2017:U-20W杯:グループステージ:3節:中立:vsイタリア「暗黙の了解」
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杉野雅昭
2017年05月28日 00:53 visibility190
イタリア
監督
エバーニ:2.5
スタメン
9アンドレア・ファビッリ:2.5
17ジュゼッペ・パニコ:2.0、7リッカルド・オルソリーニ:2.0、8ロランド・マンドラゴラ:2.5、16フランチェスコ・カッサータ:2.5
11マッテオ・ペッシーナ:2.5
14ジュゼッペ・ペッツェーラ:3.0、6マウロ・コッポラーロ:3.0、5フィリッポ・ロマーニャ:3.0、13レオナルド・セルニコラ:3.0
12アンドレア・ザッカーノ:2.5
リザーブ
GK:1アレッサンドロ・プリッツァーリ、21サムエル・ペリサン
DF:2ジュゼッペ・スカレーラ、15マッティア・ビターレ、19リカルド・マルキッツァ
MF:18パオロ・ジグリオーネ、20アルフレド・ビフルコ
FW:10ルカ・ビード
途中交代
17ジュゼッペ・パニコ→18パオロ・ジグリオーネ:3.0
7リッカルド・オルソリーニ→20アルフレド・ビフルコ:3.0
2、得点経過
イタリア:0-1:7リッカルド・オルソリーニ(9アンドレア・ファビッリ)
11マッテオ・ペッシーナからラインの裏へのスルーパスが1本通る。そのパスを受ける9アンドレア・ファビッリが、ダイレクトで、ライナー性のクロスを入れる。これにファーサイドに飛び込んできた7リッカルド・オルソリーニが合わせて、ゴールを決めます。まさに電光石火の速攻による失点でした。
このグループリーグ3試合は、様々なタイプチームと戦い先に戸惑い失点し、先制を許す展開でした。アジアの戦いでは、くじ運に恵まれた事もあり、無失点で勝ち抜きましたが、世界の舞台となると経験した事がない強いチームと当たる事になります。初戦は、フィジカルに戸惑い。2戦目は、技術に戸惑い。3戦目は、速攻や高さに戸惑った。こういった経験を経て決勝トーナメントに進出できた事は大きいと思いますし、是非とも活かして勝ち抜いて欲しいです。
イタリア:0-2:17ジュゼッペ・パニコ(16フランチェスコ・カッサータ)
直接も狙えるバイタルエリア手前ぐらいの所からのFK。しっかりFKをセットしていたが、16フランチェスコ・カッサータが、意表をついて軽く触って浮かしたスルーパスの様なボールをスペースへ入れます。そして、これに巧く反応した17ジュゼッペ・パニコにダイレクトで、豪快に振り抜き左隅に決められるという失点でした。
こちらも意表を突かれた悔しい失点ではあります。高さある相手にこれをやられると難しい対応になります。チームとしてこういったプレーをしてくるという警戒を決勝トーナメントで、持つことができる様になったので、いい教訓として活かして欲しいです。
日本:1-2:7堂安 律(11遠藤 渓太)
ビルトアップから持ち上がった3中山 雄太からのパスをサイドでフリーで受けた11遠藤 渓太が、少しだけ戻りながら右足でクロスを入れます。これがGKとDFの間へ絶妙なボールで、7堂安 律がそこへ飛び込んで、そのまま入ったのかと錯覚する様なちょっとのタッチでのシュートが、GK12アンドレア・ザッカーノの股を抜けてゴールとなりました。
身長が低くてもいいタイミングで、良いボールが入れば得点に繋がるという好例であると思います。出し手である11遠藤 渓太としては、チームとしてGKとDFの間を狙うという狙い通りのクロスであり、7堂安 律も信じてそこへ飛び込むという素晴らしいゴールであり、決勝トーナメント進出に向けての強い気持ちを感じた素晴らしいゴールであったと思います。
日本:2-2:7堂安 律(17市丸 瑞希)
17市丸 瑞希が狙っている縦への楔形パスを受けた5堂安 律が、狭い所を4人のDFをドリブルで抜いていき、最後は触って流し込むイメージのシュートを放つ。DFにも少し当たった様に見えるが、時間が止まった様に転がってゴールに吸い込まれたというゴールでした。
17市丸 瑞希の縦への意識というのは、アジア予選から強く、ミスパスも多い試合がある中で、この試合でのイタリアは受ける守備をしていた事もあり、何度もパスを通せてました。そういったパスが活きたゴールであったと思います。
また、なんと言っても7堂安 律のドリブルは、素晴らしく狭い所を細かいタッチで、突破し、シュートコースやドリブルも普通であれば選択しないようなところでも果敢に仕掛けていく。こういった良い意味で自信を持った仕掛けというのは、素晴らしかったです。決勝トーナメントでもこういったスーパーゴールに期待したいです。
