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2007年J1第9節 ヴァンフォーレ甲府-横浜FC 「Unbelievable」
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おかき
2007年05月04日 03:26 visibility152
昔「J1昇格なんて絶対無理」といわれたクラブがあった。
負債が累積で4億を突破し、支援している県や自治体に最後通牒を
突きつけられたクラブがあった。そのクラブこそ、1965年に
結成された甲府クラブを前身とするヴァンフォーレ甲府だ。
1999年には今でも破られた事のない619人という史上最低観客動員
記録を誇り、2000年にはJリーグ記録となっている19連敗を
喫し、「J1昇格」という看板は名目だけになっていた。
当時甲府の存続運動の中で、甲府関係者に存続歓迎の挨拶を
した私も、J1昇格がそれからたった数年の内に達成するとは
思っていなかった。誰が甲府のJ1昇格を信じられただろうか。
2002年に大木武氏を監督に招聘し成績がそれから右肩上がりに
なっていった甲府とは対照的に、横浜FCの成績は2002年から
11位、12位、8位、11位と二桁順位近辺を彷徨っていた。
この成績だった横浜FCが突然変異的に強くなり、2006年シーズンは
優勝で昇格を決めた訳だが、その劇的な昇格劇を想像していた
者は皆無に近いだろう。
そのどちらも「J1昇格は無理」といわれ続けてきた両チームが
J1で対戦する日がやってきたのだ。
横浜は甲府のキーパーソン・茂原に対して必ず複数の人数で
マークして、甲府に攻撃のリズムを与えない。藤田・林が
捌くパスから甲府はチャンスを作るも、早川が戻ってきた
横浜守備陣は懸命に守る。確かに高木監督が言うように
ここ数戦でリズムが出てきた守備陣とは対照的に脆弱なのは
攻撃陣だ。左の滝澤が上げるクロスに合わせてもゴールの枠に
すら飛ばない。久保の1トップも全く機能せず、
逆に甲府の攻撃の起点になっていた。
前半は横浜が守りきり、甲府が攻める展開で終える。
後半もその図式は殆ど代わる事はなかったが、変わったのは
横浜FCの選手の運動量。それが激減した訳ではなかったが、徐々に
運動量が落ち始め甲府の選手に振り切られるシーンが目立つ様になる。
そして、後半18分。左サイドでファウルを犯し甲府にFKを与える。
藤田が蹴ったボールの放物線上には増嶋がいた。増嶋がヘディングで
叩き付けたボールは大きくバウンドしゴールネットの上部を
揺らす豪快なゴールとなった。
このFKの直前、横浜FCは三浦に代えて難波を投入していた。
戦術的な部分で言えば失点前でも失点直後でも交代の
タイミング自体は同じだったが、交代した後だけにショックは
計り知れなかった。
特に、甲府戦まで8試合で4得点しかできていないチームには、
たった1点の失点が大きくのしかかる事になってしまった。
横浜はここ数戦の恒例となった三浦と山口を交代させ、
試合終盤にはDF小村をFWの位置で起用し、ポストプレーの期待も
高まったが、不発のままゲームは終了。運動量も限界になり、
ロングボール一辺倒の展開では得点の匂いすらしなかった。
何よりも信じがたい点は、高木監督が久保の1トップに固執している事。
昨年は非常に柔軟な起用で昇格の立役者となった高木監督は、
今シーズンは久保が出場する試合は全て彼の1トップを採用するが、
これが全くと言っていいほど機能しない。
久保が欠場した名古屋戦は敗れはしたものの、難波とシウバの
コンビネーションは守備面に大きく貢献しただけでなく、
攻撃面でも裏への飛び出しは効果的だった。
勝利したナビスコカップのアウェー磐田戦でもシウバと
アドリアーノの2トップに近いコンビは前線から脅威だった。
甲府戦はシウバ、アドリアーノ共に欠場していたが、
久保と難波のコンビでもよかったと思っている。
また気になるのが、開幕戦の浦和との試合で久保がゴールを
決めた影響がプレー面にも表れていて、久保はボールを持つと
味方が居てもミドルレンジからシュートばかりを狙っている。
浦和戦の様なゴールは本当に凄いゴールだったが、
それに気を良くしたとしても、そればかりを狙ったら入るゴールも
入らなくなる。
今年何に拘っているのか高木監督しかわからない事であるが、
采配や起用に柔軟性がない。
それにしてもこの試合はスタメンが発表された後に、内田が
腹痛を訴えて急遽三浦がスタメンに入るという信じがたい光景を
目の当たりにした。内田が怪我している間、チームはリーグ戦で
負け続け、復帰したら清水に引き分けた。まるでチームの状態を
思わせる内田のコンディションだが、そう考えるとこの試合は
既に試合前に負けていたのかも知れない。
「信じられない事」ではあるのだが。
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