都リーグ開幕戦 〜最高のシナリオ〜 後編
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ドゥイ
2006年04月11日 02:45 visibility145
考えうる最悪のシナリオ。「今までの人生の中で最悪の日だ」。力なくつぶやく瀬川さんにかける言葉がなかった。
「せっかくなので、練習試合という形でもやりませんか」。相手チームの監督からの誘いに、「ちょっと相談させてください」というのが精一杯だった。
ピッチの外、倒れこむ選手たちを見ながら、立ち尽くす。正直、こんな状態で練習試合は無理だと思った。断ろう。その時、“ミト”が立ち上がり、口を開いた。「練習試合やりましょうよ。こんなんで試合できないなんて弱い気持ちでいたら、今後勝てるわけないやろ!やりましょう」。グッと熱いものが込み上げた。「よし、もう一度気持ちを上げていこう!勝とうぜ!」。声を掛け、みんなの顔を見渡す。そこに、敗者はいなかった。
声を張り上げ、味方に指示を出す。懸命にボールを追う。球際で体を張る。「ただの練習試合じゃない」。ミスをした仲間のため、自分のため、そして、次につなげるため。ひとつひとつのプレーに想いを感じた。3−0の完勝。今まで見た中で、間違いなく最高の試合だった。
このチームに入って2年。なあなあな雰囲気が嫌で、キャプテンとして厳しいことも言ってきた。「趣味で楽しくやりたい」。そう言って、チームを離れる人間もいた。それでも、純粋に、真剣にサッカーを楽しみたいという想いは変わらなかったし、変えたくなかった。その中で、このチームにとって、自分は必要ないんじゃないかと思ったこともあった。けれど、今日、みんなのプレーする姿を見て、勇気をもらった。今までやってきたことは間違いじゃなかったんだって。
最高のキャストは揃った。あとは、自分たちの力で、最高のシナリオに書き換えるだけ。7月のフィナーレに、思い描く結末は1つ。今日が、FC.Ventoの新しい幕開けだ。
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