都リーグ開幕戦 〜最高のシナリオ〜 前編
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ドゥイ
2006年04月11日 01:50 visibility128
4月9日。都リーグ開幕戦。迎える相手は、昨季4位。緒戦から厳しい試合が予想された。
怪我のため、試合に出られない“キャプテン”は監督に専念。チームのためにできることを考える。�アップ中、個別に今日のポイントを伝える。�試合直前のミーティングでチームを鼓舞。�試合中はスーツ着用で采配。気合を見せつけ、相手チームを威圧。
悩んだ挙句、�は却下。通訳もつけようかと思ったけど、却下。「くっ、ガッツが足りない!」。
この日、集まったのは13名。ベストの布陣(キャプテン以外)。入念にアップし、徐々にテンションを上げていく。そしてミーティング。
「声で負けるな。悔いのないよう、一つ一つのプレーに気持ちを込めろ」。“キャプテン”気合を注入。試合10分前。戦いの準備はできた。時を待つ。
と、本部から、監督の瀬川さんが呼ばれる。深刻な顔で話を聞く瀬川さんのただならぬ雰囲気に、集まるチームメイト。どうやら、小島、池内、田中、石井の4人の登録手続きが完了しておらず、試合に出られないらしい。手続きを担当した瀬川さんが懸命に説明し、確認を行う。不安を隠せない選手たち。「瀬川さんに任せて、ほかの奴はアップしてろ」。 “キャプテン”も交渉に加わる。しかし、本部の判断は変わらなかった。「本当に悪い。申し訳ない」。出られなくなった選手に頭を下げる瀬川さん。茫然自失の選手。その場に座り込むもの。着替えを始めるもの。重い沈黙が、チームを包んだ。
残るメンバーは“キャプテン”を入れて9人。「やるしかない。絶対に勝とう」。キャプテンマークを巻き、気合を入れる。そこに追い討ちをかけるような本部からの通達。「試合時間になりましたので、早くキーパーの準備をしてください」。そう、守護神“こじ”が出られないため、かわりのキーパーを立てる必要があったのだ。といっても、キーパーユニは1着のみ。貼り番をしなくてはならない。すぐに針と布を用意し、縫いつけはじめる。時計を見つめる主審。時間との戦い。「できた」。本部に確認してもらう。「糸の間隔は1cmと規定で決まっていますので、認められません」。「あと3分だけください。お願いします。お願いします」。何度も、何度も頭を下げる瀬川さん。「お願いします」。“キャプテン”も頭を下げる。「開始時間はもう過ぎていますので、没収試合とさせていただきます」。
「ピーーーーーーー」。試合終了を告げるホイッスルの乾いた音が、いつまでも響き渡った。
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