個サルでござる。 〜エース対決、決着〜 後編

  • ドゥイ
    2006年07月21日 15:20 visibility194

まずは、“ヤス”との差を少しでもつめなければ、と思いつつも、チームメイトは初心者っぽい方ばかり。

 

 「ここは、アシストで稼ごう」。ガラじゃないけどパッサーきどり。パスコースはよりどりみどり、というわけにはいかず。ドリブルしながら味方のフォローを待つも、待ち人来たらず。何とか抜け出して、絶妙なスルーパス。が、味方、見てない。 再度サイドを抜け出し、グラウンダーの“当てるだけ”クロス。が、味方、渾身の空振り。「今日は味方との戦いだな・・・」。何とか1アシストを記録し、終了。“ヤス”得点:1、アシスト1、“キャプテン”得点:0、アシスト1。

  

そしてまたまた、“ヤス”との直接対決。逆転のチャンス到来。相手チームの攻撃は、必ず“ヤス”を経由して行われる。「“ヤス”を抑えれば勝てる」。分析終了。密着マーク開始。 しつようなチェックでドリブルさせない。ワンツーにも体を寄せ付いていく。試合も中盤を過ぎ、“ヤス”の得点、アシスト0。「ふっ、ちょろいもんだぜ。ってあれ?俺も点、取ってねー!」。 

 

逆襲開始。ゴール左斜め45度にくさびに入り、背を向けながらボールキープ。と、背後にただならぬ気配。“ヤス”だ。お返しとばかりのセクハラマーク。「味方にはマークがついていて、ボールを出せない。ここは勝負しかない」。“キャプテン”ポールをキープしながら、シュートのタイミングを計る。右足裏でボールを転がし、中に切れ込むぞ!フェイク。一瞬つられる“ヤス”。「見えたぜ!ニアサイド」。右足インサイドで切り返しながら、体をねじ込みシュート。ボールは“ヤス”の出してきた足をあざ笑うかのように、股の間をすり抜け、キーパーのニアを突き破る。待望のゴール。それも“ヤス”からということで喜び倍増。苦笑の“ヤス”を尻目に“キャプテン”ご満悦。そして試合終了。 

 

その後、“ヤス”の芸術的なループシュート、“キャプテン”の絶妙なヒールシュート(“ヤス”を背負いながらのシュートだったことはあまり触れないでおいてあげよう)など、お互い気を吐くが、味方のサポートを得られないまま、個サル終了。そして運命の結果発表。

 

 「“ヤス”は結局どのくらいいった?」。「3得点、11アシストですかね。“キャプテン”は?」。「え?俺は3得点、2アシスト」。「え?何アシストですか?」。「2アシスト」。「アシストが勝負を分けましたね」と“ヤス”満面の笑み。思えば、途中から、味方があまりにもシュートを外すので、“キャプテン”が“日向小次郎”化したのに対し、“ヤス”は根気良くパスを出し続け、“大空翼”のように周りを使っていた。 味方を信頼しなきゃ、サッカーはできない。そんな当たり前のことを再確認した、“キャプテン”28歳。

 

帰り際、“ヤス”に、「今回の勝負、SNSの日記に書いてくださいよ」と言われ、「まあ、得点は同じだし、な。引き分けかな?」。

 

どこまでも負けず嫌い。そんな子どもじみた自分がいとおしく思える“キャプテン”28歳。

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