断固たる決意 〜サッカー馬鹿とフットサル馬鹿〜
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ドゥイ
2006年08月18日 20:49 visibility376
先日、何気なくフットサル関連のサイトを眺めていて、驚いたニュースがあった。フットサル日本代表候補にもなっている大学時代の後輩が、前十字靭帯を損傷したとのこと。 サッカー・フットサル選手にとって、あまりに致命的な大怪我。言葉を失った。
「フットサルにかけてみたいんです」。大学3年次、副将を務めていた“キャプテン”に、退部の相談に来た彼の、真剣なまなざしを思い出した。大学の部活と平行して、フットサルをやっていたことは聞いていた。全国大会で上位争いをするような強豪だということも。だが、当時フットサルは、日本において今のようにメジャースポーツではなく、“キャプテン”自身やったことも見たこともなかった。正直、サッカーよりフットサルをやりたいという彼の心変わりが、レギュラーになれないから、というネガティブな意識からきたものだと思った。
「もうちょっと頑張ってみろよ。今辞めたらもったいないだろ」。確かなキックの技術、判断力を持ちながらも、フィジカルが低く、時に淡白なプレーが目立った彼。けれど、一試合走り切れる走力や泥臭さを身につければ、チームの中心ではなくとも、“必要な”プレーヤーになれると考えていた。才能もない“キャプテン”からすれば、“もったいない”。それが偽らざる気持ちだった。
だが、いくら続けるよう説得しても、彼の意志は変わらなかった。「すごい先輩たちや仲間ばかりで、フットサルに真剣に取り組んでいるチームなんです」。「今、本当にフットサルが楽しいんです。上を目指したいんです」。普段はおちゃらけたキャラクターで、チームのムードメーカー役だった彼の、フットサルにかける熱い想い。本気。がつんと伝わってきた。「わかった。その代わり、がんばれよ」。「はい!」。そして、彼はチームから離れていった。
それからほどなくして、フットサルの全国大会で優勝し、その後もフットサル界の王者ととして君臨し続けたチームの中心に、彼の姿があった。小学校の教員となりながらも、競技フットサルの第一線で活躍している彼の存在に、いつも刺激を受けていた。その彼におきた大怪我。ショックだった。まして本人が受けたショックは、はかりしれない。スポーツ選手、とりわけサッカー・フットサル選手の寿命はあまりにも短く、だからこそ、その一瞬のために全てを注いでいるのだから。
だが、あるホームページで公開されていた彼の表情は、ギブスでガチガチに固定された痛々しい膝とは裏腹に、輝きに満ちていた。復帰への断固たる決意。辛いリハビリを連日こなしている彼のまなざしが語りかける。
「まだ、終わっていない」。そう、これからだ。
「やれるだけのことをやってみよう」
彼の姿に、いつしか自分をかさねあわせていた。
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