時期ポゼッションが63:37までスペインに傾く。

そんな中で28分にスペインが先制する。VillaのPKは完璧なコースへと吸い込まれる。

幸先よい先制点とは裏腹にこのあと試合の展開は徐々にフランスへと傾きだす。
この要因として考えられるのは、スペインは序盤に飛ばしに飛ばし試合を支配しながらも流れの中から決定的なチャンスを作れずPKでの1点に留まった。そして、PKのあとから徐々に運動量とスピードが落ち始める。
一方、フランスは初めスペインのスピードについていけず攻められながらも辛抱強く耐えた。そして調度スペインの攻勢が衰え始めた頃に、フランスは逆にここまでスペインが展開していたスピードまで自分達のスピードを合わせてきた。スローでスタートした分、運動量はスペインとは逆に上がりだしている。

前半30分代はお互いにスピード、運動量ともにもっとも高いところで五分五分になり、信じられないようなスピードでゲームが進む。今回のW杯でもっともスピーディーなゲームだった。
そして前半終了を前にして、それが落ち着こうかと言うタイミングでフランスがついに同点に追いつく。美しいスルーパスからの抜け出しだった。

余談として、
DFの裏に抜けるボールはここまで再三アンリが狙っており、ことごとくオフサイドに引っかかっていた。
ここでアンリの裏へ抜け出す技術で僕の目を引いたのは、彼がボールをもらう動きをオフサイドポジションから始めることである。最初はただ戻り切れてないだけかと思っていたが、何度も同じシーンが見られなんとなくアンリの意図が見えた。要するに、DFの視野の中から裏に抜け出すのではなく、視野の外からパスが出るタイミングにあわせてオフサイドライン上へとチェックバックしスタートを切るのである。これはDFは守りにくいと思われる。ましてや、アンリのチェックバックしてから裏へ抜け出す速さといったら世界一と言ってもよく、オフサイドに掛からなければ追いつくのは不可能。そして彼の決定力はご存知の通りである。日本の某FW陣とは訳が違う。恐ろしいと思った。アンリはかなり賢いプレーヤーである。

話は戻るが、このフランスの得点シーンでは再三オフサイドに掛かっていたアンリではなく、その反対側からMFのリベリが抜け出す。しかし、実際この瞬間もアンリはオフサイドポジションにおり、結果としていいおとりとなった。

後半に入ると五分五分の展開となったが、最後まで要所を押さえていたのはフランスだった。
中盤はマケレレ、ビエイラを中心にフランスが支配した。スペインも必死に攻撃するが、ボールを持たせてもらえる位置が中ではなく外が多かったため結局チャンスには多くなかった。トーレスが外に流れる、セスクが外に出てボールを持つ、ペルニアが外からオーバーラップする、など殆どのスペインのポゼッッションは外。ホアキンが外から中へ切り込む動きを見せ何度かチャンスを作ったが得点には到らず。

この試合の一番の注目はやはりジダンだった。
全盛期の躍動感はないものの、随所に堅実で美しいプレーを見せてくれた。昔のように縦横無尽に動き、ドリブルで相手を切り裂いてというわけには行かないが、基本的に真ん中でボールを受け、上手にためを作ってサイドまたは前に捌くというシンプルながらもゲームを作るうえで欠かせない役割を果たした。

過去にスペインに住んでたことから、日本が負けたあとは地味に個人的にはスペインを応援していました。
しかし、マドリーのスターであるジダンにも相当の思い入れがあり、負ければ引退と思うと、今回の対決は本当にもどかしかった。スペインには勝って欲しいが、ジダンのプレーはまだ見たい・・・。

試合を通してあまり目立ちはしなかったが、最後にジダンがゴールを決める。感涙。
今大会で引退が決まってるだけに、どうしても見たかったジダンのゴーーーーール!!!
綺麗なゴールだった。あの世界最高のDFの一人に数えられるプジョルをペナルティーエリア内でいとも簡単にかわし、カシージャスの裏を取るという超一流の技、そして落ち着き。ジダンならではのゴールだった。

今大会、スペインは面白いサッカーをしていたのでもっと見たかったが、それを打ち砕いたのがジダンだったので許す。笑。

もしフランスがGLを1位通過していれば・・と思うと悔やまれるが、これも運命。

ブラジル戦でまたジダンの最高のプレーが見れることを期待して・・・。

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