2011年ラグビーワールドカップ準決勝 ウェールズ-フランス
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おかき
2011年10月20日 01:06 visibility1254
前半18分ウェールズの若干23歳のキャプテン、ウォーバートンにレッドカードが提示され彼は退場に追い込まれた。彼はフランスの選手に対し、一昔前で言えば"見事な"タックルを決めたが、両腿を刈るようにキレイに入りすぎて相手選手を地面に叩きつける形になってしまった。そのプレーに対して主審が一発で退場を命じた。
オーロラビジョンを見ても明らかに泣いている。3-0で勝っている状況、どちらかと言えばウェールズペースで進んでいた試合、それを彼は結果的に壊してしまったのだ。
だが、ニュージーランドのラグビーファンはこの主審の判定に対して、ウェールズへの応援でその自分達の意思を示した。退場にすべきタックルではなかったと。スアジアム中が一斉にウェールズの選手達を鼓舞し続けた。だが、一人有利になったフランスは小憎たらしく、PGを淡々と決めて前半で3-6と逆転して前半を終えた。
後半勇敢な戦いを見せたのはウェールズだった。14人になっても、15人の相手と堂々どころか、相手を押し込む戦いを見せた。勿論人数が少ない分、難しいサインプレーはなく単調なリズムでボールを展開していく事になり、アイルランド戦で見せた様なワイドに攻撃する術はなかったが、後半エリアはウェールズが支配していた。
後半開始早々にフランスはPGを決めて3-9と6点リードとなってから、余裕を見せてしまったのだろう。ウェールズに押し込まれ続けた。ウェールズファンどころか、この試合一番スタジアムが沸いたのは後半17分。何度もラックからサイドに展開しては、フランスの老獪な守備に粘られて時間を使わされていたウェールズが、SHフリップスがパスを出すと見せかけて自分でフランスの守備の裏をかいてラインを突破し、インゴールに飛び込み8-9とする。
興奮は最高潮に達したが、そのトライ直後のキックはポストに嫌われ8-9のまま逆転できず。その後もハーフコートの練習ではないのだろうかと思う程、14人のウェールズがほぼ一方的に攻め続けていた。
それでもフランスは試合巧者で、トライを許した反省からか時間を使うように一発で止めに行くというよりも、ボールのキャリアーに粘って絡み付いてラックにさせてテンポを作る事を阻止し続けた。またラックに無駄に人をかけず次の攻撃を待つディフェンスが印象に残る。
ウェールズはマイボールのラインアウトを失う事が疲労からか増えてしまい、リズムをウェールズに完全にもって来られなかった。フランスはロングボールで陣地を挽回し時間を消費させて、ウェールズをインゴールから遠ざけようとする作戦を徹底。美しい展開ラグビーは封じ込めた。それでも、スタジアム中からの期待を込めたウェールズの突進は見る者を熱くさせる。何度も前に進もうとする。一人少ないことを全く感じさせない展開だった。「Come on Wales!」そういう声援が何度も聞こえる。
その中で、後半38分ウェールズはPGのチャンスを得る。ハーフラインからややフランス陣内に入ったところでフランスがオフサイドの反則を犯した。距離はあったがほぼ正面のPGをまたもウェールズは外してしまう。その後27次に渡る攻撃も実る事はなく、最後はウェールズのノックオンでボールを失い、フランスが外にボールを蹴り出してノーサイドを迎えた。
「運も実力のうち」といわれるが、確かにこの日のウェールズはキックが最初に決めたPG1本しか決める事が出来なかった。試合30分前にいきなり降り出した強いスコールで地面がぬかるみ、滑って決められなかったPGもある。トライ後のキックもポストに嫌われた。ウォーバートンの退場の直前にもPRのジョーンズを右足の負傷で交代を強いられており、FWの主力2枚をいきなり失ったウェールズがフランスのFWに劣勢を強いられてしまうのも不運ではあった。それでもウェールズは粘りに粘って1トライを返し、さらにあわやという場面まで作った。ウォーバートンの23歳を筆頭に若い年齢の選手が多い事を考えるとウェールズの4年後が楽しみになった。
フランスは立ち上がりから最後までボールを失わない守りの姿勢ばかりだった。試合終了後の観客の拍手は勝者のフランスへではなく、一人少ないながら60分戦い続けたウェールズへのものばかりだった。負けたら終わりのトーナメントなのは仕方ないが、そのバランスがやや堅く切ってしまった感は否めない。これで決勝がNZでもオーストラリアでも厳しい試合になるんじゃないかなぁと感じてしまう位だった。
なにはともあれ決勝トーナメントの準決勝"北半球ブロック"はフランスが勝利し決勝に駒を進める事になった。
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