サッカー協会vs選手会~外国では当たり前だった対立~

  • taki
    2010年12月22日 23:43 visibility53

最近の報道を見ると、どうやら日本サッカー協会と選手会の間で、代表召集時の待遇について色々と争っているようですね。

この議論には、どっちが正しいという定義はないと思います。
お互いの正当性を元に戦うことになるので、結論をだすことは難しいと思いますが、今後どうなるのか、注目していきたいと思います。

選手としては、選手生命がかかっているわけですから、それなりの保障や報酬を求めるのは当然でしょう。選手らは契約社会ですから、将来への不安を 考えると、動けるうちにできるだけ多くの金額を求めるのは当然だと思います。

その一方で、協会はできる限りの資金を貯蓄しておきたいものでしょう。将来も現状と同じ収入を見込めるとは限らないわけですし(むしろ最近のJFA の収入は落ちています)、JFAというサッカーのトップが経済的にしっかりしていないと、日本サッカー界全体としても、かなり痛手となるでしょ う。

選手は選手自身や彼らの家族らの将来のために、協会はサッカーの将来のために高額な資金をかけて戦っているという状態です。

こういった状態の中では、お互い納得の行く形になるのがベストですが、おそらくどこかで意見の食い違いがあり、衝突することもあると思いますが、 これに関しては、お互いに争った上で、最終的な結論が出るでしょう。

そもそも、こういった争いごとが起こったことは、日本スポーツ界にとっては、ある意味進歩?というか国際基準に変わってきたのかな?という印象を自分は 受けます。

選手と経営者(今回の場合は協会ですが・・・)の争いというのは、外国では何度も起こっていますが、日本ではあまりないというのが、日本スポーツ界の今までだったと思います。

その背景には、契約などでごねるのはスポーツマンらしくない。とか、男はだまって仕事に集中すべき!といった文化が関係していたのかもしれませ ん。

日本の国技として相撲がありますが、力士が給料でもめたり、待遇をめぐって協会と対立したりするということや、意見が合わずに独立して新相撲リーグを立ち上げたりすることは、長い相撲の歴史の中では、今までほとんどなかったのではないでしょうか?
おそらく、「横綱の品格」という言葉もあるように、選手(力士)が給料や待遇をめぐって文句を言うことはご法度であるという文化が今でも続いてい るからだと思います。

プロ野球でも、90年代から年俸が上がっていき、FAなどもできたことで契約でもめることも多くなってきましたが、昔は明らかに選手よりも球団のほうが上の立場として契約を行っていました。王や長島の年俸を超えるわけにはいかない、みたいな不思議な感覚をもとに、年俸が決められていた時代 もあったようです。メジャーリーグでは当たり前に行われている年俸調停も日本にはありますが、あまり積極的に使われていません。

こういった背景を見ると、日本では、明らかに選手は不利な立場で契約などを行ってきました。

ところが、外国では、全く違った状況がみられます。

アメリカでは、選手と経営者の戦いは日常茶飯事みたいなもので、例えばメジャーリーグの選手会も、ストライキなどを行使して経営者と戦い、その結果、FA権利を獲得したりしています。
NFL、NBAなどの選手会もストライキを武器に、経営者らと待遇や報酬をめぐって、当たり前のように経営者と戦っています。
ヨーロッパのサッカーリーグでも、契約が切れたらどこでも移籍金なしで移籍できるというルールは、いわゆる「ボスマン判決」という、選手が経営者に対して裁判を起こした結果、獲得したものでした。

海外のスポーツ選手らは、経営者らとストライキや訴訟などを起こして、自分達が有利になるように戦ってきました。
そう考えると、今回の選手会と協会の戦いは、海外から見たら当然の出来事であり、むしろ今までこういった戦いがあまりなかった日本の方が、(スポーツマンシップ的に見ると素晴らしいことだったのかもしれませんが、)異質だったのかもしれません。

今回の出来事に関して、色々な意見があると思いますが、プロスポーツの世界で当然のように行われている「選手vs経営者」という戦いが、日本サッカー界で始めて起こったという出来事は、日本サッカー界の新たな一ページとして注目していいのではないかと自分は考えています。

果たして、この争いの結果がどうなるかはわかりませんが、この戦いが、日本ではどのような道へ進むのか、今後の日本スポーツ界の未来を見据えたうえで、見守っていきたいと思います!

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