プロボクサー 渡辺雄二
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spa
2010年01月11日 07:36 visibility4531
1990年から2000年頃まで、日本のリングを熱くしてくれたプロボクサー、渡辺雄二。
元日本スーパーフェザー級チャンピオン
元東洋太平洋フェザー級チャンピオン
元東洋太平洋ライト級チャンピオン
日本と東洋太平洋で3階級制覇を達成した、日本を代表する名選手の一人です。
渡辺雄二は、高校国体準優勝の実績を引っ提げ大学に進学するも、中退してプロ入りを果たす。そのボクシングスタイルは、とてもアマ上がりとは思えない程の好戦的なスタイルだった。ディフェンス力はまるで無い。どの試合も、どんな相手でも、よく相手のパンチを貰っていた。あまりディフェンスに気を配ってないというか、最初から相手のパンチ避ける気無いでしょって、僕は渡辺の試合を観るといつもそう思っていた。
ただ、渡辺には、そのディフェンス力の弱さを補って余りあるスピードとパワーがあった。並外れたスピードと桁違いのパワーで国内のライバルを粉砕していた頃の渡辺は凄みがありました。その最たる試合が、世界ランクにも名を連ねていた赤城武幸に挑戦した日本タイトルマッチではなかったか。
当時、日本を代表するベテランテクニシャンの赤城は、この渡辺戦に勝てばフランスでの世界タイトルマッチに出場する事が内定していたらしい。若きハードパンチャーの渡辺を破って、来るべき世界戦に弾みをつけたいところだったと思いますが、試合は渡辺の強打が炸裂して、赤城は2ラウンドでマットに沈んでしまった。
この試合、先にチャンスを掴んだのは赤城だった。2ラウンド、赤城の右ストレートが渡辺にヒットし、さらに右ストレート、左フックと追い打ちをかけたところに渡辺の恐ろしくウェイトの乗った左フックが赤城の顔面にカウンター気味にヒットし、赤城が膝からペタリと座り込んでしまった姿は、その昔、がんばれ元気を読んでいた時に見た、山谷勝三のラストファイトが現実に起こったみたいでした←マニアックですみません
その後、赤城武幸に世界タイトル挑戦の機会は訪れませんでした・・・
渡辺は赤城戦後も連勝を重ね、翌年、10戦10勝10KOのパーフェクトレコードを引っ提げて世界初挑戦を迎えます。相手はこちらも無敗の世界チャンピオン、ヘナロ・エルナンデスだ。
テクニックでチャンピオン、スピード・パワーで渡辺と言われていたこの試合。確かに戦前の予想ではチャンピオン有利の声が多かったが、渡辺にはそれらをぶち破る勢いがあり、渡辺の王座奪取を期待する声も多かった。
試合は2ラウンド、接近戦なら渡辺と言われていたこの試合で、エルナンデスが逆に渡辺を接近戦で完封してしまった。渡辺もスピードとパワーで最後まで抵抗したものの、パンチの正確性で大きく上回るエルナンデスが6ラウンドで渡辺をストップに持ち込んでしまった。
この試合時、渡辺はまだ22歳。敗戦を糧に、ここで自身の弱点に目を向けていればまだまだ再生の道はあったと思うが、復帰後の渡辺は見事なまでにそれまでと何も変わってなかった(笑)
この後、1階級下のフェザー級で東洋太平洋タイトルを獲り、2度目の世界挑戦を果たすも、この頃の渡辺はもうすでにスピードはなく、持ち前のパワーもスピードに乗せる事が出来ないせいか、エルナンデス戦時に比べると半減しているように見えた。打たせる渡辺の身体に歴戦のダメージが溜まっていった結果だと思う。
この2度目の世界挑戦は小柄なチャンピオンのバスケスに5ラウンドKO負け。しかも顎を割られて、選手生命の危機を迎えてしまう程の痛烈な敗戦だった。
しかしながら不死鳥渡辺はまだここからリングに舞い戻り、ライト級で東洋太平洋タイトルを獲得してしまう。これは相手にも恵まれたし、渡辺雄二に送られた最後のギフトだったかも知れない。
ラストファイトは韓国の柳昇呼に何も出来ずに破れ、この試合のリング上で引退を表明しました。この頃はもう試合前、リングに上がった段階ですでにダメージに蝕まれてるのは、以前の渡辺を知ってる者ならば誰もが分かるくらい、痛々しい姿ではあった。
渡辺雄二は、その類いまれなスピードとパワー、そして激しいファイトスタイルに甘いマスクで多くのファンを獲得した。世界チャンピオンになってもおかしくない程の才能を持っていた。惜しむらくは、やはりもう少しディフェンスに意識を向けられなかった事と、たぶん私生活の方で自制出来なかったところだろうか。渡辺雄二は現役時代から喫煙者だったと引退後に聞いてがっかりしたのを覚えています。
ボクサーが煙草吸ってたら、ね・・・
あれだけのスター選手だったのに、今の渡辺雄二さんの動向があまりニュースにならないのが気掛かりです。今現在の彼の人生が幸多いものである事を願うばかりです。
終
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- 事務局に通報しました。
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