3、戦評
数値評
評価基準
良:A~E:悪
日本
攻撃評価:C
守備評価:C
采配評価:C
総合評価:C
イタリア
攻撃評価:C
守備評価:C
采配評価:C
総合評価:C
文章評
ギリギリではありましたが、3位でのグループステージ突破という事で、とりあえず安心しました。また、最後の部分での時間稼ぎに関しては、最初は、白黒つけて欲しいとも感じる部分もありましたが、体力を温存できたという意味では、価値があったとみています。3位であれば、日程がきつくなる事と対戦相手が強くなるという事で、条件が悪くなりますが、正直グループステージのレベルが高かったので、逆に伸び伸びした戦いができるのではないかと期待しています。また、最終戦でのパス回しによる時間稼ぎにより負担が少なかった事で、疲労が小さい状態で、決勝トーナメント初戦に臨める事は大きいと思います。
この試合は、何と言っても7堂安 律にフォーカスを当てざる得ないでしょう。狭い所を細かいタッチスピードを落とさず抜いて行ったドリブルは、技術の高さを感じました。このプレーの背景を考える上で、アジア予選からの変化、つまり成長した部分を考えてみたいです。この得点シーンでのスーパープレーは、何故生まれたのかを考えるにも繋がると思います。
アジア予選の時は、ボールを持てばすぐ1にドリブル、2にドリブル、3にドリブルといった感じで、ドリブルの意識が非常に強かった。しかし、ここまでのU-20ワールドカップのプレーを見るとパスを選択する場面が増えて、周りを活かすパスや、パスを受けて周りに活かされる事を考えて、プレーできる様になっていました。また、某雑誌に書かれていましたが、走り方も改善し、スピードも速くなったそうです。
こういった事もあり、7堂安 律自身が、自信のあるドリブルが、非常に生きる状況を作れるようになりました。ドリブルばかりでは警戒されますし、チームも停滞します。チームの1人としてしっかりやるべき事がしっかり出来る様になった。そういった意味では、これから決勝トーナメントが始まりますが、チームの核となる1人の選手であると思います。
また、7堂安 律に加えて、主軸を担うG大阪勢である6初瀬 亮や17市丸 瑞希の存在も大きかったと言えるでしょう。同じ所属クラブの3選手であり、連携が素晴らしく、寄せを受けたり、スペースが無くても連携で、崩すことが出来ていました。この組み合わせは、今後戦って行く中で、大きな武器となると思いますので、重要所で、この組み合わせを選択して欲しいと思います。
17市丸 瑞希の縦へのパス意識の高さは、局面を打開する力強さと攻撃の速さを生み出す事ができ、6初瀬 亮の運動量と技術といった部分は、サイド攻撃や7堂安 律との連動性の高さを生み出す事ができたと言え、今後に期待できる内容であったと思います。
そして、13岩崎 悠人と14田川 亨介は、ほぼいい所がなく、見せ場を作れなかったのは、課題と言えるでしょう。ただ、イタリアの守り方が、スペースを消す守り方であったので、持ち味を出し辛い試合であった事も考慮すべき点であったと思います。チームとしては、そのスピードと運動量といった部分を活かしていく事が出来れば、彼らも輝くシーンは出てくると思います。
20久保 建英を起用するタイミングを計りながら、チームとして、短い準備期間ではあるが、引き続き攻撃の形の模索に取り組む事になりそうです。この試合でのスタメンの2人の攻撃での貢献度は、そこまでは高くないですが、守備面ではしっかりプレスをかける場面ではしっかりかける事ができていたので、そういったプレーが評価されるためにも結果に繋がると嬉しいですが、どうなるか。
死のグループと言われたグループではありましたが、しっかり自分達の持ち味を出し、突破する事ができた事は、自信を持っていいと思います。勝ち残るか分かりませんが、ウルグアイにはリベンジして欲しいと強く思います。イタリアと対戦する機会があれば、白黒つけたいですし、そういった夢を持てる決勝トーナメントになって欲しいです。
試合評
MOM:7堂安 律(日本)
MIP:パス回し(日本&イタリア)
満足度:2点(10点満点)
日本から世界へ
To Be Continued
by 杉野 雅昭(masaaki sugino)
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