巨人の左打者の成績とボウカーの立ち位置．

巨人の左打者を代表する阿部・高橋由の成績は以下のとおり．以下でOPS＝出塁率+長打率．

阿部（33才），556打席，打率.340，本塁打27，打点104，出塁率.429，長打率.565，OPS.994
高橋由（37），442打席，打率.239，本塁打8，打点56，出塁率.356，長打率.351，OPS.707

この二人以外の巨人の左打者の成績を1軍の打席数順に並べてみる．

藤村（23）　　238打席，打率.252，本塁打0，打点10，出塁率.296，長打率.298，OPS.594
松本哲（28）　229打席，打率.258，本塁打0，打点11，出塁率.313，長打率.313，OPS.626
ボウカー（29）204打席，打率.196，本塁打3，打点10，出塁率.267，長打率.310，OPS.577
古城（36）　　149打席，打率.209，本塁打0，打点8， 出塁率.273，長打率.256，OPS.529
亀井（30）　　117打席，打率.236，本塁打2，打点11，出塁率.270，長打率.409，OPS.679
小笠原（39）　 99打席，打率.152，本塁打0，打点4， 出塁率.194，長打率.185，OPS.379
石井（34）　　 64打席，打率.315，本塁打0，打点14，出塁率.381，長打率.352，OPS.733
隠善（28）　　 25打席，打率.095，本塁打0，打点1　 出塁率.240，長打率.095，OPS.335

打者として標準とされるOPS.700を越えるのは石井（.733）のみで，それに近い数字も亀井（.679）のみという惨憺たる成績である．

ちなみに，巨人右打者のホープ：大田と中井の成績は以下のとおり．

大田（22）　　 70打席，打率.254，本塁打2，打点7，出塁率.329，長打率.444，OPS.773
中井（23）　　 31打席，打率.269，本塁打0，打点1，出塁率.387，長打率.346，OPS.733

右打者には，村田（32才,OPS.690），長野（28才，OPS.814），坂本（24才，OPS.815）と若くて元気な中心選手がいる上に次の若手有望選手もいる．一方，左打者は，右打者より中心打者が高齢化しているにもかかわらず後継者がいないことがわかる．ドラフトで「左の強打者を取るべき」と私が主張する理由でもある．

次に2軍（イースタン）で100打席以上打っている左打者の成績を見てみよう．

隠善（28）　　321打席，打率.327，本塁打6，打点35，出塁率.362，長打率.444，OPS.806
河野 （21）   158打席，打率.176，本塁打0，打点11，出塁率.233，長打率.213，OPS.446
田中大（24）　260打席，打率.245，本塁打3，打点19，出塁率.311，長打率.332，OPS.643
橋本（22）　　402打席，打率.307，本塁打5，打点31，出塁率.371，長打率.422，OPS.793
ボウカー（29）145打席，打率.295，本塁打5，打点22，出塁率.359，長打率.457，OPS.816
松本哲（28）　197打席，打率.271，本塁打0，打点8， 出塁率.298，長打率.326，OPS.624　

参考のために，イースタンでの大田や中井の成績は以下のとおり．

大田（22）　　344打席，打率.277，本塁打8，打点41，出塁率.314，長打率.455，OPS.769
中井（23）　　387打席，打率.323，本塁打6，打点48，出塁率.365，長打率.443，OPS.808

単純にOPSの大きな順に選手を並べると，

ボウカー（29）OPS.816
隠善（28）　　OPS.806
橋本（22）　　OPS.793
田中大（24）　OPS.643
松本哲（28）　OPS.624　

となって，ボウカー・隠善・橋本の数字が傑出していて，大田の2軍での数字も上回っている．
隠善は，1軍で何度か試されたし，2軍の首位打者も獲得したので来期以降のチャンスがあるだろう．橋本は，イースタンで調子を上げたタイミングが悪かったので1軍登用がなかったが，守備・走塁もよいので，来期以降にチャンスがある．

問題はボウカーである．この2軍と1軍の成績の落差をどのように考えるべきだろう．

ボウカーが30台後半の年齢であるとか，日本に来てから数年を経てのこの成績なら即刻戦力外だが，ボウカーはまだ29才で日本に来て１年目である．来年以降伸びる可能性がある．大体，ボウカーの代わりに外国人を獲得しても，それが，ライアルみたいな外国人という可能性だってある（ちなみに，ライアルのOPSは.477だった）
　ボウカーの今年の年俸は推定で6千万円だが，これが，半分以下になることを前提に，もう1年置いておいて，ファーストとレフトを，大田や他の選手（新人含む）と競わせてもよいのではないかと思うようになってきた．たとえ，このままポストシーズンでボウカーの出場がなかったとしてもである．