“キャプテン”的脱臼生活　その３　〜交渉〜　後編

「あの時もこんな感じだったっけ」。昨年６月末に起きた“あの事件”を思い出し、“キャプテン”の胸が痛んだ――。「あの人は、元気にしてるかな」

昨年６月のこと。“キャプテン”は地元の某家電店にいたんだ。
間近に控えた新居への引越し。新しい電化製品も欲しくなります。
お目当ては特価３２万８千円で売っていた大画面薄型液晶テレビ。
新居のインテリアの目玉として、どうしても欲しくなった“キャプテン”。
「サッカー観るなら大画面でしょ！Ｗ杯も楽しみでしょ！」。
ああ、ミーハーですとも！重低音ならウーハーですとも！

目標価格低め、モチベーション高めの２５万円に設定し、交渉スタート。

まず物腰の柔らかそうな店員さんに声を掛ける。
“キャプテン”「○○○カメラでは３０万円位だったんですけど。確かネットにも載っていたと思います」。まずは他店との比較。
店員「少々、お待ちください」。レジ裏にあるパソコンとにらめっこ。ほどなく、
「そうですねー、では３０万円ジャストでご提供いたしましょう！」
第一段階クリア。そして、ここから“キャプテン”の怒涛の攻勢が始まった。

“キャプテン”「う〜ん。まだ、ちょっと高いですかねー。でも、どうしてもこれがいいんですよねー」
店員「当店の一番人気ですから。斜めから観ても、映像がきれいなんですよ。わかりました。店長に相談してきますので、少々お待ちください」

商品のパンフを広げながら待つこと３分。
店員さんカムバック。
表情が明るい。
「店長のＯＫが出ました。２７万８千円でご提供します！」
“キャプテン”「ありがとうございます！」

よし、目標価格までもう一息だな。さて、ここからどう展開していこうか。思案にくれる“キャプテン”の目に飛び込んだ来たのは、ディスプレイの液晶テレビに付属している専用テレビ台。薄くて幅をとらないし、なによりビジュアルがスタイリッシュでよい。
「ほれたぜ。俺にはもう、コイツしかいない」。

「すいません、これっていくらですか？」。
「５万５千円になります」。

ハイ、決まり。

“キャプテン”「この専用テレビ台もセットで買うので、もう少し安くなりませんかねー」。セット買いで再提案。
店員「んーー・・・ご希望はおいくらですか？」ちょっと嫌そうな顔。
“キャプテン”「実は予算が３０万円しかないんですよ。でも引越しの関係で今日中にどうしても買いたくて。合わせて３０万円で何とかならないでしょうか」。具体的な値段提示＆購入意志アピール。

店員「３０万円というのはちょっと・・・。テレビはもともと特価ですし、テレビ台は値引きできないんですよ。３２万円ぐらいでしたら何とかなるかもしれません。また店長と相談してみないといけませんが」。

普通の人なら、「最初の価格を考えると専用テレビ台の料金も浮いた計算だし、この辺で手を打つか」と思うところ・・・ですが・・・。
あま〜ぁい。Ｗ杯オーストラリア戦は２−０で日本の勝ち！と思ってる人くらいあまいよ。“キャプテン”予想は１−１。前半１０分。小野の中盤からのパスに抜け出した柳沢がゴール。
・・・適当な予想はおいといて、話に戻ります。

月末。夏のボーナス時期。
他店との価格競争も激しく、売り上げノルマを達成するため、利益率を下げてでも在庫をはきだすはず。
「ここだ、これでキメる」。“キャプテン”交渉再開。そうしよう、こうしよう。

“キャプテン”「そうですねー。結構時間も割いてもらったので、そろそろ買うかどうか決めたいんですけど、やっぱり３０万円までしか出せないんです。でも、さすがにそれは無理ですよね。駄目だったらほかのところを見に行きますので、一応店長さんに聞いていただけますか？」。
オフサイドラインぎりぎりの駆け引き。プルアウェイ。
店員あわてふためきランナウェイ。
「ちょっと待っていただけますか。店長に相談してきます」。事務所へピットイン。
待つこと５分。さすがに無理だったかな、と思ったそのとき。
さきほどの店員さんピットアウトwith店長。

店長「お話は伺いました。正直厳しいのですが、お客様は新居をご購入とのこと。ほかにも家電をご入用の際は、また当店で購入いただければということでサービスしておきます。今回は３０万円で結構です」。
こうして、“キャプテン”の夏の大冒険は終わった。

○○電機で購入した大型液晶テレビ３００，０００円。
１時間の交渉で値引きしてもらった金額７８，０００円。
店を出るとき見送ってくれた店員さんの「こわばった笑顔」。プライスレス。

Ｐ．Ｓ　店員さんへ
あれ以来、お店に行っても、“キャプテン”のニアサイドへ寄ってこないのは、気のせいですよね？

【今日の一言】
“キャプテン”が　行くと店員　ふっとさる