中学校保険体育に「武道」と「ダンス」が必修化

文部科学省が、中学校学習指導要領を改訂し、今年度４月から新学習指導要領で中学校保険体育に、武道・ダンスを必修とすることになりました。私がサッカー部を指導する中学校でも、今日から職員会議が行われ、最終調整に入っている段階ではないかと思います。

武道は、武技、武術などから発生した「日本固有の文化」であり、相手の動きに応じて、基本動作や基本となる技を身につけ、相手を攻撃したり相手の技を防御牛したりすることによって、勝敗を競い合う楽しみや喜びを味わうことができる運動とされています。

また、武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して、練習や試合ができるようにすることを重視する運動と言われます。

～中学校での武道義務化～

学校毎にいくつかの種目から選択できるとされていますが、剣道・柔道・なぎなた・弓道など費用の問題から考えても、ほとんどの中学校が実質的に武道＝「柔道」を選択することになりそうです。

しかし、柔道では過去多くの児童が死亡したり、障害を受けたりしており、担当する教員に黒帯でない素人も多数いることが不安視されています。

フランスの場合は、柔道を指導する者は二段以上の有段者とされ、救護や保健などの国家資格が必要と決められているそうです。

剣道・柔道・なぎなた・弓道などを男女ともに習得し、日本固有の文化に触れることは、悪いことではないと思いますが、伝統文化と言えば、茶道・華道・香道を始め、俳句・和歌・連歌や能・狂言・歌舞伎などの伝統芸能、あるいは日本画・版画・造形などの伝統美術など…書き切れないぐらいの多方面の「伝統と文化」がこの国には存在します。

「伝統文化」という広い枠組の中から全国の学校がオリジナリティを競い、「日本文化・再発見」を進めていくというのなら、もっと有意義なものになるのかもしれませんが…「伝統文化」は「武道」に絞られてしまうことになる。

「武道」の突出をカバーするように「ダンス」が必修化されているようにも感じます。

まるで「ジャズダンス」「ヒップホップ」などで子供たちの関心を引きつつ、「武道」のみの違和感を打ち消そうとでもしているかのようである…

日本スポーツ振興センターが毎年発行する『学校管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点』の過去２８年間分を、名古屋大学の内田教授が分析したところ…柔道では１１４名が死亡し、２７５名が重い障害を負ってしまう事故（約３割は授業中）が発生していたことが分かった。

中高とも１年生が半数以上を占め、１４人は授業中に死亡しています。

また、最近１０年間の中学校部活動における死亡確率は、柔道が２．３７で１番、次にバスケットが０．３７で２番と、柔道が突出していることが分かっています。

なぜ柔道でこうした事故がなくならないのか？

一つは、危機意識に欠ける指導者の姿勢があります。

事故の原因は、直接頭を打たなくても、脳が激しく揺さぶられる加速損傷により脳内の血管が破裂する「硬膜下出血」が原因と言われており、指導者が素人だった場合、事故が起きたことにも気づかず手遅れになってしまうことも考えられます。

もう一つ事故の原因とされるのが、指導という名の元でまかり通ってきた体罰やシゴキです。根性論で、指導者が何度も投げ飛ばす、上級生が初心者の後輩に危険な技をかけるなど、未だに後を絶ちません。実際の授業では、ふざけて技をかけて事故を起こせば、子供自身が加害者になる可能性も出てきます。

１～２年生の学習内容として、頭部損傷の可能性が高い「大外刈り」などの投げ技が含まれており、首の筋力が未発達なうちに、安易に立ち技や乱取りを行わせるのに、全く柔道に縁がなかった先生たちからも、事故が起きないように指導できるのか不安の声が多く聞こえてきます。

大きな事故が起きないことを願うばかりです((((；ﾟДﾟ))))

事故と言えば、同じ町で行われたサッカークラブの試合で、２週間連続で救急車の要請がありました。１件目は「シゴキ」が原因ではないかと推測される状況、２件目は「安全管理不足」が原因と思われます。

以前からサッカーの指導者に対して「救命意識の重要性」を投げかけていますが、前述の柔道で事故がなくならない原因として挙げた＝「指導者の危機意識不足」が、サッカーの現場にもまだまだ根付いていることは、残念で仕方がありませんﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ

日本のスポーツ全体の課題でもあるでしょう…

搬送された子供に重大な後遺症などが残っていないことは、不幸中の幸いですが…

２度と起きないことを願うばかりです(；´Д｀)